【特集】ロイヤルブラックラ蒸留所(Royal Brackla)|場所・歴史・製法・味と種類|ウイスキーラウンドアップ

記事の概要

世界中の蒸留所図鑑完成を目標としたシリーズです。

今回は「ロイヤルブラックラ蒸留所」になります!

Points!
「立地・歴史・伝統的な製法・オフィシャルボトルの簡単な解説」

キーワード

ウィリアム4世/キングス・オウン・ウイスキー/王家御用達の勅許状

ロイヤルブラックラの特徴

ノンピート/シェリー樽熟成/華やか/エステリー/フルーティ/極甘/フローラル

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初谷(はつがい)

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ロイヤルブラックラ蒸留所

ロイヤルブラックラ蒸留所の立地・歴史・製法についてまとめていきます。

蒸留所の概要

創業年1812年
所有会社バカルディ社
地域分類スコットランド,北ハイランド
発酵槽カラ松製6基・ステンレス製2基
ポットスチル初留2基・再留2基
仕込み水コーサックの泉
コーダー川
ブレンド先デュワーズなど

「ロイヤルブラックラ蒸留所」蒸留所の立地

出典:google map

ポイント

ロイヤルブラックラ蒸留所はスコットランドの北ハイランドに位置しています。より具体的には北海に面したリゾート地としてその名を馳せるネアンの街,B9090号線沿いに建っています。

付近にはシェイクスピアの「マクベス」にて,マクベスがダンカン王を殺した描写が為されたコーダー城がありますが,この城には現在もコーダー家の人物が居住しており,蒸留所が建てられた土地もコーダー家が所有する土地の一角でした。

蒸留所の背後には広大で平坦な畑は現在も農地として使用されていますが,第二次世界大戦中は飛行場として利用されていた時期がありましたが,特段ウイスキーの生産には影響がなかったのが幸い。

「ロイヤルブラックラ蒸留所」蒸留所の歴史

ロイヤルブラックラ蒸留所の歴史を下表のとおり整理しました!

西暦年内容
1812年ブラックラ蒸留所がウィリアム・フレイザー大尉によって創設される
1835年蒸留所が国王(ウィリアム4世)より王家御用達の勅許状を与えられた初の蒸留所となる
これにより蒸留所名が「ロイヤルブラックラ」となる
1846年創業者のフレイザー大尉が78歳で死去する
1852年蒸留所が創業者の息子のロバートフレイザー氏に引き継がれる
1878年ロバート氏が個人で蒸留所を運営することが難しくなったため,自身の会社であるロバートフレイザー&Co社に蒸留所の運営を引き継ぐ
1886年ロバートフレイザー氏が亡くなる
1897ロバート氏の死後,複数の所有者変更を経て,ウォルター・C・ニュービギング氏ら4人が設立したブラックラディスティラリー社が蒸留所の運営を引き継ぐ
マッシュタンルームなどの生産設備が最新のものに更新される
1919年ブラックラディスティラリー社がアバディーンのジョン・ミッチェル氏とジェームズ・リース氏に買収される
1926年蒸留所がジョン・ビセット社へと売却される
1943年ジョン・ビセット社がスコティッシュ・モルト・ディスティラーズ社(DCL傘下)に買収される
1964年以降1966年にかけて蒸留所の拡張が行われれる
併せて伝統的なフロアモルティングが廃止される
1970年ポットスチルが2基⇨4基に増設される
1985年ウイスキー業界の低迷により1990年までの5年間に渡りって閉鎖を余儀なくされる
1990年蒸留所がユナイテッド・ディスティラーズ社UDに買収される
1993年UD社により、「花と動物シリーズ ロイヤルブラックラ10年」がリリースされる
1997年UD社がグランドメトロポリタングループと合併してディアジオ社が設立される
200万ポンドをかけて蒸留所の改修が行われる
1998年ディアジオがウイスキー業界の独占的シェアを誇示していることが問題視され,ロイヤルブラックラはデュワーズの原酒を作る他の蒸留所とともにバカルディ社へと売却される
2015年バカルディ社によって3種類のオフィシャルボトルがリリースされる
2019年オフィシャルボトルの年数が刷新されて、12年・18年・21年となる

ロイヤルブラックラに纏わるストーリー

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「ロイヤルブラックラ蒸留所」製法の特徴

出典:dewar's公式
  • 年間生産量
    410万L
  • 仕込み水
    コーダー川,コーサックの泉
  • モルトスター
    ベアーズ社など
  • ピーテッドレベル
    ノンピート
  • マッシュタン材質
    ステンレス製フルロイター
  • マッシュタン容量
    1バッチ12.6トン
  • ウォッシュバック
    カラ松製6基,ステンレス製2基
  • 酵母
    ケリー社製
  • ウォッシュバック容量
    60,000L
  • 発酵時間
    78〜120時間
  • スチル加熱方式
    蒸気間接加熱
  • ポットスチル(初留)
    ストレート型2基
  • ウォッシュスチル容量
    20,000L
  • ポットスチル(再留)
    ストレート型2基
  • スピリッツスチル容量
    23,000L
  • コンデンサー
    シェル&チューブ
  • 本留の度数
    70%
  • ウェアハウス形式
    デュワーズの熟成庫(所外)

製麦について

ポイント

ロイヤルブラックラ蒸留所では1964年までフロアモルティングによる自社製麦が行われていましたが,現在は製麦工程を外部のモルトスター(主にベアーズ社)に委託し,そこから原料のモルトを購入しています。

ピーテッドレベルについては全てノンピートとされており,クリーンかつフルーティ,そして甘みが主体的な飲みやすいテイストのウイスキーが作られています。

ブラックラの麦芽貯蔵可能容量は非常に大きく,32,000トンの麦芽を保管し,毎週212トン(1バッチは12.6トン)という莫大な量のモルトがモルトミルで粉砕されてグリストとなり,糖化の工程へと進みます!

