記事の概要
管理人によるボトルのレビューを通して、皆様にその魅力を伝える記事です!
「アランモルト10年」はアラン島のロックランザ蒸留所が作る,大人気のアイランズモルトです。
この記事ではそんなボトルについて…
- 「アラン」ってなに?
- 「アランモルト10年」ボトルの特徴
- 「アランモルト10年」を徹底レビュー
- 「アランモルト10年」飲み方について
などなど詳しく解説していきます!!

\\執筆者情報//
初谷(はつがい)
ウイスキーに関わるあらゆる情報をまとめ,「ウイスキーを知りながらより深く楽しめる記事」を発信しています。
【Shop】ウイスキー専門店『Drinkable books』
【経歴】東京都立大卒|元公務員・ネット酒屋開業
【資格】JWRC公認ウイスキーエキスパート|ウイスキー検定2級
【その他】バンド「Candid moment」のドラマー
各種SNSも運用中!

「アランモルト10年」ってなに?
アランの解説
アランモルトはスコットランドの西側に浮かぶアラン諸島、ロックランザ蒸留所で作られるウイスキーのことを言います。このロックランザ蒸留所は1994年に創業した比較的振興の蒸留所ですが、小規模経営の会社が運営しており、新たな試みを多く行なっていることから「クラフト蒸留所のパイオニア」とも呼ばれています。
ちなみにロックランザという名称は2019年に改名されたものであり,以前は「アイルオブアラン蒸留所」という名前で稼働していました。私も例に漏れず,アイルオブアランのほうが馴染みのある方もまだ多いのではないでしょうか。
また2018年にはロックランザを運営する企業により,アラン島の南部に「ラグ蒸留所」という新たな蒸留所がオープンされており、2蒸留所体制で運営されている珍しい蒸留所でもあります。ラグのシングルモルトにも期待が高まりますね。
アイランズモルトというと、個性の髄を極めたような曲者をイメージする方が多いかもしれませんが、アランのシングルモルトは比較的飲みやすく,フルーティかつ花畑のようなフローラルな華やかさを持ち合わせているのが特徴です。
今回紹介する「アランモルト10年」はロックランザ蒸留所のオフィシャルボトルのうち最もスタンダードなボトルであり,アラン島で培われる個性をしっかりと反映したテイストを感じることができます。

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ロックランザ蒸留所の解説
アランシェリーカスクのレビュー

「アランモルト10年」ボトルの特徴
\\ボトル外観//
\\ボトル諸元//
ボトル名 | アランモルト10年 |
地域 | スコットランド アイランズ アラン島 |
種類 | シングルモルトウイスキー |
容量 | 700ml |
度数 | 46% |
樽 | ファーストフィルのバーボン樽 ホグスヘッドのシェリー樽 |
\\製法と特徴//
- ネックの長いストレート型のポットスチルで蒸留
▶︎銅との接触面性が増えて不快な香気がカットされる。還流が最小限となるので重心の低いテストも活きる。 - 1stフィルのバーボン樽で熟成された原酒が中心
▶︎バニラやはちみつのような甘さが付与される - シェリーホグスヘッドで熟成された原酒を少量添加
▶︎華やかフルーティ系のシェリー樽の要素が適度に付与される
\\公式テイスティングノート//
出典:whisk-e.co.jp
色
温かみのあるゴールド
香り
蜂蜜,砂糖漬けのシトラス,リコリス,バタースコッチ
味わい
シトラス,りんご,オーク,ヘーゼルナッツ,シナモン

「アランモルト10年」徹底レビュー!
まずレビューの項目について説明しておきます!
レビュー項目
- 色味
ウイスキーをグラスに注ぎ、目視にて色の濃さを5段階評価します
- 香り
香りについて私が感じ取った内容をまとめていきます
- 味わい
味わいについても私が感じ取った内容をまとめます
- 余韻
余韻の長さを5段階で評価します
- 総評(100点満点)
ボトルのポジティブな風味とネガティブな風味を10段階で評価し、レーダーチャートで表現し,ポジティブで獲得した点数からネガティブの点数を引くことにより、ボトルを100点満点で評価します
また最後に総評を文章にて取りまとめていきます!
さてさて、それでは早速「アランモルト10年」をテイスティングレビューしていきます!

