デュワーズ【レビュー】ポルトガルスムース8年を徹底レビュー|おすすめの飲み方・100点評価|ウイスキーラウンドアップ

記事の概要

管理人によるボトルのレビューを通して、皆様にその魅力を伝える記事です!

デュワーズ ポルトガルスムース8年」はデュワーズのユニークカスクシリーズ第3弾,ポートワイン樽フィニッシュを特徴としたボトルになります。

そんなボトルについて…

  • 「デュワーズ ポルトガルスムース8年」ってなに?
  • ボトルの特徴
  • 香りと味わいを徹底レビュー
  • おすすめの飲み方について

などなど詳しく解説していきます!!

\\執筆者情報//

whisky_roundupのアバター

初谷(はつがい)

ウイスキーに関わるあらゆる情報をまとめ,「ウイスキーを知りながらより深く楽しめる記事」を発信しています。
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【経歴】東京都立大卒|元公務員・ネット酒屋開業
【資格】JWRC公認ウイスキーエキスパート|ウイスキー検定2級
【その他】バンド「Candid moment」のドラマー

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「デュワーズ ポルトガルスムース8年」ってなに?

各画像出典:デュワーズ公式

デュワーズ(Dewar's)とは…?

 デュワーズは1800年代中期頃,ジョン・デュワー氏によって創設されたブレンデッドウイスキーのブランドになります。100年を優に超える長い歴史を誇り,初めてガラス製のボトルを採用したとされていたり,ハイボールの起源となったとされていたり,今日のウイスキー文化の礎を築いたブランドのひとつであると言えるでしょう。
 現在のブランド所有者はバカルディ社であり,1899年に誕生した「デュワーズホワイトラベル」を最もリーズナブルな代表作として主にアメリカで絶大的な人気を獲得。ブレンデッド業界のTOPクラスに君臨する世界的に著名なブランドとなっています。

 またデュワーズを含めて多くのブレンデッドウイスキーは多様なモルト原酒とグレーン原酒を混合することで作られていますが,ブランドの個性を形成し,風味の中核を担うモルト原酒は特筆してキーモルトと呼ばれます。
 今回の主題であるデュワーズを構成するキーモルトについては「アバフェルディ・クライゲラキ・オルトモア・ロイヤルブラックラ・マクダフ」の5種類とされており,全てブランドとともにバカルディ社によって所有されています。

 ちなみにデュワーズのウイスキーはどれもブランド独自の「ダブルエイジ製法」を経て作られており,通常のブレンデッドウイスキーが樽熟成されたモルト原酒とグレーン原酒を混合することで完成するのに対し,デュワーズでは原酒をブレンドしたのちに再び樽熟成が施されています。
 このひと手間により,異なるテイストのベクトルを持った原酒たちが端正にまとまり,滑らかでバランスの良いウイスキーが生み出されています。

「Dewar's」
↓もっと深く知りたい方↓


ユニークカスクシリーズ

 今回紹介する「デュワーズ ポルトガルスムース8年」はデュワーズブランドの「ユニークカスクシリーズ」という熟成年数を8年に設定し,個性的な樽によるフィニッシュを適用した原酒がボトリングされるシリーズの第3弾としてリリースされたボトルになります。
 第1弾はラム樽フィニッシュ原酒を使用した「カリビアンスムース」,第2弾はメスカル樽フィニッシュ原酒を使用した「イリーガルスムース」,そして本作がルビーポートワイン樽フィニッシュが適用された「ポルトガルスムース」となっています。


キーモルト

 前述の通りデュワーズのキーモルトは「アバフェルディ・クライゲラキ・オルトモア・ロイヤルブラックラ・マクダフ」の5つとされています。ここではそれぞれがどんなウイスキーなのかを簡単に見ておきましょう

アバフェルディ(Aberfeldy)

