【特集】マノックモア蒸留所(Mannochmore)|場所・歴史・製法・ボトルの種類と特徴|ウイスキーラウンドアップ

記事の概要

世界中の蒸留所図鑑完成を目標としたシリーズです。

今回は「マノックモア蒸留所」になります!

Points!
「立地・歴史・伝統的な製法・オフィシャルボトルの簡単な解説」

キーワード

グレンロッシーと兄弟|ヘイグ・ディンプル|花と動物シリーズ

マノックモアの特徴

ノンピート|りんご|シナモンとクローブ|フローラル|新緑

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初谷(はつがい)

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マノックモア蒸留所

マノックモア蒸留所の立地と概要・歴史・製法についてまとめていきます。

蒸留所諸元

創業年1971年
所有会社ディアジオ社
地域分類スコットランド
スペイサイド,エルギン地区
年間生産量600万リットル
発酵槽カラ松製8基・ステンレス製8基
ポットスチル初留4基・再留4基
仕込み水バードン川
ブレンド先ヘイグ,ディンプルなど

「マノックモア蒸留所」立地と概要

出典:whisky.com

ポイント

 マノックモア蒸留所はスコットランドのスペイサイド地方,エルギンの街近郊に所在しています。建物はグレンロッシー蒸留所と同じ敷地内に建てられており,巨大な複合施設の一部として稼働しているため,道路から見てもそれがマノックモアなのかを判別するのは難しいでしょう。

 元々はブレンデッドウイスキー「ヘイグ」の原酒確保を目的として建てられた蒸留所ですが,現在もこのヘイグやディンプルのキーモルトを務める傍らで,花と動物シリーズから12年熟成のオフィシャルシングルモルトがリリースされています。

 ちなみにゲール語で「大きな丘」を意味するマノックモアという名称は,蒸留所の南にあるマノックヒルにちなんで名付けられたとされており,仕込み水を引くバードン川の水源もこのマノックヒルになります。

「マノックモア蒸留所」蒸留所の歴史

マノックモア蒸留所の歴史を下表のとおり整理しました!

西暦年内容
1971年DCL社がグレンロッシーの敷地内にマノックモア蒸留所を建設する
(ヘイグの原酒確保が目的)
1985年不況によって蒸留所が閉鎖される
1989年生産が再開される
以降長らくマノックモアとグレンロッシーは半年交代で稼働していた
1986年会社合併によってUD社が発足する
1992年UD社の「花と動物シリーズ」から12年もののマノックモアがリリースされる
1996年真っ黒な色味の10年熟成のマノックモアが「ロッホデュー」としてリリースされる
2007年マノックモアとグレンロッシーの両者がフルで生産を始める
2013年ポットスチルが増設される(6基→8基)

マノックモアに纏わるストーリー

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「マノックモア蒸留所」製法の特徴

  • 年間生産量
    600万L
  • 仕込み水
    バードン川
  • モルトスター
    キャッスルヘッドモルティング
  • ピーテッドレベル
    ノンピート
  • マッシュタン材質
    ブリッグズ社製フルロイター
  • マッシュタン容量
    11.1トン
  • ウォート
    清澄
  • ウォッシュバック
    カラ松製8基・ステンレス製8基
  • 酵母
    クリーム状
  • ウォッシュバック容量
    54,000L
  • 発酵時間
    65時間
  • スチル加熱方式
    蒸気間接加熱
  • ポットスチル(初留)
    ストレート型4基
  • ウォッシュスチルチャージ
    13,500L
  • ポットスチル(再留)
    ストレート型4基
  • スピリッツスチルチャージ
    17,000L
  • コンデンサー
    シェル&チューブ方式
  • 本留の度数
    65〜66%
  • ウェアハウス形式
    ダンネージ・ラック

製麦について

ポイント

 マノックモア蒸留所では,自社製麦を実施しておらず,製麦工程は主にエルギン地区に所在する専門業社(モルトスター)のキャッスルヘッドモルティングに委託しています。
 大麦産地は主にスペイサイド地内とされており,ピーテッドレベルはノンピートタイプで,スペイサイドらしい華やかなスタイルを特徴としています。

用意された原料のモルトはローラー式のモルトミルで粉砕し,グリストとされます。一般的にグリストはその粒径によってハスク(粗)・グリッツ(中)・フラワー(細)に分類され,それぞれの構成比は「2:7:1」とされます。

次の工程は糖化になります!

↓工程の詳細な解説↓

糖化について

出典:whisky.com

ポイント

 マノックモア蒸留所では,仕込み水としてバードン川の水を採用しています。マッシュタンは1バッチあたり11.1トンのグリスと容量を誇る,ブリッグズ社製のフルロイタータン(鋳鉄製)になります。

 また敷地内には,糖化の搾りかすや蒸留廃液を処理するダークグレーン工場も併設されており,所内でダークグレーンの生産を完結させることができます。

ここが特徴!

  • ウォッシュバック容量の54,000Lから逆算すると,グリスと1トンあたり4,865L程度のウォートが得られていると考えられ,これは妥当な水準である
  • ウォートは澄み切ったクリアな状態で確保されるため,最終的には雑味の少ないクリーンなテイストに仕上がる

次の工程は発酵になります!

