【特集】ロイヤルオーク蒸留所(royal oak)|場所・歴史・製法・味と種類|バスカー|ウイスキーラウンドアップ

記事の概要

世界中の蒸留所図鑑完成を目標としたシリーズです。

今回はアイルランドより「ロイヤルオーク蒸留所」になります!

Points!「立地・歴史・伝統的な製法・オフィシャルボトルの簡単な解説」

キーワード

バスカー/3種類のウイスキーが作れる/マルサラワイン樽

バスカーの特徴

トロピカル/パイナップル/ショートケーキ/柑橘/花畑/クリーミー

\\執筆者情報//

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初谷(はつがい)

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【経歴】東京都立大卒|元公務員・ネット酒屋開業
【資格】JWRC公認ウイスキーエキスパート|ウイスキー検定2級
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ロイヤルオーク蒸留所

ロイヤルオーク蒸留所の立地・歴史・製法についてまとめていきます。

蒸留所の概要

創業年2016年
所有会社イルヴァサローノ社
輸入業社ウィスク・イー社
地域分類アイルランド カーロウ州
ポットスチル単式蒸留器3基
カラム式蒸留器4基
仕込み水バーロウ川

「ロイヤルオーク蒸留所」蒸留所の立地

ポイント

ロイヤルオーク蒸留所はアイルランド南東部のカーロウ州、ロイヤルオークに所在しています。

蒸留所はオークの森に囲まれた自然豊かな環境であり、森を流れるバーロウ川の水を仕込み水としています。

また原料の大麦も地元産であることから、まさしくロイヤルオークで生まれたウイスキーであると言えるでしょう。

生産規模は年間200万リットルと、アイルランドの中では6番目に大きい蒸留所になります。

「ロイヤルオーク蒸留所」蒸留所の歴史

ロイヤルオーク蒸留所の歴史を下表のとおり整理しました!

西暦年内容
2016年バーナードウォルシュらによってウォルシュ蒸留所(旧名)が創設される
イタリアの酒類メーカー(イルヴァサローノ社)より資金提供を受けていた
2019年蒸留所がイルヴァサローノ社によって買収される
蒸留所名がロイヤルオークに改められる
2020年蒸留所公式のブランドのバスカーとして、シングルモルト・シングルグレーン・シングルポットスチル・シングルブレンデッドの4種類が発売される
当時日本では未発売
2021年ウィスク・イー社が、ブレンデッドウイスキーである「バスカーアイリッシュウイスキー」の正規輸入代理店となり、日本に導入される
2022年ウィスク・イー社によって「バスカーシングルモルトアイリッシュウイスキー」が日本に導入される

ロイヤルオークに纏わるストーリー

バーナードウォルシュ

ロイヤルオーク蒸留所の創業者であるバーナードウォルシュ氏は現在、蒸留所からは離れてしまったものの、「Walsh Whisky」という会社にてアイリッシュウイスキーの販売を継続しています。

彼が手がけるウイスキーブランドは「Writer’s tears」と「The Irishman」の2種類があり、前者はモルトウイスキーとポットスチルウイスキーをブレンドしたもの、後者はシングルモルトにこだわったブランドになります。

The Irishmanについては私自身通販サイト等を確認しましたが、公式サイトに記載されているボトルは日本ではまだ見かけらないみたいですね。

「ロイヤルオーク蒸留所」製法の特徴

ロイヤルオーク蒸留所では3種類のウイスキーが作り分けられています。

具体的には「ポットスチルウイスキー」「シングルモルトウイスキー」「グレーンウイスキー」の3種類です。これらのうち、ポットスチルウイスキー及びシングルモルトウイスキーとグレーンウイスキーでは製法が多少異なるため、それぞれここで紹介していきます!

