記事の概要
管理人によるボトルのレビューを通して、皆様にその魅力を伝える記事です!
「バスカーシングルポットスチルウイスキー」ははアイルランドのロイヤルオーク蒸留所の公式ブランド「The BUSKER」からリリースされるシングルポットスチルウイスキーになります。
そんなボトルについて…
- 「The BUSKER」ってなに?
- 「バスカーシングルポットスチル」ボトルの特徴
- 「バスカーシングルポットスチル」を徹底レビュー
- 「バスカーシングルポットスチル」飲み方について
などなど詳しく解説していきます!!
Youtubeでも紹介しています!
「The BUSKER」ってなに?
The BUSKERの解説
バスカーはアイルランドのカーロウで2016年に創業した「ロイヤルオーク蒸留所」で作られるウイスキーのブランドであり,2020年に誕生した新興のブランドでもあります。
この蒸留所はシングルモルトウイスキー・シングルポットスチルウイスキー・シングルグレーンウイスキーの3種類を生産できるアイルランド唯一の蒸留所になります。
今回紹介するのは灰色のラベルが特徴的な「シングルポットスチルウイスキー」であり,2021年10月リリースのブレンデッドタイプ,2022年3月リリースのシングルモルトタイプに続き,同年7月に赤色のシングルグレーンと共に日本でもリリースされました。
シングルポットスチルウイスキーを簡単に説明すると,原料についてノンピート麦芽と未発芽の大麦をそれぞれ全体の30%以上使用し,その他の穀物は合計で5%以下の構成比とすることが条件とされる,アイリッシュウイスキーのジャンルのひとつになります。
アイリッシュウイスキー造りでは伝統的に3回蒸留を行う蒸留所が多いですが,ポットスチルウイスキーの定義上は2回蒸留でもOK。しかし今回のバスカーは伝統的な3回蒸留を経た原酒が使用されています。
ちなみにこのボトルの客観的な評価指標として,2021年のサンフランシスコ・ワールドスピリッツ・コンペティションにおいてダブルゴールドを受賞した経歴があります。
関連記事等
ロイヤルオーク蒸留所の解説
バスカーシリーズのレビュー記事
バスカーのレビュー動画
「バスカーシングルポットスチル」ボトルの特徴
ボトル外観
諸元
ボトル名 | バスカーシングルポットスチルウイスキー |
地域 | アイルランド,カーロウ州 |
蒸留所 | ロイヤルオーク蒸留所 |
種類 | シングルポットスチルウイスキー |
原料 | モルト・グレーン (バーレイ含む) |
容量 | 700ml |
度数 | 44.3% |
樽構成 | バーボン,シェリー |
受賞歴 | 2021 サンフランシスコ・ワールドスピリッツ・コンペティション ダブルゴールド受賞 |
製法と特徴
- 未発芽の大麦(バーレイ)が主原料
▶独特な穀物用の甘さとオイリーな酒質が得られる。 - 伝統的な3回蒸留を適用
▶︎3回蒸留によって雑味の少ないクリーンな酒質が得られることから,短期熟成とは思えない円熟感のある酒質となる。 - バーボン樽で熟成
▶バーボン樽由来のバニラの甘さやはちみつ,柑橘系の強い甘さが得られる。 - シェリー樽で熟成
▶シェリー樽由来のレーズン系の甘さやスパイス香が色濃く得られる。
「バスカーシングルポットスチル」徹底レビュー!
まずレビューの項目について説明しておきます!
レビュー項目
- 色味
ウイスキーをグラスに注ぎ、目視にて色の濃さを5段階評価します!
- 香り
香りについて私が感じ取った内容をまとめていきます!
- 味わい
味わいについても私が感じ取った内容をまとめます!
- 余韻
余韻の長さを5段階で評価します!!
- 総評(100点満点)
ボトルのポジティブな風味とネガティブな風味を10段階で評価し、レーダーチャートで表現します!
ポジティブで獲得した点数からネガティブの点数を引くことにより、ボトルを100点満点で評価します!!
また総評を文章にて取りまとめていきます!
さてさて、それでは早速「バスカーシングルポットスチルウイスキー」をテイスティングレビューしていきます!
