【レビュー】スプリングバンク10年|100点満点評価|ウイスキーラウンドアップ

記事の概要

管理人によるボトルのレビューを通して、皆様にその魅力を伝える記事です。

今回は…
スプリングバンク10年

当記事では,このボトルについて

などなど詳しく解説していきます!!

\\執筆者情報//

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初谷(はつがい)

ウイスキーに関わるあらゆる情報をまとめ,「ウイスキーを知りながらより深く楽しめる記事」を発信しています。
【Shop】The whisky shop Drinkable books
【経歴】東京都立大卒|元公務員・ネット酒屋開業
【資格】JWRC公認ウイスキーエキスパート|ウイスキー検定2級
【その他】バンド「Candid moment」のドラマー

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「スプリングバンク」ってなに?

スプリングバンクの解説

スプリングバンク」はスコットランドのキャンベルタウンに現存する3つの蒸留所のうち,最も古くから生き残り続けている「スプリングバンク蒸留所」が手がけるシングルモルトブランドのひとつになります。

 同蒸留所は生産量こそ年間75万リットルとかなり少量ですが,製麦は所内のフロアモルティングのみで賄い,3段階のピーテッドレベルの原酒が生み出されています。
 また蒸留回数も特殊で,2回,2.5回,3回蒸留の3種類の設定があり,ピーテッドレベルに合わせて適用される蒸留回数を変化させています。

 そしてノンピートタイプ・3回蒸留の原酒が「ヘーゼルバーン」,ライトリーピーテッド・2.5回蒸留の原酒が「スプリングバンク」,ヘビリーピーテッド・2回蒸留の原酒が「ロングロウ」として公式リリースされています。

 上記3ブランドとも供給に対する需要が圧倒的に多い状況が続いており,恒常的に入手することは容易ではありませんが,圧巻の完成度と満足感を誇り,口にするだけで貴重な経験となるボトルです。バーなどで見かけた際には是非。

「スプリングバンク10年」ボトルの特徴

\\ボトル外観//

\\ボトル諸元//

ボトル名スプリングバンク10年
地域スコットランド
キャンベルタウン
種類シングルモルト
原料モルト
容量700ml
度数46%

\\製法と特徴//

  • 潮風の届く港町で熟成される
    ▶︎スプリングバンク特有の海を感じさせるブリニーな塩辛さが原酒に付与されている
  • 2.5回蒸留を適用
    ▶︎通常の2回蒸留の流れで作られた初留液の一部と再留液を混合し,もう一度蒸留することで2回蒸留と3回蒸留の液体が混ざるため,軽さと重さの中間に位置する独特なテイストが生まれている
  • ライトリーピーテッドスタイル
    ▶︎麦芽の乾燥時にピート燻煙を一部活用しており,完成するウイスキーはほのかなスモーク感を獲得している
  • シェリー樽原酒40%・バーボン樽原酒60%
    ▶︎シェリー樽由来のフルーティかつ甘いテイストと,バーボン樽由来のクリーミーな甘さが見事に融合したバランスの良さ

「スプリングバンク10年」徹底レビュー!

まずレビューの項目について説明しておきます!

レビュー項目

  • 色味

ウイスキーをグラスに注ぎ、目視にて色の濃さを5段階評価します

  • 香り

香りについて私が感じ取った内容をまとめていきます

  • 味わい

味わいについても私が感じ取った内容をまとめます

  • 余韻

余韻の長さを5段階で評価します

さてさて、それでは早速「スプリングバンク10年」をテイスティングレビューしていきます!

