記事の概要
管理人によるボトルのレビューを通して、皆様にその魅力を伝える記事です。
今回は…
「ポートシャーロット10年」
当記事では,このボトルについて
などなど詳しく解説していきます!!
\\執筆者情報//
初谷(はつがい)
ウイスキーに関わるあらゆる情報をまとめ,「ウイスキーを知りながらより深く楽しめる記事」を発信しています。
【Shop】ウイスキー専門店『Drinkable books』
【経歴】東京都立大卒|元公務員・ネット酒屋開業
【資格】JWRC公認ウイスキーエキスパート|ウイスキー検定2級
【その他】バンド「Candid moment」のドラマー
各種SNSも運用中!
「ポートシャーロット」ってなに?
ポートシャーロットの解説
- 蒸留所とブランド
『ポートシャーロット』はスコットランドのアイラ島、インダール湾沿岸のボウモアとは反対側に位置する,ブルックラディ蒸留所が生産を手がけるシングルモルトブランドのひとつになります。
同蒸留所のウイスキー作りにおいては,その環境によって育まれる個性をとても大切にする「テロワール」の概念を強く重視しており,最終的には原料から生産工程まで全てをアイラ島で行うことが目標とされています。そしてこの目標は既にかなり達成に近づいており,2023年には自社製麦設備が導入予定であり、原料のモルトも既に半数程度はアイラ島産のものに置き換わっています。そんなブルックラディ蒸留所で作られるウイスキーはまさしく純粋なアイラ島の個性が強調された、非常に品質の高いものとなっています。
またブルックラディ蒸留所の最も面白いポイントは,主にピーテッドレベルの違いによる3種類のブランドが設けられている点にあります。その3種とは,ノンピートタイプの”ブルックラディ”,ヘビリーピーテッドタイプの”ポートシャーロット”,ウルトラヘビリーピーテッドの”オクトモア”であり,それぞれが強力かつ個性的な美味しさを秘めています。
「ポートシャーロット10年」ボトルの特徴
\\ボトル外観//
\\ボトル諸元//
ボトル名 | ポートシャーロット10年 |
地域 | スコットランド アイラ島 |
種類 | シングルモルト |
原料 | モルト |
容量 | 700ml |
度数 | 50% |
\\製法と特徴//
- フェノール値40ppmのヘビリーピーテッドタイプ
▶︎アイラ島のピートがふんだんに焚かれた麦芽を原料としているため,若干のヨード香を孕んだ特有のスモーキーテイストが強く出ている。 - 10年熟成によるマイルドなスモーキーテイスト
▶︎ヘビリーピーテッドタイプの原酒は,長期間の熟成によって徐々にまろやかさを獲得し,個性的ながらも馴染みがよく,心地よいスモーキーテイストへと変化していく。 - 1stFillバーボン樽65%,2ndFillバーボン樽10%,2ndFillフレンチワイン樽25%の構成
▶︎ファーストフィルとリフィルのバーボン樽によって,強すぎず弱すぎない絶妙な樽感が得られている他,フレンチワイン樽由来のほのかなフルーティテイストがしっかりと活かされている。
「ポートシャーロット10年」テイスティングレビュー
さてさて、それでは早速「ポートシャーロット10年」をテイスティングレビューしていきます!
色味
『ポートシャーロット10年』の色味については,いかにもアイラモルトらしい透き通った印象が強く,うっすらとした金色といった感じに見えます。
客観的な指標としてwhiskys.co.ukの色見本に準えて評価すると,"Yellow Gold"よりも少し薄いくらいであると言えるでしょう。
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香り
- 第一印象
強いピートスモーク,燃える木,穀物っぽいエステリー感,やや乾いた土壌感
ピート臭が強いため苦手な人には適さない|アルコール感は少し感じる程度
- 経時変化で見える要素
花の蜜のような蜂蜜感,オレンジジャム,スパイシーな海の要素
筆者の一言
香りにおいては,アイラモルトらしいスモーキーテイストが強く出ていますが,わりかし乾燥したドライな煙たさが強くてスッキリとしていたため,意外にもとっつきやすい煙たさであるように思いました。
感覚を凝らせば花の蜜やオレンジのような華やかな香味も見つけることができるため,どちらかと言えば,アイラモルトの中では入門寄りのボトルと言えそうですね。
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味わい
- 第一印象
力強くドライなピートスモーク,焦げた木の苦味,樽っぽい円熟感
煙たさは強く人を選ぶ|アルコール感はあまり感じない
- 経時変化で見える要素
柑橘ジャム,蜂蜜レモン,カスタードクリーム,ジンジャースパイシー,穀物の甘味
- 余韻に残る要素
鼻に抜けるドライなスモーキーテイスト,エステリーな穀物感
筆者の一言
味わいでは,アイラ島南岸のモルトのような海っぽさよりも,乾いた土壌のようなドライ系のピートスモークが力強く感じられる印象でした。
スモーキーな要素は第一印象から余韻までしっかりと残りますが,その過程では多彩なフルーツ系の甘みも感じとれる複雑な仕上がりとなっている点に興味深さを覚えます!
「ポートシャーロット10年」総評
最後に総評に入りたいと思います!まずはレーダーチャートから!
さてさて、気になる点数は…
点数の理由と評価
- 香り:4/5|味わい:4/5
「ポートシャーロット10年」の香りと味わいについては,全体を通して乾いた土壌のようなドライなピートスモークが主体となっており,アイラモルトから連想される湿っぽさや薬品のようなヨード感はあまり感じられませんでした。おそらくですがこれは蒸留所の立地が,アードベッグやラフロイグなどのヨード系の香りが強い蒸留所が立つアイラ島南岸から離れたインダール湾の沿岸となっており,使用するピートの構成諸元が異なっていることに関係しているのかもしれませんね。
とにかく煙たさはかなり強いものの,ドライ故に割とすっきりとしており,柑橘ジャムのような甘みや花の蜜のようなフローラルさなど,分かりやすい華やかさを感じ取りやすい点が個人的には興味深く感じました。
- 初心者向け度:2/5
続いて初心者向けかどうかという観点で「ポートシャーロット10年」を見てみると,決して適していると言うことはできません。
というのも前述の通り味わいの主体は強力な煙たさであり,このようなスモーキーテイストはかなり好みの分かれやすい要素となります。よって好みのわからない段階の初心者にこれを薦めてしまうと,ウイスキーに対する苦手意識を植え付ける事態になりかねないと考えられます。
しかしながら,ラフロイグやカリラのような明らかに飲む人を選んでしまうような薬品臭はあまり強くなく,真剣に感覚を凝らせばフルーティ&スイートな要素の数々も発見することができるため,アイラモルトの入門としては割と扱いやすいと思われます。なので初心者であってもアイラモルトに興味を持っている人であれば,このポートシャーロットやボウモアなどからアイラモルトを試してみると良いでしょう。
- 入手性:5/5|コスパ:4/5
最後に「ポートシャーロット10年」の入手性とコスパについて言及すると,入手性はかなり良好,コスパはまあまあ良い方であると言えるでしょう。
まず入手性については,最近ではかなり有名になってきた銘柄ではありますが,市場から淘汰されるような人気の集中が受けていないため,店頭でも通販でも定常的に購入することが可能でしょう。
またコスパについては,他の蒸留所のスタンダードな10年熟成程度のボトルと比べるとやや高めな印象を受けますが,アイラモルトの中で言えば中程度よりも安いくらいな印象があります。もちろん味わい的には個性と飲みやすさが両立されていて,ハイボールでもかなり美味しく飲める構成となっていますので,価格に対して全く遜色のない美味しさになっていると思います。