色味
色味は比較的濃く,僅かに赤みがかった琥珀色と言った感じです。
このシングルポットスチルにはシェリー樽原酒が使用されていますが,同じくシェリー樽原酒が使用されたシングルモルトよりも濃い色味をしており,その使用比率が高めとなっていることが予想されます。
薄
1 2 3 4 5
濃
▼
香り
香りの第一印象は香水のような無機質なフローラル系の華やかさとグレープフルーツっぽい酸味感が感じられます。あくまで主観ですが,フローラルな印象はアランのテイストにかなり近いように感じます。
続いてチョコレートファッジのような甘い洋菓子,クローブのような独特のスパイス感,フレッシュなシトラス,レーズンの甘さ,はちみつとバニラを纏ったオークの甘さなどが感じられます。
また他のバスカーシリーズと比べてパイン系のトロピカル感は控えめですが,台湾のカバランのようなバナナ系の南国感を強く感じることができます。
↓感じ取れる香り↓
香水系フローラル/グレープフルーツ/チョコレートファッジ/クローブ/シトラス/レーズン/はちみつ/バニラ/オーク
▼
味わい
味わいの第一印象は非常にクリーンで澄み切った穀物の甘さとオレンジマーマレードのような濃い柑橘の甘さでした。オイリーな舌触りと濃い甘みが主体的ですね。
舌先に触れた習慣は非常にクリーンかつライトな印象が強く,アルコールを全く感じないオイリーな水のような感じのですが,その後じわじわと柔和なアルコール感と共に多様な甘みが広がっていくような不思議な感覚があります。
続いてキャラメルの甘さ,クローブと胡椒を思わせるスパイス感,柑橘類の皮のビター感,香水系のフローラル感,レーズンやドライフルーツの甘み,バナナ系のクリーミーなフルーツ感が感じられます。
クリーンで軽やかな酒質でありながら,多彩で濃厚な甘さを感じることができ,同じシェリー樽・バーボン樽原酒が使用されているバスカーシングルモルトと比較しても,甘さのベクトルやスパイス感などにおいて大きく異なる特徴がありますね。
↓感じ取れる風味↓
穀物の甘さ/オレンジマーマレード/キャラメル/クローブ/胡椒/柑橘類の皮/フローラル/レーズン/ドライフルーツ/バナナ
▼
余韻
余韻には無機質なミネラル感やモルティな甘み,そして胡椒やクローブなどのスパイス感が強く残ります。余韻の長さとしては適度に長めといった感覚ですね。
短
1 2 3 4 5
長
「バスカーシングルポットスチル」飲み方について
さて、ここまではストレートにてボトルのレビューをしてきました。
そこで「バスカーシングルポットスチルウイスキー」はどの飲み方が一番美味しいのでしょうか。王道の飲み方である「トゥワイスアップ・ロック・ハイボール」の3種類で比較してみましょう!
飲み方について深く掘り下げた記事も書いているのでご参考までにリンクを貼っておきます!
トゥワイスアップでは?
ポイント
加水をすると濃密な柑橘系の甘さと花畑のようなフローラル香がかなり際立ったように感じます。またパイナップルのようなトロピカルな印象が新たに出てきました。
反対にオイリーな印象が弱まったことにより,口に入れた際のアルコール感をマイルドに包んでいた要素が薄くなってしまい,やや刺激が感じられるようになってしまいました。
全体感で言えば,華やかなかつフレッシュなフルーティネスが卓越し,あわせて若々しさも目立つようになったという印象です。
▼
ロックでは?
ポイント
ロックではざらっとした穀物様の甘さとバナナのようなクリーミーなフルーツ感が前面に出てきました。柑橘感も健在であり,加水時に出てきていたパイナップル感も感じることができます。
冷やされたことによってアルコールの刺激も隠れており,ネガティブな要素のない状態で,香ばしく軽快なフルーツ香をしっかりと感じることができます。
余韻にかけてはオークやダークチョコのようなビターな印象が卓越してきており,全体のバランス感がとても良いですね。
▼
ハイボールでは?
ポイント
ハイボールではオーク感とチョコレートファッジ感が色濃く残っており,甘苦さが際立っています。
全体としては多様なフルーツ香は息をひそめ,バニラなどのクリーミーな要素を多く感じることができます。またわずかにシェリー樽原酒らしいドライフルーツ系の甘さも感じることができます。
おすすめの飲み方は…?
「バスカーシングルポットスチルウイスキー」のおすすめの飲み方は「ロック」です!
ロックで飲んだ際には,冷やされることで抑えられるネガティブな要素と,溶け出した水分と接触することで生じるフルーティな香味があり,全体としてプラスの方向にテイストが変化しました。
また余韻にかけて徐々にウッディ感やダークチョコのような濃厚なビターさも感じることができ,全体としては非常に美しいバランス感が成立していました。
一方加水ではオイリーさが軽減されることから若干のアルコール刺激が表出してしまい,ハイボールではクリーミーな甘みが強く出てしまい,爽快感に欠けたことから(美味しいですが…)最適ではないと判断しました。
「バスカーシングルポットスチル」総評
最後に総評に入りたいと思います!まずはレーダーチャートから!
ポジティブ
ネガティブ
さてさて、気になる点数は…
点数の理由と評価
今回はシングルポットスチルウイスキーというあまり馴染みのないジャンルでしたが,やはりモルトウイスキーやグレーンウイスキーとは全く異なる特徴を持っており,興味深いテイストでした。
特にオイリーな舌触りについては,口に入った瞬間のアルコール刺激や強い香味のアタックを大きく包み隠しており,マイルドな第一印象を与えてくれました。しかし徐々に深く広く重く多彩な香味が広がっていく様はまさに新鮮さそのものです。
またアランに近いフローラル感やカバランのような南国バナナ感は非常にユニークであり,それらの蒸留所と製法や緯度などを比較し,近しい部分を探ってみるのも一興かと思います。
シングルポットスチルウイスキーに馴染みのない方も多いのではないかと思いますので,この最強のコスパを誇るバスカーにて,ひとまず試してみることをオススメします。
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レビューに使用した道具たち
グラス:グレンケアン
ジガーカップ:JOYONEというメーカーのものをAmazonで購入して使っています。
正直計りたい分量が計れるものであれば何でもいいと思います!