色味

色味は僅かに淡さは残しつつも,力強さの伝わる琥珀みがかったブラウンゴールドといった感じですね。

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香り

 香りの第一印象としては,塩がまぶされたクラッカーのようなモルティ系の甘さと,潮風を伴ったほのかなピートスモークを感じることができました。キャンベルタウンらしいブリニーな塩辛さがしっかりと活きており,期待を裏切らない素晴らしい香りです。

 その他にも非常に多彩な要素を感じることができ,具体的には柑橘フルーツのフレッシュ感,ドライフルーツ,レーズンの渋み,ナチュラルなはちみつ,乾いた香ばしいウッディ感,胡椒系のスパイシー感などが挙げられます。

 全体としてはフルーティ&弱ピーティ&ブリニーの三つ巴といったバランス感で,どの軸方向にも譲らない芯と厚みがありました。類稀な気高さと圧倒的な満足感を誇る素晴らしい香りですね。

↓感じ取れる香り↓

塩クラッカー|モルティ|潮風|弱ピートスモーク|柑橘|ドライフルーツ|レーズン|蜂蜜|ウッディ|胡椒

味わい

 味わいの第一印象には,パラっとしたクッキーのように思えるモルティな甘さと,海の真横にいるかのようなピリリとくる塩味,そして程よいアクセントとなるピートスモークを感じることができました。

 ボディが非常に厚く,口に含んでから少しの間は香味があまりにも複雑かつパワフルのため,一瞬感覚が渋滞を起こしますが,慣れてくるとオレンジピールの甘さ,バニラとキャラメル,コーヒー系のビター感,香ばしく焦げたウッディ感,胡椒スパイスなども感じられます。

 味わい全体を俯瞰すると,香りと同様に気高さと満足感にあふれた完成度の高すぎる逸品であることがしっかりと分かり,入手困難な現状にも頷けてしまう代物。飲みやすいとは言い難いですがやはりモルトファンならば必見と言えますね。

↓感じ取れる風味↓

クッキー|モルティ|海|ブリニー|適度なピート|オレンジピール|バニラ|キャラメル|コーヒー|焦げウッディ|胡椒

余韻

 余韻ではコーヒーを思わせるウッディなビター感をベースとし,香りや味わいと同様のフルーティ&弱ピーティ&ブリニーの3軸に長けつつも,偏りがなく素晴らしいバランス感を誇っていました。

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「スプリングバンク10年」総評

最後に総評に入りたいと思います!まずはレーダーチャートから!

レーダーチャート

さてさて、気になる点数は…

点数の理由と評価

 まず「スプリングバンク10年」の香りと味わいについては,フルーティ&弱ピーティ&ブリニーな,突き抜けたキャンベルタウンらしい個性を持ちながら,しっかりとしたバランス感を保つ完成度の高さを誇っていました。

  テイストが非常に多層的かつ複雑であるため,まるで分かりやすくはありませんが,突き詰めていけばどこまでも広がる多彩な要素を感じ取ることができます。非常に貴重なボトルですが,口にすることは何者にも変え難い濃密な経験となるでしょう。

 また初心者向けかどうかという観点では,アルコール度数がちょい高かつ,厚いボディに複雑に入り組んだテイストを特徴としていることから,ややハードルが高いと言わざるを得ないでしょう。ある程度ウイスキーの風味に慣れた時に飲んでこそ,その魅力を真に感じられることでしょう。

 最後にコスパと入手性の観点においては,どちらもかなり微妙と考えられます。

 まずコスパについて言及すると,このボトルの希望小売価格自体は10,000円程度ですが,流通量があまりにも少ないため,,その価格で見つけることはほぼ不可能に近いでしょう。よって必然的に市場価格ベースで考えざるを得ませんが,そうなると流石にコスパが悪すぎると思われます。(もし10,000円で買えるならコスパ最強です。)

 さらに同様の理由で入手性も非常によろしくなく,市場価格ですら店頭で見かける機会がほとんどありません。需要と供給のバランスが完全に崩壊してしまっているので,まるで幻。もし希望小売価格で購入した方がいらしたら,教えて欲しいくらいです(笑)

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レビューに使用した道具たち

グラス:グレンケアン

ジガーカップ:JOYONEというメーカーのものをAmazonで購入して使っています。
正直計りたい分量が計れるものであれば何でもいいと思います!