 アバフェルディ蒸留所は南ハイランドのテイサイドと呼ばれるテイ川の流域,リゾート地としても知られるアバフェルディ村に所在しています。周辺を流れる「水の神のプール」とも呼ばれる上質な水を湛えるピティリー川の水を仕込み水とし,伝統的な製法で作られるウイスキーは,はちみつのような甘く芳醇な個性を有しています。
 デュワーズのキーモルトの中では最も重要な立ち位置とされており,実際にデュワーズの味わいを決定づけているのがこのアバフェルディになります。


クライゲラキ(Craigelachie)

 クライゲラキ蒸留所はスペイサイドのスペイ川中流域に位置しており,仕込み水は1891年の創業当時より不変で,付近のリトルコンバルの丘に湧き出す泉から採取しています。
 ウイスキーの生産においては,原料のモルトを乾燥させる際に油で炊いた火を利用するオイルヒーティングが採用されていたり,蒸留液の冷却に伝統的なワームタブを採用していたりと,サルファリーかつ重厚感のあるテイストを生み出す工夫が為されています。


オルトモア(Aultmore)

オルトモア蒸留所はスペイサイドのキース地区,霧が深い立地という意味合いでフォギーモスと呼ばれる土地に所在しています。スペイサイドモルトらしいノンピートタイプのウイスキーが作られており,フレッシュながらドライなテイストが特徴的です。


ロイヤルブラックラ(Royal Brackla)

 ロイヤルブラックラ蒸留所はスコットランドの北ハイランドに位置しており,1835年に当時の国王ウィリアム4世から王家御用達の勅許状を賜ったことにより,ロイヤルの名を冠することが認められた稀有な蒸留所になります。
 作られるウイスキーもまさしく「王のためのウイスキー」に違わない魅力を持ち,華やかでエレガントな高級感すら覚えてしまう素晴らしいテイストを誇ります。


マクダフ(Macduff)

マクダフ蒸留所はスコットランドの東ハイランドに位置しており,最新の技術や製法を取り入れたウイスキー作りが行われています。そのテイストはりんごやドライフルーツのようなフルーティ系の甘みを特徴としており,シングルモルトはデヴェロンという名称で販売されています。

「デュワーズ ポルトガルスムース8年」ボトルの特徴

\\ボトル外観//

\\ボトル諸元//

ボトル名デュワーズ ポルトガルスムース8年
地域スコットランド
種類ブレンデッドウイスキー
原料モルト・グレーン
容量700ml
度数40%

\\製法と特徴//

  • デュワーズ独自のダブルエイジ製法
    ▶︎多彩なモルト原酒とグレーン原酒を一度ブレンドしたのち,再度樽詰めして熟成させていることから,馴染みが良くバランスの整ったウイスキーが完成する
  • ルビーポートワイン樽フィニッシュ
    ▶︎ルビーポートワインを詰めていた樽で後熟することにより,アプリコットやベリー系フルーツのテイストを得ることができる
    ※ルビーポートは3年程度の比較的短い熟成期間で作られるポートワインのこと

【公式ティスティングノート】
香り

ポートワイン樽由来の新鮮な完熟アプリコット,ハネジューメロン,レッドチェリーのような香り
味わい

なめらかさとフルーティな味わい
余韻

バニラとハチミツのような長く続く甘い余韻

出典:バカルディ公式

「デュワーズ ポルトガルスムース8年」徹底レビュー!

まずレビューの項目について説明しておきます!

レビュー項目

  • 色味

ウイスキーをグラスに注ぎ、目視にて色の濃さを5段階評価します

  • 香り

香りについて私が感じ取った内容をまとめていきます

  • 味わい

味わいについても私が感じ取った内容をまとめます

  • 余韻

余韻の長さを5段階で評価します

  • 総評(100点満点)

ボトルのポジティブな風味とネガティブな風味を10段階で評価し、レーダーチャートで表現し,ポジティブで獲得した点数からネガティブの点数を引くことにより、ボトルを100点満点で評価します

また最後に総評を文章にて取りまとめていきます!

