ストラスアイラ蒸留所(Strathisla)|場所・歴史・製法・ボトル|ウイスキーラウンドアップ

記事の概要

世界中の蒸留所図鑑完成を目標としたシリーズです。

今回は「ストラスアイラ蒸留所」になります!

Points!
「立地・歴史・伝統的な製法・オフィシャルボトルの簡単な解説」

キーワード

スペイサイド最古の蒸留所/最も絵になる蒸留所/フォン・ブイエン

ストラスアイラの特徴

99%ブレンド専用/ノンピート/フルーティで軽やか/ショートケーキのような甘さ

ストラスアイラ蒸留所

ストラスアイラ蒸留所の立地・歴史・製法についてまとめていきます。

蒸留所の概要

創業年1786年
所有会社ペルノリカール
地域分類スコットランド
スペイサイド キース地区
発酵槽オレゴンパイン製7基
カラ松製3基
ポットスチル初留2基・再留2基
仕込み水ブイエンの泉
ブルームヒルの泉
ブレンド先シーバスリーガル
ロイヤルサルートなど

「ストラスアイラ蒸留所」蒸留所の立地

出典:whisky.com

ポイント

ストラスアイラ蒸留所はスコットランドのスペイサイドに位置しています。より具体的にはA96号線とA95号線の交点付近にあるキースの街の北側に位置しており,この町はスペイサイドの中に複数ある蒸留所の密集地帯のひとつとしてウイスキー産業が栄えています。

同地区の蒸留所の中でも,アイラ川を挟んだ対岸側にあるグレンキース蒸留所は同じくペルノリカール社に所有されており,ストラスアイラで蒸留を終えた原酒の樽詰めはグレンキースで行われています。また街の郊外にはシーバスブラザーズ社の集中熟成庫も建てられており,こちらも併せて熟成に活用されています。

ストラスアイラでは仕込み水を駐車場付近にあるフォン・ブイエン(ゲール語で泡立つ泉)と言う泉から引いていますが,この泉はケルピーというケルトの妖精によって守られていると地元で信じられており,蒸留所の職人たちは「これがストラスアイラの隠し味だ」とおっしゃるそうです。

また蒸留所の創業が1786年(当時はミルタウン蒸留所と呼ばれていた)とスペイサイドでは最古,そして象徴的なパゴダ屋根を初めとした建物の造形美は「スコットランドで最も絵になる蒸留所」と称されているなど,ウイスキー以外にも高い価値を誇る蒸留所です。

ちなみにストラスアイラはゲール語で「アイラ川の広い谷」を意味しており,蒸留所がアイラ川沿いにあることから,1951年にシーバスブラザーズ社が命名しました。

「ストラスアイラ蒸留所」蒸留所の歴史

ストラスアイラ蒸留所の歴史を下表のとおり整理しました!

西暦年内容
1786年ジョージ・テイラー氏とアレクサンダー・ミルン氏によってミルタウン蒸留所(ストラスアイラの前身)が創業される
1823年蒸留所がマクドナルド・イングラム社によって買収される
1830年蒸留所がウィリアム・ロングモア氏に買収される
1876年蒸留所で火災が発生する
1879年蒸留所が製麦室で起きた粉塵爆発による火災で損害を受ける
直ちに復興し,瓶詰め工場が併設される
1880年ウィリアム氏が蒸留所運営から引退する
蒸留所は義理の息子のケデス・ブラウン氏に引き継がれ,ウィリアム・ロングモア社が設立される
1890年蒸留所名がミルトンに改められる
パゴダ屋根も火災によって壊れていましたが,この年に復旧されて現在もそれが残っています
1940年会社の株式の過半数がジェイ・ポメロイ社に購入される
しかし同社が脱税で罰せられたことにより,蒸留所が破産する
1949年シーグラム社が,のちにペルノリカール社のウイスキー部門となるシーバスブラザーズ社を買収する
1950年ジミー・バークレイ氏がシーグラム社の代理人となり蒸留所をオークションで競り落とす
蒸留所の運営はシーバスブラザーズ社によって行われ,同年に蒸留所でのフロアモルティングが廃止される
1951年蒸留所名がストラスアイラに変更される
1965年蒸気加熱式のポットスチルが2基増設されて計4基体制となる
1970年クレイグダフと呼ばれるピーテッドタイプのウイスキーの試験的生産を行う
1970年代以降クレイグダフの生産は行われていない
1992年創業時から使用されていた2基のスチルの改修が行われる
加熱方式が石炭直火から蒸気間接加熱に変更される
1993年熟成に使用するバーボン樽の搬入時に猫が紛れ込んでおり,ディジーと名付けられて蒸留所に定着した
2001年シーグラム社がペルノリカール社に買収される
2013年オフィシャルボトルのデザインが変更される
2019年オフィシャルボトルが終売となる