シングルモルト/ポットスチルウイスキー

製麦について

ポイント

原料の大麦は主に地元産のマレド大麦であり、麦芽とした大麦(モルト)と未発達の大麦(バーレイ)の2種類が別々のサイロに保管されています。

モルトウイスキーの生産にはモルトのみが、ポットスチルウイスキーの生産にはモルトとバーレイを混ぜたものが使用されます。

後者がなぜバーレイのみでないかと言うと、糖化に必要な酵素がモルトの状態としなければ生成されないためであり、モルトとバーレイを混合することでこの酵素を賄っています。

原料をモルトミルにて粉砕してグリストとしたのち、糖化の工程へと進みます!

↓工程の詳細な解説↓

糖化について

ポイント

ロイヤルオーク蒸留所では、仕込み水にバーロウ川の水を使用しています。

製麦によって得られたグリストはマッシュタンへと投入され、64.5度の仕込み水を注ぐことで糖化が進められます。同じ作業を水の温度を上げつつ3回目まで繰り返し、最初の2回分が発酵へと回されます。3回目分は次の回の糖化時に再び注がれます。

お湯にさらされている間、モルト及びバーレイに含まれていたデンプンは、モルト由来の天然の酵素によって糖類へと変化していきます。

こうして糖分を豊富に含んだウォートを抽出し、次の発酵の工程へと進みます。

↓工程の詳細な解説↓

発酵について

ポイント

糖化によって得られたウォートは酵母もろともポンプにて組み上げられ、ウォッシュバックを満たします。ちょうど1バッチあたり1基のウォッシュバックを満たすことができます。

発酵にかける時間は72時間と比較的長めであり、発酵が完了するとアルコール度数約8%のもろみが完成します。

次の工程は蒸留です!

↓工程の詳細な解説↓

蒸留について

ポイント

ロイヤルオーク蒸留所には高さ6.5mで容量15,000リットルのフォーサイス社製ポットスチルが設置されています。

発酵によって得られたもろみは3基のスチルに割り振られてまずは初留が行われ、アルコール度数20%程度のローワインが得られます。蒸留時の残りカスは豚の餌に加工されるために処理場へと送られます。

続いてこのローワインは再度蒸留され、ミドルカットによりヘッドとテールを除去したものが3回目の蒸留へと進められます。カットされたヘッドとテールは次バッチの初留時に再び蒸留されます。(モルトウイスキーはここまでの2回蒸留で完成です)

3回目の蒸留を行い、こちらもミドルカットにてヘッドとテールを除去します。厳選されたミドルは熟成の工程へと進められます。ここでカットされたヘッドとテールは次バッチの2回目蒸留の際に併せて蒸留されます。

↓工程の詳細な解説↓

熟成について

ポイント

蒸留を終えたニューポットはオーク製の樽に詰められ、3年を超える長い時を熟成庫で眠ることになります。

使用される樽はシェリー樽マデイラワイン樽マルサラワイン樽バーボン樽が中心になります。特にマルサラワイン樽は老舗トップブランドのフローリオというワインを詰めていた樽のみが採用されているというこだわりっぷり。