さてさて、それでは早速「デュワーズ ポルトガルスムース8年」をテイスティングレビューしていきます!

色味

 色味については金色よりもやや濃く,琥珀色というには少々薄いような印象。目を凝らすとやや赤みを感じるのが特徴的ですね。飲まずとも色味からルビーポートワインの空き樽でしっかりと熟成されていることが伝わってきます。

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香り

 香りの第一印象は甘く華やかといった感じで,その系統としては熟したベリーフルーツや柑橘ジャムにような,濃厚で粘り強い甘さといった印象で。また微弱ですが確かなピートスモークの主張も感じられ,軽く鼻に近づけただけでも香味の守備範囲の広さを強く感じます。

 続いて熟したアプリコットの甘さ,ドライフルーツやレーズン,エステリー系のクセになる甘さ,砂糖まみれのオレンジピール,カスタードクリーム,若めの浅い樽香,微弱な胡椒系スパイス香といった要素が感じられます。

 香り全体としては熟したベリーフルーツのようであり,濃厚な甘さがありながらも多少のビター感も共存しており,食べ頃の終わりに近づき始めたような果実の最も美味しい時期が連想されました。わずかなピートスモークも相まってバランスは非常に良いですね。
 浮かんできた情景が明確にあったので書いておくと,「旅先の旅館,疲れ切った夜の窓辺のようなノスタルジーでありながら,どこか特別なひととき」といった感じですね。個人的には大好きな香りです!

↓感じ取れる香り↓

熟したベリーフルーツ/微弱ピート/アプリコット/ドライフルーツ/エステリー/オレンジピール/カスタード/樽香/胡椒スパイス

味わい

 味わいの第一印象は甘さ・苦さ・中程度なピートスモークの三つ巴であり,やや甘みが強く感じられる印象です。味わいも香りと同様にベリー系の熟したフルーツのようであり,甘さがガツんと来た後に少し強めの苦味を呈しつつ素早く変化していく感覚です。

 続いてカラメルのようなコゲ感を伴う甘苦さ,ドライフルーツとレーズン,イチゴ風味のビターチョコレート,タンニンの渋み,ペッパースパイス,香ばしい樽香と木の甘さ,ナチュラルなはちみつの甘さなどの要素が感じられ,徐々にぶどうのような酸味と甘さに切り替わっていきました。

 全体としては強い甘さと同等かそれ以上に苦味が強く感じられるため,飲みやすいかどうかという論点ではやや微妙。風味の幅の広さに欠けているような印象も若干隠しきれていませんが,甘さ・苦味・優しいピートスモークのコントラストは見事ですね。
 ベリー系の熟したフルーツ感というのはこの価格帯のボトルにおいては非常に稀な要素ですし,苦味やピートスモークはネガティブな印象では全くありません。甘さや華やかさだけでなく,引っ掛かりのある個性的な要素を持っているという意味では唯一であり,独創性に優れた素晴らしい美味しさを感じることができました。

↓感じ取れる風味↓

熟したベリーフルーツ/カラメル/ドライフルーツ/イチゴチョコ/タンニン感/ペッパー/香ばしい樽香/自然のはちみつ/軽度ピートスモーク

余韻

 余韻にかけては赤い花を想像させる自然なはちみつの甘さを中心に,オークのビター感と柔らかなピートスモークが残ります。価格帯から見て予想外で驚いたポイントとして,かなり長い時間に渡って鼻から甘みが抜けていくのが感じられました。

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「デュワーズ ポルトガルスムース8年」飲み方について

さて、ここまではストレートにてボトルのレビューをしてきました。

そこで「デュワーズ ポルトガルスムース8年」はどの飲み方が一番美味しいのでしょうか。王道の飲み方である「トゥワイスアップ・ロック・ハイボール」の3種類で比較してみましょう!

飲み方について深く掘り下げた記事も書いているのでご参考までにリンクを貼っておきます!

