【特集】アルタベーン蒸留所(Allt-a-bhainne)|場所・歴史・製法・種類と味わい|ウイスキーラウンドアップ

記事の概要

世界中の蒸留所図鑑完成を目標としたシリーズです。

今回は「アルタベーン蒸留所」になります!

Points!
「立地・歴史・伝統的な製法・オフィシャルボトルの簡単な解説」

キーワード

100パイパーズ/ピーテッドスタイル/ミルク色の小川

アルタベーンの特徴

ライトピートタイプ/りんご/はちみつ/スモーク/アーモンド/バニラ

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初谷(はつがい)

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アルタベーン蒸留所

アルタベーン蒸留所の立地と概要・歴史・製法についてまとめていきます。

蒸留所諸元

創業年1975年
所有会社ペルノリカール社
地域分類スペイサイド,ダフタウン地区
年間生産量420万リットル
発酵槽ステンレス製8基
ポットスチル初留2基・再留2基
仕込み水ベンリネス山中腹の泉
ブレンド先100パイパーズ,シーバスリーガルなど

「アルタベーン蒸留所」蒸留所の立地と概要

出典:whisky.com / google map

ポイント

 アルタベーン蒸留所はスペイサイドのダフタウン地区に位置しています。より具体的にはスペイ川の注ぐ支流のひとつであるダラン川の水源付近の山奥に建っています。蒸留所は1975年にカナダのシーグラム社が4番目の蒸留所として建てたものであり,カントリーホテルのような外観ながら,生産設備は1人だけで運用が可能な最新鋭のものとされています。
 興味を惹く外観でありながら,蒸留所にはビジターセンターや見学ツアーのような設定がなく,一般公開もされていません。

蒸留所のほど近くにはアルタベーン川が流れていますが,このアルタベーン(allt-a-bhainne)はゲール語に語源を持っており,「ミルク色の小川」のことを指します。これはかつて近傍に乳牛施設があり,農夫たちが乳搾りに使用した桶などをこの川で洗っていたことから,アルタベーンと呼ばれるようになったとされたとされています。
 しかし蒸留所の仕込み水はこのアルタベーン川ではなく,付近のベンリネス山の中腹にある泉であるため,混同しないよう注意が必要。

「アルタベーン蒸留所」蒸留所の歴史

アルタベーン蒸留所の歴史を下表のとおり整理しました!

西暦年内容
1975年シーグラム社によってアルタベーン蒸留所が創業される
2001年蒸留所がペルノリカール社の傘下となり,同社のウイスキー部門のシーバスブラザーズ社によって運営されるようになる
2003年蒸留所が閉鎖される(市場の低迷による)
2005年蒸留所が再稼働される

アルタベーンに纏わるストーリー

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「アルタベーン蒸留所」製法の特徴

  • 年間生産量
    420万L
  • 仕込み水
    ベンリネス山中腹の泉
  • モルトスター
    クリスプ社
  • ピーテッドレベル
    ノンピート
    ミディアムピーテッド
    (10〜20ppm)
  • マッシュタン材質
    ステンレス製フルロイタータン
  • マッシュタン容量
    1バッチ9トン
  • ウォッシュバック
    ステンレス製8基
  • 酵母
    マウリ社製,リキッド状
  • ウォッシュバック容量
    42,000L
  • 発酵時間
    48時間
  • スチル加熱方式
    蒸気間接加熱方式
  • ポットスチル(初留)
    ストレート型2基
  • ウォッシュスチル容量
    21,000L
  • ポットスチル(再留)
    バルジ型2基
  • スピリッツスチル容量
    13,000L
  • コンデンサー
    シェル&チューブ方式
  • 本留の度数
    68〜70%
  • ウェアハウス
    所外の集中熟成庫

工程全体の共通事項

 アルタベーン蒸留所は1975年に創業した比較的新興の蒸留所であり,またブレンデッドウイスキー用の原酒を賄う目的を有しています。そのため味わいの均一化を図るという意味でも生産工程のほとんどが自動化されています。
 実際に全ての工程を1人のみで全て完結させることができるため,蒸留所の従業員は9人のみとのこと。


製麦について

ポイント

 アルタベーン蒸留所では創業時より自社製麦を行なっておらず,製麦工程はクリスプ社を筆頭とした外部の専門業社(モルトスター)に委託し,そこから原料のモルトを購入しています。蒸留所にはパゴダ屋根のようなデザインが見受けられますが,これはある種の懐古的なものに留まり,実際には製麦設備は存在しません。

 ピーテッドレベルについては5〜7割程度がノンピートタイプ,残りがフェノール値約10〜20ppm程度のミディアムピーテッドタイプとされています。華やか系のウイスキーが売りのスペイサイドに位置していながらピーテッドモルトが仕込まれる背景には,アルタベーンが主体となる100パイパーズなどのブレンデッドウイスキーの製造に際して,ピーテッドタイプの原酒が求められていたという事実もあります。

用意された原料のモルトはローラー式のモルトミルで粉砕してグリストとしたのち,次の糖化の工程へと進みます!

