タムナブーリン蒸留所(Tamnavulin)|場所・歴史・製法・ボトル|ウイスキーラウンドアップ

記事の概要

世界中の蒸留所図鑑完成を目標としたシリーズです。

今回は「タムナブーリン蒸留所」になります!

Points!
「立地・歴史・伝統的な製法・オフィシャルボトルの簡単な解説」

キーワード

グレンリベットを名乗る蒸留所/サブクーラーと精留器/ホワイト&マッカイ

タムナブーリンの特徴

ノンピート/スペイサイド伝統派/軽やかでクリーン/りんご/オレンジ/モルティ

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タムナブーリン蒸留所

タムナブーリン蒸留所の立地・歴史・製法についてまとめていきます。

蒸留所の概要

創業年1966年
所有会社エンペラドール社
地域分類スコットランド
スペイサイド,リベット地区
発酵槽ステンレス製9基
ポットスチル初留3基・再留3基
仕込み水イースタートンの丘の地下泉
ブレンド先フィンドレーター
ホワイト&マッカイなど

「タムナブーリン蒸留所」蒸留所の立地

出典:whisky.com

ポイント

タムナブーリン蒸留所はスペイサイドのリベット地区に位置しています。より具体的にはケアンゴーム山脈の麓,ザ・グレンリベット蒸留所から南に4キロ程度のタムナブーリンの村に建っています。

この場所はグレンリベットと同じくリベット川のほとりであり,まさしくグレンリベット(静かな谷)に含まれる土地に建っていることから,創業時より蒸留所の正式名称はタムナブーリン-グレンリベット蒸留所とされています。

現在の敷地に蒸留所が建つ以前は,この場所で羊毛のカーディング工場が操業しており,当時の建物は長らくビジターセンターとして活用されてきました。しかし現在は取り壊されてしまったとのこと。

ちなみにタムナブーリン(Tamnavulin)はゲール語に語源を持っており,「丘の上の水車」と訳すことができます。実際に丘の上には水車を動力とした製粉を行う粉挽き機がありました。

「タムナブーリン蒸留所」蒸留所の歴史

タムナブーリン蒸留所の歴史を下表のとおり整理しました!

西暦年内容
1966年インバーゴードン社傘下のタムナブーリン・グレンリベット・ディスティラリー社タムナブーリン蒸留所を創業する
1993年インバーゴードン社がホワイト&マッカイ社に買収される
1995年同年5月に蒸留所が閉鎖される
2000年稀に操業されるようになっていたが依然閉鎖状態である
2007年ホワイト&マッカイ社がインドのユナイテッドスピリッツ社に買収される
蒸留所の操業が再開される
2014年ホワイト&マッカイ社がフィリピンのエンペラドール社に買収される

タムナブーリンに纏わるストーリー

\\タップで開く//


タムナブーリンがキーモルト
\\ホワイト&マッカイ//

「タムナブーリン蒸留所」製法の特徴

  • 年間生産量
    400万L
  • 仕込み水
    イースタートンの丘の地下泉
  • ピーテッドレベル
    ノンピート
    (過去にピーテッドの使用歴あり)
  • マッシュタン材質
    ステンレス製フルロイタータン
  • マッシュタン容量
    1バッチ11トン
  • ウォッシュバック
    ステンレス製9基
  • ウォッシュバック容量
    50,000L
  • 発酵時間
    48時間
  • スチル加熱方式
    蒸気間接加熱
  • ポットスチル(初留)
    ストレート型3基
  • ウォッシュスチル容量
    17,500L
  • ポットスチル(再留)
    ストレート型3基
  • スピリッツスチル容量
    15,000L
  • コンデンサー
    シェル&チューブ
  • 本留の度数
    69%
  • 樽詰め度数
    63.5%
  • ウェアハウス形式
    ラック式2棟

製麦について

ポイント

タムナブーリン蒸留所では自社製麦を行っておらず,製麦工程を外部の専門業社(モルトスター)に委託しています。ピーテッドレベルは全てノンピートとされており,現在ピーテッドタイプの麦芽が仕込まれることはありません。

しかし2010年から2013年に間において,フェノール値55ppmのヘビリーピーテッドタイプの麦芽で仕込みを行っていた時期がありました。

用意された原料のモルトは,モルトミルで粉砕してグリストとしたのち,糖化の工程へと進みます!

↓工程の詳細な解説↓

糖化について

ポイント

タムナブーリン蒸留所では,自然のライムストーンにより濾過された水を湛えるイースタートンの丘の地下泉から仕込み水を引いています。マッシュタンは1バッチあたり11トンのグリスト容量を誇るステンレス製のフルロイタータンになります。

製麦によって得られたグリストは,1回目のお湯と混合されたのちにマッシュタンへと投入され,2,3回目のお湯をスパージングすることで糖化が進められます。この糖化手法はワンステップ・インフュージョン法と呼ばれています。

各回のお湯との接触ごとに,糖類を含有したウォートという溶液が抽出されており,通常糖類が多く含有されている1,2回目のウォートが発酵に回され,3回目のウォートは次回の糖化バッチにて,お湯と混合して注がれることとなります。

次の工程は発酵になります!