トゥワイスアップでは?

ポイント

 トゥワイスアップでは華やかに磨きがかかり,香り・味わいともに砂糖付けのドライフルーツやオレンジマーマレードのような濃厚な甘さがより際立ちました。特に味わいでは苦味や酸味系の要素がかなり削ぎ落とされ,わかりやすい甘さ主体のテイストとして飲みやすさが卓越しています。
 微弱ながら香ばしいピートスモークは健在であり,サブ的な要素として中心に位置する甘みを引き立てる役割をかって出ています。

 全体としてはストレートよりもさらにバランスが整い,王道なブレンデッドスコッチウイスキーらしさが感じられるようになりました。甘く飲みやすいウイスキーが好みの方は加水がとてもおすすめ。

おすすめ度

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ロックでは?

ポイント

 ロックでは香りの主体がライトリーピーテッド程度の軽快なスモーク感とわかりやすい砂糖付けのドライフルーツ感の二大巨頭となりました。しかし味わいでは冷やされたことによってかなり多くの要素が削ぎ落とされており,微小なピート香が付与された甘い水のような印象に落ち着いてしまっています。

 感じられる要素が厳選された分,飲みやすさに長けており,食中酒などとしても使いやすそうには感じますが,単体で飲むには多少の寂しさが残るかもしれません。気軽に飲みたい時にはロックは非常に向いているように思います。

おすすめ度

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ハイボールでは?

ポイント

 ハイボールにおいてもドライフルーツ系の甘みと柔和なピートスモークがよく感じられますが,ウッディなビター感がドライな印象を演出するため,ハイボールとして非常にバランスが良く,単純に飲みやすくて美味しいです。

 当たり前にストレートやトゥワイスアップよりも風味の多様性は損なわれてしまいますが,やはりハイボールはデュワーズの真骨頂です。このボトルが本来持っている風味のポテンシャルを感じるという意味ではストレートや加水に軍杯が上がりますが,それとは別軸の楽しい時間を支えてくれる飲み方として,ハイボールもおすすめしたいところですね。

おすすめ度

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「デュワーズ ポルトガルスムース8年」総評

最後に総評に入りたいと思います!まずはレーダーチャートから!

ポジティブ

ネガティブ

さてさて、気になる点数は…

点数の理由と評価

 まず「デュワーズ ポルトガルスムース8年」の香りについては非常に甘く華やかな印象であり,背景の微弱なピートスモークも相まって卓越したバランスの良さを感じることができました。一方で味わいについては熟したベリーフルーツのような濃厚な甘みがありながらも,苦味とピートスモークの主張もしっかりとあり,ネガティブ感こそありませんが決して飲みやすさには長けていなかった印象があります。

 しかし完全なる王道のテイストではなく,どこか引っ掛かりのある個性はこのボトル特有の魅力と捉えることも出来,この価格帯ながら歴然とした独自性を持っているというのは間違いなく強みです。一度飲んでみる価値が大いにあるでしょう。

 一応このボトルは数量限定品なので少し気になると感じたら淘汰される前に購入を検討しておいた方が良さそうです。2023年1月中旬時点で,ユニークカスクシリーズ第1弾のカリビアンスムースが6,000円以上まで値上がりしているのを見るに,今後価格高騰の影響を受ける可能性があります。

 最後にコスパと入手性についてですが,正規の価格帯とテイストを照らし合わせれば十分なほどに良好なコスパを誇り,金額に見合ったパフォーマンスを発揮してくれることは間違い無いでしょう。入手性についても前述の通り数量限定品ですが,幸いにも未だ酒屋さんやAmazon等の大手通販サイトでも適正価格で販売している様子が見受けられますので,容易に購入が可能です。(2023年1月中旬現在)

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レビューに使用した道具たち

グラス:グレンケアン

ジガーカップ:JOYONEというメーカーのものをAmazonで購入して使っています。
正直計りたい分量が計れるものであれば何でもいいと思います!