↓工程の詳細な解説↓

糖化について

出典:whisky.com

ポイント

 アルタベーン蒸留所では仕込み水としてベンリネス山の中腹にある泉の水を採用しています。蒸留所の近くにはアルタベーン川という小川もありますが,仕込み水はベンリネス山なので混同に注意。マッシュタンは直径6.7mで,1バッチあたり9トンのグリスト容量を誇るステンレス製のフルロイタータンになります。

ここが特徴!

  • 糖化は週に25回分行われている

次の工程は発酵になります!

↓工程の詳細な解説↓

発酵について

出典:whisky.com

ポイント

 アルタベーン蒸留所には容量42,000リットルでステンレス製のウォッシュバックが8基設置されています。ウォッシュバックの下部が特殊な円錐状となっていますが,これはウォッシュの回収効率を追求した結果とのこと。酵母はマウリ社製でリキッド状のディスティラーズ酵母になります。

ここが特徴!

  • 発酵時間は48時間と一般的な水準に設定されている

次の工程は蒸留になります!

↓工程の詳細な解説↓

蒸留について

出典:whisky.com

ポイント

 アルタベーン蒸留所は容量21,000リットルでストレート型のウォッシュスチルが2基,容量13,000リットルでバルジ型のスピリッツスチルが2基設置されています。
 ラインアームについてウォッシュスチルはやや上向きですが,スピリッツスチルは地面とほぼ水平とされています。スチルの加熱方式は蒸気による間接加熱方式,コンデンサーはシェル&チューブ方式が採用されています。

ここが特徴!

  • ウォッシュスチルはストレート型のため,蒸気の環流はやや上向きのラインアームで生じる
  • 1基のウォッシュスチルは外部加熱装置を有しており,スチル投入前のウォッシュが予熱されることから,エネルギー効率に優れている
  • スピリッツスチルはボール状の膨らみ部にて,蒸気が環流するため,ライトな香味成分を確保しやすい

次の工程は熟成になります!

↓工程の詳細な解説↓

熟成について

ポイント

 アルタベーン蒸留所にはウェアハウスが併設されておらず,熟成は全てキースにあるシーバスブラザーズ社の集中熟成庫で行われています。ブレンデッドウイスキーに使用される原酒はこのように集中熟成庫に運び込まれることが多いですが,アルタベーンも生産される原酒のほぼ全てがブレンデッド用のため,例に漏れません。
 蒸留によって得られたニューポットは,加水によってアルコール度数を63.5%に調整したのちに樽詰めされ,集中熟成庫にて長い時間を眠ることとなります。

↓工程の詳細な解説↓

オフィシャルボトル一覧

アルタベーン蒸留所のオフィシャルボトルを紹介していきます!

アルタベーン
シングルモルト

ポイント

アルタベーン シングルモルト」は現在リリースされている当蒸留所唯一のオフィシャルシングルモルトであり,リフィルバーボン樽で熟成された原酒で構成されるノンエイジのボトルになります。
 特徴的な部分として,スペイサイドモルトでありながらミディアムピーテッドスタイルのウイスキーとされており,ピートスモークとフルーティさの見事なバランスが体現されています。ピーテッドへのこだわりの背景は公式サイトに明記されており,伝統的なスペイサイドらしさよりも自分たちの感覚を信じているという熱意が感じられます。

 このボトルは残念ながら日本では未だ未流通となっており,入手する術がありません。幸いにもアルタベーンはボトラーリリースが比較的充実しているため,よってアルタベーンを飲んでみたい方はボトラーリリースを探してみると良いでしょう。

香り

赤りんご/はちみつ/ピートスモーク/シリアル/アーモンドミルク/シナモンスパイス/チョコ/ココナッツ/バニラ

味わい

オークの甘さ/ココナッツ/バナナ/ピートスモーク/パイナップル/シナモン/ナッツ感

余韻

比較的短く,はちみつのようなナチュラルな甘さが続く

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参考資料

参考サイト:whisky.com / scotchwhisky.com / malt-whisky-madness.com / distilando.com / livingbythedram.nl / whiskymag.com / アルタベーン公式