色味
色は穀物畑を感じさせる明るいゴールドといった感じであり,公式コメントの通り温かみを感じます。
アランモルト10年は最近のリリースにおいて,色味が濃くなったという話題が多く見受けられました。そのため現在のボトルは私の感想とは多少異なる場合がありますのでご留意ください。
薄
1 2 3 4 5
濃
▼
香り
香りの第一印象はナチュラルな蜂蜜の甘さと,粒だちのよいモルティな甘さが中心でした。アルコールっぽい刺激が若干残っていますが,万人を阻む際立った個性などはないため,苦手に感じる人はあまり多く無いように思います。
続いて青リンゴ系のフレッシュなフルーティ感,花畑のような軽快なフローラル感,溶剤系のエステリーな印象,シトラスのスッキリとした柑橘感,僅かにスパイシーな要素,そしてリコリスのようなハーブ感などを感じ取ることができました。
グラスに注いでから少し時間が経過すると,オレンジマーマレードのような濃厚な柑橘類の甘さや,ドライフルーツのようなシェリー樽由来のフルーティ感が感じられるように変化していきます。
↓感じ取れる香り↓
自然の蜂蜜/モルティ/青リンゴ/フローラル/エステリー/シトラス/スパイシー/ハーブ/オレンジマーマレード/ドライフルーツ
▼
味わい
味わいの第一印象はガッツリとしたモルティ系の穀物の甘さと,ローストされたナッツのような香ばしさ,そしてフレッシュなシトラス感でした。46%と比較的度数が高いこともあり,アルコールの刺激は少々感じてしまいますが,華やか系のテイストに纏まっています。
続いて香水のような無機質なフローラル感,エステリーで甘く白い煙,香ばしいヘーゼルナッツ,りんご系フルーティ感,オークのウッディネス,バニラクリームとオレンジ,ラムレーズンの渋みと甘さ,シナモン系のスパイシーさなどが感じられます。
香りと同様に,グラスに注いでからの時間経過で印象が少し変化しており,ファーストインプレッションで感じられたアルコールの刺激やフレッシュ系の要素が収まり,穏やかな甘みが主体のテイストとなりました。
↓感じ取れる風味↓
モルティな甘さ/ローストナッツ/シトラス/香水系フローラル/エステリー/りんご/ウッディ/バニラ/オレンジ/ラムレーズン/シナモン系スパイス
▼
余韻
余韻にはウッディな樽香やシナモン系の甘めのスパイス感が優しく残り,比較的長く続く印象です。
短
1 2 3 4 5
長

「アランモルト10年」飲み方について
さて、ここまではストレートにてボトルのレビューをしてきました。
そこで「アランモルト10年」はどの飲み方が一番美味しいのでしょうか。王道の飲み方である「トゥワイスアップ・ロック・ハイボール」の3種類で比較してみましょう!
飲み方について深く掘り下げた記事も書いているのでご参考までにリンクを貼っておきます!
トゥワイスアップでは?

ポイント
トゥワイスアップでは,46%のアルコール度数からくるアルコール刺激がやや収まり,明るい柑橘フルーツ香やフローラルな印象が大きく花開いたように感じました。
元々軽やかで飲みやすい部類でしたが,水との接触によって柑橘系の甘みが助長され,よりわかりやすいテイストに変化しました。また僅かながら島のモルトらしい塩味も感じることができ,アラン島の景色が浮かびます。
やはりどのボトルでも共通して言えることではありますが,ストレートが苦手な方は少量の加水から試し,ちょうど美味しいところを探してみると良さそうです。
おすすめ度
1 2 3 4 5
▼
ロックでは?

ポイント
ロックでは麦らしいモルティな甘みとエステリーな溶剤系の甘さが際立ってきました。その他にもバニラ系のクリーミーな甘さや砂糖漬けのドライフルーツ,コーヒーのようなビター感が感じられます。
僅かながら加水時と同様の塩のニュアンスもあります。全体としては甘さとビター感が引き立てられており,2者のバランスがうまく整っているような印象です。
ストレートのアルコール感も無くなり,甘味と苦味の構図がわかりやすくなったので,アラン10年の飲み方としては最も飲みやすく感じました。(あくまで主観です)
おすすめ度
1 2 3 4 5
▼
ハイボールでは?

ポイント
ハイボールではストレートで感じられた風味のうち,最も主軸に位置するテイストのみが残っており,総じて甘めでスッキリとした印象に落ち着いたように感じます。
実際に感じられる要素としては,柑橘系のフレッシュ感や麦のモルティな甘み,そして香ばしいスパイシー感といった感じであり,比較的食事にも合わせやすい風味のハイボールとなっています。
飲みやすいさに優れていながら,確かにアランの個性を感じることができるため,唯一無二のハイボールとなりました。
おすすめ度
1 2 3 4 5

「アランモルト10年」総評
最後に総評に入りたいと思います!まずはレーダーチャートから!
ポジティブ

ネガティブ

さてさて、気になる点数は…
点数の理由と評価
まず香りと味わいについては,万人受けしないクセ系の要素がほとんど無いにも関わらず,確かにアランのシングルモルトらしい個性を感じることができました。
しかしながらストレートの時点では46%という高い度数に由来するアルコール刺激がやや残っており,また無機質なフローラル感がベースに存在しているため,決してわかりやすいテイストであるということは出来ません。
よって初心者が最初にこれを飲んでしまうと,苦手意識を持ってしまうケースも十分に考えられると思います。大人気のモルトだけに気になるのも分かりますが,この点に留意した上で購入を検討しましょう。
とはいえウイスキーに味覚が慣れていれば,その美味しさをしっかりと感じることができるため,今のうちに人気に肖っておいた方が良いでしょう。昨今の情勢下で何らかの拍子に価格高騰してしまうかもしれませんからね…

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レビューに使用した道具たち
グラス:グレンケアン
ジガーカップ:JOYONEというメーカーのものをAmazonで購入して使っています。
正直計りたい分量が計れるものであれば何でもいいと思います!