ストラスアイラに纏わるストーリー

「ストラスアイラ蒸留所」製法の特徴

  • 年間生産量
    245万L
  • 仕込み水
    ブイエンの泉
    ブルームヒルの泉
  • モルトスター
    ベアーズモルト社
  • ピーテッドレベル
    ノンピート
  • マッシュタン材質
    ステンレス製セミロイター
  • マッシュタン容量
    1バッチ当たり5.12トン
  • ウォッシュバック
    オレゴンパイン製7基
    カラ松製3基
  • 酵母
    ケリー社製
    ディスティラーズ酵母
  • ウォッシュバック容量
    23,800L
    張込み22,500L
  • 発酵時間
    54時間
  • スチル加熱方式
    蒸気コイル
  • ポットスチル(初留)
    2基,ランタン型
  • ポットスチル(再留)
    2基,バルジ型
  • コンデンサー
    シェル&チューブ式
  • 本留の度数
    72%
  • ウェアハウス形式
    ダンネージ式1棟・ラック式1棟
  • 樽詰めの度数
    63.5%

製麦について

出典:google map

ポイント

ストラスアイラ蒸留所では1950年まで自社によるフロアモルティングが行われていましたが,現在は廃止されており,製麦は外部のモルトスターであるベアーズモルト社に委託をしています。

フルアモルティング自体が廃止されてしまっているため,蒸留所の外観的なシンボルでもあるパゴダ屋根は使われておらず,今はシンボルとして残されています。

ピーテッドレベルについては現在ノンピートのみとされていますが,1970年代にはクレイグダフと呼ばれるへビリーピーテッドタイプのウイスキーが作られていたことがあります。

原料のモルトはポルテウス社製のモルトミルで粉砕してグリストとしたのち,糖化の工程へと進みます!

↓工程の詳細な解説↓

糖化について

出典:note.com

ポイント

ストラスアイラ蒸留所では仕込み水としてカルシウムを多く含有する中硬水を湛えるブイエン湖の水及び,ブルームヒルの泉の水が採用されています。マッシュタンは1バッチ当たり5.12トンの容量を持つ,ステンレス製のセミロイタータンになります。

製麦によって得られたグリストは,1回目のお湯と混合されたのちにマッシュタンへと投入され,2,3回目のお湯をスパージングすることで糖化が進められます。この糖化手法はワンステップ・インフュージョン法と呼ばれています。

糖化では各回のお湯との接触ごとに,糖類を含有したウォートという溶液が抽出されており,通常は糖類を多く含有する1,2回目のウォートが発酵に回され,3回目のウォートは次回の糖化バッチにてお湯と混合して注がれることとなります。

次の工程は発酵になります!

↓工程の詳細な解説↓

発酵について

出典:google map

ポイント

ストラスアイラ蒸留所には容量23,800リットル(張込み22,500リットル)で,オレゴンパイン製のウォッシュバックが7基,カラ松製のウォッシュバックが3基の計10基の発酵槽が設置されています。

使用される酵母は一般的なディスティラーズ酵母であり,ケリー社製のものが採用されています。

糖化によって得られたウォートは,熱交換器を介して20℃前後まで冷却されたのち,酵母と混合してウォッシュバックに投入することで発酵が始まります。

発酵にかける時間は約54時間と標準程度の長さであり,乳酸発酵があまり生じないことから,最終的には比較的重く複雑な香味が得られることとなります。

発酵が完了するとアルコール度数7〜9%程度となったウォッシュを得ることができます。

次の工程は蒸留になります!