↓工程の詳細な解説↓

発酵について

ポイント

タムナブーリン蒸留所には容量50,000リットルでステンレス製のウォッシュバックが9基設置されています。使用される酵母は一般的なディスティラーズ酵母です。

ウォッシュバックについて,2015年以前はステンレス製4基・コールテン鋼製4基という体制でしたが,コールテン鋼製のものは撤去され,腐食の危険性がなく現在の主流であるステンレス製のものが新たに5基設置されて現在の体制となりました。

糖化によって得られたウォートは,熱交換器(ヒートエクスチェンジャー)を介して20℃前後まで冷却されたのち,酵母と混合してウォッシュバックに投入することで発酵が始まります。

発酵にかける時間は48時間と,スコットランドで一般的な短めに設定されています。乳酸発酵が卓越する前に発酵が終了されることから,比較的重めの複雑なテイストが活かされることとなります。

発酵が完了するとアルコール度数約7〜9%程度となったウォッシュを得ることができます。

次の工程は蒸留になります!

↓工程の詳細な解説↓

蒸留について

ポイント

タムナブーリン蒸留所には容量17,500リットルのウォッシュスチルが3基,容量15,000リットルのスピリッツスチルが3基設置されています。加熱方式は蒸気による間接加熱方式,コンデンサーはシェル&チューブ方式が採用されています。

形状はどれもストレート型でありラインアームは概ね水平です。特筆すべき点として,ウォッシュスチルには蒸気の冷却効率を高めるサブクーラーが,スピリッツスチルのラインアームには精留器が設置されています。

サブクーラーの作用により蒸気の液化が早められると,蒸留液がコンデンサーの銅製チューブに接する時間が増加するため,硫黄化合物等の不快な香気の除去が進行します。また精留器は再留時の還流を増加させることから,クリーンで軽やかなアルコール蒸気のみを厳選する役割を果たします。

−初留−

発酵によって得られたウォッシュはウォッシュスチルへと投入され,初留が行われます。初留ではウォッシュに含まれるアルコールの全量が抽出され,アルコール度数が20%強程度となったローワインを得ることができます。

−再留・ミドルカット−

続いてローワインは,前回蒸留時にカットされた前留・後留と共にスピリッツスチルへと投入され,再留が行われます。

再留によって得られるニューポットはスピリッツセイフと呼ばれる箱を経由し,その中でアルコール度数や含有成分の好ましくない蒸留初期・終期の蒸留液(前留・後留と言う)がカットされ,性質の優れた中間の本留のみが確保されます。

この作業はミドルカットと言い,後留のアルコール度数が1%となるまで継続されます。タムナブーリンにおいて,最終的に得られる本留はアルコール度数が約69%程度となり,樽詰めされるまではスピリッツレシーバーという容器に一時貯蔵されます。

次の工程は熟成になります!

↓工程の詳細な解説↓

熟成について

ポイント

タムナブーリン蒸留所には貯槽容量に優れたラック式のウェアハウスが2棟建っています。ラックは高さ方向に10樽を保管できる巨大なサイズ感であり,合計35,000樽を貯蔵することが可能です。

しかしながら貯蔵容量全てがタムナブーリンのシングルモルトに使用されているわけではなく,ブレンデッドウイスキーのホワイト&マッカイに使用される他の蒸留所の原酒も一部貯蔵されています。

熟成に使用される樽はバーボン樽とシェリー樽が主体となっています。

蒸留によって得られたニューポットは,加水によってアルコール度数を63.5%に調整したのちに樽詰めされ,ウェアハウスにて長い時間を眠ることとなります。

↓工程の詳細な解説↓

オフィシャルボトル一覧

タムナブーリン蒸留所のオフィシャルボトルを紹介していきます!

タムナブーリン ダブルカスク

ポイント

タムナブーリン ダブルカスク」はタムナブーリン蒸留所のオフィシャルシングルモルトのうち,最もスタンダードなボトルになります。

その構成はアメリカンオーク樽で主たる熟成を行ったのち,シェリー樽でのフィニッシュを経た原酒から成立しており,香り高くリッチなテイストを特徴としています。

最大の魅力はなんといってもそのリーズナブルな価格帯であり,スペイサイドらしい華やかなウイスキーが概ね3,000円程度で入手可能なのは神コスパ。

香り

りんご/トフィー/はちみつ/暖かいモルティ感/オレンジマーマレード

味わい

洋ナシ/ピーチ/パイナップル系トロピカル/黒糖感

余韻

濃厚で滑らかな甘さ/スペイサイドモルトらしい印象が残る


タムナブーリン
シェリーカスクエディション

ポイント

タムナブーリン シェリーカスクエディション」はタムナブーリン蒸留所の公式ラインナップのうち,シェリー樽のテイストにフィーチャーしたボトルです。

アメリカンオーク樽でメインの熟成を経たのち,詳細な種類を明かされていませんが,3種類のシェリー樽でフィニッシュされた原種で構成されています。

そのテイストは焼きたてタルト,バナナ,ジンジャースパイス,デメララシュガーなどの多彩な甘さが特徴的でとなっています。

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参考資料

参考サイト:タムナブーリン公式 / whisky.com / scotchwhisky.com / malt-whisky-madness.com