↓工程の詳細な解説↓

発酵について

ポイント

 マノックモア蒸留所には容量54,000Lで屋内設置のカラマツ製ウォッシュバックが8基,屋外設置のステンレス製ウォッシュバックが8基設置されています。
 酵母は一般的なディスティラーズ酵母であり,クリーム状で取引されています。

ここが特徴!

  • 発酵時間は65時間とやや長めに設定されており,ウォッシュは適度に乳酸発酵の効用を得ていると考えられる

次の工程は蒸留になります!

↓工程の詳細な解説↓

蒸留について

出典:whisky.com

ポイント

 マノックモア蒸留所には,容量13,500Lのウォッシュスチルが4基,容量17,000Lでのスピリッツスチルが4基設置されています。
 形状は初留・再留ともにストレート型で,ラインアームはやや下向き。そして加熱方式は蒸気による間接加熱方式,コンデンサーはシェル&チューブ方式が採用されています。

ここが特徴!

  • 初留容量がウォッシュ総量の4分の1であることから,仕込み1バッチ分のウォッシュがちょうど初留器4基分に該当すると考えられる
  • ポットスチルについて,ストレート型かつラインアームがやや下向きのため蒸気の環流が生じにくく,比較的重く複雑な香味を呈するスピリッツが確保される
  • 蒸留工程はほぼ自動化されており,制御室のコントロールボックスを介して温度や圧力が集中管理されている

次の工程は熟成になります!

↓工程の詳細な解説↓

熟成について

出典:whisky.com

ポイント

 マノックモア蒸留所には伝統的なダンネージ式ウェアハウスと,貯蔵容量に優れたラック式ウェアハウスが併設されています。 それらの貯蔵容量は200,000樽にも及ぶほどで,ブレンド用・シングルモルト用の双方を収容することが可能であり,中には他の蒸留所の原酒も一部置かれています。

 蒸留によって得られたニューポットは,加水によってアルコール度数を63.5%に調整したのちに樽詰めされ,ウェアハウスにて長い時間を眠ることとなります。

↓工程の詳細な解説↓

オフィシャルボトル一覧

マノックモア蒸留所のオフィシャルボトルを紹介していきます!

『花と動物』
マノックモア12年

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マノックモア
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ポイント

マノックモア12年」は,旧UD社の時代から続く「花と動物シリーズ」からリリースされる,マノックモア蒸留所唯一のオフィシャルシングルモルトになります。

 ラベルに描かれている鳥は”グレイト・スポッテッド・ウッドペッカー”というクマゲラの一種で,蒸留所が野鳥の宝庫とも呼ばれるソーンズヒル地内に位置していることに準えて採用されています。

 原酒の樽構成などは明かされていませんが,そのテイストはシナモンやクローブを思わせるスパイシーさモルティな穀物様の甘さを魅力としています。マノックモアがキーモルトを務めるヘイグやディンプルと飲み比べてみるのも一興でしょう。

Tasting Note

  • 香り

青リンゴ|シナモンスパイス|新緑のフレッシュ感|フローラル

  • 味わい

フローラル|青リンゴ|バニラ|モルティ|サルファリー|オイリー|クローブスパイス

  • 余韻

フローラルかつスパイシーでクリーミーな余韻

ブレンデッドウイスキー

マノックモアがキーモルトを務めるブレンデッドウイスキーを一部紹介していきます。

ヘイグ・ゴールドラベル

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ヘイグ
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ポイント

ヘイグ・ゴールドラベル」は,かつてブレンデッドウイスキーが世界に広まった時代にBIG5に数えられていた古豪的ブランド「ヘイグ」から発売されている標準的なボトルになります。

 その構成はキャメロンブリッジのグレーン原酒を60%,残りの40%には主にマノックモアやリンクウッドなどのディアジオ系列のモルト原酒をブレンドすることで作られおり,グレーン系のキャラメル感や蜂蜜感をベースに,香ばしいウッディ感やスパイシーさを感じることができる飲みやすいテイストを魅力としています。

Tasting Note

  • 香り

グレーン感|エステリー|キャラメル|焦げオーク|花|ナッツ

  • 味わい

スパイシー|溶剤|焦げ砂糖|ウッディなビター|蜂蜜|バニラ

  • 余韻

エステリーな甘みとウッディなビター感が残る


ディンプル12年

ポイント

ディンプル12年」は1800年代末ごろより酒造業界で活躍していたジョン・ヘイグ氏が生み出したとされる,非常に歴史の深いウイスキーになります。

 今日において12年以上のスコッチという分類で見ると,販売量は世界第4位にも上るという著名なブランドのひとつであり,世界中の20カ国以上で愛飲されているウイスキーです。

 その原酒はローランドのグレンキンチーをベースに,マノックモアを含む数種類のハイランドモルトをブレンドすることで作られており,甘さと適度なピートスモークのバランスに長けた味わいを魅力としています。

Tasting Note

  • 香り

オレンジ|はちみつ|焦げオーク|トースト|バニラ|アーモンド|薄く煙たさ

  • 味わい

オレンジ|はちみつ|甘くも苦いモカ|りんご|僅かにピート|ウッディ

  • 余韻

複数の果物が犇くフルーティな余韻

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参考資料

参考サイト:whisky.comscotchwhisky.commalt-whisky-madness.comwhiskipedia.comscotchwhisky.net