↓工程の詳細な解説↓

蒸留について

出典:google map

ポイント

ストラスアイラ蒸留所には容量13,500リットル(張込み11,900リットル)でランタン型のウォッシュスチルが2基,容量11,900リットル(張込み8,081リットル)でバルジ型のスピリッツスチルが2基設置されています。

形状について初留・再留共に背は低めでずっしりとした印象があり,ラインアームは概ね水平に近いですが,初留器は途中から下向きに屈曲しています。また還流ボール及びランタン状の膨らみによって蒸気の還流が発生するため,蒸気と銅の接触が十分に確保されます。

加熱方式は蒸気コイルを用いた間接加熱方式で,コンデンサーはシェル&チューブ方式が採用されています。スチルのうち創業時から使用されていた1対は,1992年の修繕時に石炭直火方式から蒸気加熱に変更されています。

−初留−

発酵によって得られたウォッシュはウォッシュスチルへと投入され,初留が行われます。初留ではウォッシュに含まれるアルコールの全量が抽出され,アルコール度数が20%強程度となったローワインを得ることができます。

−再留・ミドルカット−

続いてローワインは,前回蒸留時にカットされた前留・後留と共にスピリッツスチルへと投入され,再留が行われます。

再留によって得られるニューポットはスピリッツセイフと呼ばれる箱を経由し,その中でアルコール度数や含有成分の好ましくない蒸留初期・終期の蒸留液(前留・後留と言う)がカットされ,性質の優れた中間の本留のみが確保されます。

この作業はミドルカットと言い,後留のアルコール度数が1%となるまで継続されます。ストラスアイラにおいて最終的に得られる本留はアルコール度数が約72%程度となり,樽詰めされるまではスピリッツレシーバーという容器に一時貯蔵されます。

次の工程は熟成になります!

↓工程の詳細な解説↓

熟成について

出典:google map

ポイント

ストラスアイラ蒸留所にはダンネージ式のウェアハウスが1棟,ラック式のウェアハウスが1棟の計2棟の熟成庫が建てられています。使用される樽はバーボン樽とシェリー樽が中心です。

また樽詰めはストラスアイラ蒸留所内では行われておらず,ニューポットはほど近くにあるグレンキース蒸留所までパイプを介して運ばれ,そこで加水により度数を63.5%に調整したのちに樽詰めされています。

しかしながら貯蔵はグレンキースではなく,シングルモルト用の僅かな原酒は再びストラスアイラに運搬して蒸留所のウェアハウスに安置し,原酒の9割以上を占めるブレンデッド用原酒は同じくキースの街にあるシーバス・ブラザーズ社の保税倉庫に安置されることとなります。

オフィシャルボトル一覧

ストラスアイラ蒸留所のボトルを紹介していきます!

※オフィシャルボトルは終売されてしまっているため,ボトラーリリースもストラスアイラとしては比較的低価格帯のものをピックアップしておきます。

ストラスアイラ12年
(終売品)

ポイント

ストラスアイラ12年は当蒸留所の最もスタンダードなオフィシャルボトルでしたが,2019年に完全に終売されてしまいました。

ストラスアイラはスペイサイド最古の蒸留所であり,著名なブレンデッド銘柄のシーバスリーガルの中核を担っているだけに公式シングルモルトが入手困難なのはとても痛いところ。

風味についてはショートケーキのような激甘系であり,カドの全くないフルーティで綺麗なテイストを持っています。バーなどで見かけたら絶対に飲んでおきましょう!

香り

洋菓子やショートケーキ/焼きカラメル/はちみつ/バニラ/ドライフルーツ/石けんの様なフローラル感

味わい

焼きプリン/ショートケーキの甘さ/甘いスパイス感/フレッシュで多様なフルーツ/りんご

余韻

甘くフルーツバスケットのような甘い香りが長く残る


ハートブラザーズ
ファイネストコレクション
ストラスアイラ10年 2010

※楽天市場で見つけました。

ポイント

ハートブラザーズ社は1988年にシングルモルトを主力としたブランディングを行う企業として創設されており,会社こそ2007年に買収されましたが,ブランドとしてハートブラザーズは継続されています。

このボトルは同社のファイネストシリーズからリリースされた,2010年蒸留で10年熟成のストラスアイラになります!テイストははちみつやフローラル感,バニラ,ミルクチョコ,ピーチなどの甘めの印象が主体的です

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参考資料

参考サイト:whisky.com / scotchwhisky.com / malt-whisky-madness.com / scotchwhisky.net