↓工程の詳細な解説↓

糖化について

ポイント

ロイヤルブラックラ蒸留所では仕込み水としてコーダー川及びコーサックの泉の水を採用しています。マッシュタンは1バッチあたり12.6トンのグリスト容量を誇るステンレス製のフルロイタータンになります。

ここが特徴!

  • お湯の温度について,1回目は75℃,2回目は80℃,3回目は85℃とされている
  • 1バッチあたり60,000リットルのウォートを得ることができる
  • ウォートは透明であるため,エステリーかつ華やかなテイストが助長される

次の工程は発酵になります!

↓工程の詳細な解説↓

発酵について

ポイント

ロイヤルブラックラ蒸留所には容量60,000リットルでカラマツ製のウォッシュバックが6基,ステンレス製のウォッシュバックが2基設置されています。使用される酵母はケリー社製のディスティラーズ酵母になります。

カラマツ製の発酵槽が屋内に設置されているのに対し,以前増設された2基のステンレス製の発酵槽は屋根が完全に閉じられていない,雨風に晒される半屋外的な場所に設置されています。

ここが特徴!

  • 78〜120時間にも及ぶ長い発酵時間が設定されている
  • ウォッシュのアルコール度数は8%程度

次の工程は蒸留になります!

↓工程の詳細な解説↓

蒸留について

ポイント

ロイヤルブラックラ蒸留所には容量20,000リットルのウォッシュスチルが2基,容量23,000リットルのスピリッツスチルが2基設置されています。加熱方式は蒸気による間接加熱方式,コンデンサーはシェル&チューブ方式が採用されています。

形状はどちらもストレート型でどっしりとしたポット部から細長くの伸びたネックが印象的な構造となっています。ラインアームはやや上向とされており,蒸気の還流及び銅との接触機会の増大が促されます。

蒸留の容量について,発酵によって得られた60,000リットルのウォッシュは初留3回分に相当し,1回の初留ではアルコール度数26%程度で約7,500リットルのローワインが得られます。再留は初留2回分(約15,000リットル)に前回バッチの廃液(約7,500リットル)を混合して行われます。

ここが特徴!

  • 再留は最大加熱能力の20%程度の弱火で,1時間に900リットルという遅いスピードで進行される
  • 前留は30分間程度,確保される本留は4〜4時間半程度で度数62%までの蒸留液となります。

次の工程は熟成になります!

↓工程の詳細な解説↓

熟成について

ポイント

ロイヤルブラックラ蒸留所には複数のウェアハウスが併設されていますが,実際は使用されておらず,熟成は本土のグラスゴーにあるディアジオが所有するデュワーズの集中熟成庫で行われています。

ウェアハウスの形式は伝統的なダンネージ式と貯蔵容量に特化した近代的なラック式が併用されています。使用される樽はオロロソシェリーでシーズニングされたバットが主体となります。

蒸留によって得られたニューポットは樽詰めされたのちにグラスゴーに移送され,ウェアハウスにて長い時間を眠ることとなります。

↓工程の詳細な解説↓

オフィシャルボトル一覧

ロイヤルブラックラ蒸留所のオフィシャルボトルを紹介していきます!

ロイヤルブラックラ12年

ポイント

ロイヤルブラックラ12年」はロイヤルブラックラ蒸留所の公式シングルモルトのうち,最もスタンダードなボトルになります。

一応公式ラインナップとして18年(2019年以前は16年)・21年のボトルが存在していますが,日本では非常に流通量が少なく,通販等で継続的に購入出来るのはこの12年のみとなります。

オロロソシェリー樽でフィニッシュされた原酒を中心に構成されており,フルボディなシェリーの甘みやスパイス香がバランスよく感じられるエレガントなテイスト。

ロイヤルの名を冠した「The King’s own whisky」として見事な完成度を誇るボトルであり,自分へのご褒美のも贈答品にも最適なゴージャス感溢れるボトルです。

香り

濃いレーズン/ミルクキャラメル/フローラル/フルーツバスケット/ハーブ園/バニラ/モルティ/シナモン系スパイス

味わい

砂糖漬けドライフルーツ/ヘーゼルナッツ/りんごと桃/シナモン/はちみつとバニラ/バラ園/フローラル/ビターチョコ/ぶどう/ジンジャー

余韻

華やかで上品なフルーティ感が非常に長く続く/スパイシーな印象も微かに残る

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参考資料

参考サイト:whisky.com / scotchwhisky.com / diffordsguide.com / malt-whisky-madness.com / scotchwhisky.net / デュワーズ公式 / ロイヤルブラックラ公式