ロイヤルオーク蒸留所のオフィシャルボトルであるバスカーはこのマルサラワイン樽に由来する、トロピカルフルーツのような華やかな風味が特徴となっています。

↓工程の詳細な解説↓

グレーンウイスキー

原料の加工について

原料の加工

ロイヤルオーク蒸留所のグレーンは主に地元産の小麦を主原料としています。また糖化に必要な酵素を得るために一部モルトも原料として使用されています。

ハンマーミルを使用することで1時間あたり400kgの小麦を小麦粉へと加工しています。これ以降の工程は24時間休むことなく継続されています。

この小麦粉は90度の温水と混合され、液化タンク内で4〜5時間かけて粉からデンプンを抽出し、水に溶け込ませます。

糖化について

糖化

このデンプンを含んだ液体は64.5度まで冷却されたのち、マッシュタンへと送られ、糖化酵素を含むグリスト(モルトの粉砕物)と混合されることで糖化が進められます。

デンプンはモルトの酵素によって糖類へと変化していきます。こうして糖化が完了すると糖類を多分に含んだ液体を得ることができます。

発酵について

発酵

糖化によって得られた液体は約22度まで冷却されたのち、ウォッシュバックへと送られます。この際にディスティラーズ酵母も混合されており、発酵が徐々に進んでいきます。

発酵は72時間かけて行われており、その過程では酵母によって糖類が熱・二酸化炭素・アルコールへと分解されていきます。

発酵が完了するとアルコール度数約8%のもろみが完成します。

蒸留について

蒸留

ロイヤルオーク蒸留所の4塔のカラムスチルが設置されています。

まず1番目のカラム内部は減圧状態のため、アルコール分は通常よりも低温で気化することができます。ここで固形の不純物等は除去され、アルコールの蒸気のみが上昇し、次のカラムへと移行します。

2番目のカラムでは除去されたヘッドとテールから香味成分の分離を良くするために水が加えられつつ、蒸留が進みます。

3番目のカラムは精留塔であり、ネガティブな印象を残すフーゼル油や味の悪いアルコール分がここで除去されます。この時点でアルコール度数は約94.5%となります。

4番目のカラムでは、他の3カラムで余ったアルコール分を含む液体を処理して、再び蒸留回す役目を果たしています。


グレーンウイスキーの解説

「ロイヤルオーク蒸留所」オフィシャルボトル一覧

ロイヤルオーク蒸留所のオフィシャルボトルを紹介していきます!

バスカー
アイリッシュウイスキー

ポイント

バスカーアイリッシュウイスキーは、ロイヤルオーク蒸留所で作られる3種類の原酒がブレンドされたブレンデッドウイスキーになります。単一の蒸留所で作られた原酒のみが使用されているため、厳密にはシングルブレンデッドアイリッシュウイスキーという稀有なジャンルに括られます!

蒸留所こだわりのマルサラワイン樽熟成原酒の特徴がしっかりと出ており、味わいからはしっかりとしたトロピカルフルーツ感を感じることができます。

価格帯も店頭で2000円以下と非常にお手頃なので、常飲酒にこれほど適したボトルは他にないでしょう!

香り

トロピカル/パイナップル/オレンジ/クリーミー/花/はちみつ/ビタミンジュース

味わい

パイナップル/オレンジ/レモン/ショートケーキ/はちみつ/花畑


バスカー
シングルモルトウイスキー

ポイント

ロイヤルオーク蒸留所で作られる3種類のウイスキーのうち、シングルモルトウイスキーをボトリングした商品です!

3回蒸留を経て、バーボン樽とシェリー樽で熟成された原酒がバランス良くブレンドされています。

こちらも3000円程度で入手可能なコスパの良いボトルです!

香り

濃いりんご/バナナ/花畑/モルトビスケット/スパイシー/パイナップル

味わい

洋梨/りんごの甘さ/キャラメル/ナッツ/シナモン/チョコ/クリーミー


バスカー
シングルグレーンウイスキー

ポイント

コーンとモルトを主原料として生産されたグレーンウイスキーです!

バーボン樽原酒マルサラワイン樽原酒がバランスよくブレンドされています。また味わいが最も引き立つ44.3%というこだわりのアルコール度数でボトリングされているのが特徴です。

香り

陽気なトロピカルフルーツ/若いりんご/キャラメル/バニラ/オーク香

味わい

トロピカルフルーツ/バニラ/キャラメル/オーク/僅かに干草


バスカー
シングルポットスチルウイスキー

ポイント

アイルランドで独自に定義されるポットスチルウイスキーという,モルトと未発達大麦を原料に,ポットスチルで3回蒸留を経た原酒が使用されたバスカーになります!

バーボン樽とシェリー猿で熟成された原酒を主として構成されています。バスカーの味わいが最も引き立つ44.3%でボトリングされています。

香り

香水/フローラル/はちみつ/オーク香/シェリー樽のスパイシー感

味わい

フローラル/トフィー/バニラ/はちみつ/胡椒系スパイシー/クリーンでオイリー

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参考資料