記事の概要
管理人によるボトルのレビューを通して、皆様にその魅力を伝える記事です。
今回は…
「タムドゥー12年」
当記事では,このボトルについて
などなど詳しく解説していきます!!
タムドゥー12年
価格:7,400円(税込)
\\執筆者情報//
初谷(はつがい)
ウイスキーに関わるあらゆる情報をまとめ,「ウイスキーを知りながらより深く楽しめる記事」を発信しています。
【Shop】ウイスキー専門店『Drinkable books』
【経歴】東京都立大卒|元公務員・ネット酒屋開業
【資格】JWRC公認ウイスキーエキスパート|ウイスキー検定2級
【その他】バンド「Candid moment」のドラマー
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「タムドゥー」ってなに?
タムドゥーの解説
- 蒸留所・ブランドの特徴
『タムドゥー』はスコットランドのスペイサイド地方,スペイ川中流域に所在するタムドゥー蒸留所が生産を手がけるシングルモルトウイスキーのブランドになります。尚,このタムドゥーという名称の語源は『黒い丘』を意味するゲール語にあると考えられています。
同蒸留所は1897年の創業以降,幾度もの所有者変更や閉鎖を伴う激動の歴史を経験してきた蒸留所。直近では1999年から2009年の間は,マッカラン蒸留所などを所有するエドリントン社傘下の蒸留所として稼働していましたが2009年に閉鎖。そこから2年間は閉鎖状態が続き,2011年にボトラー企業としても知られるイアンマクロード社によって買収が為され,現在はその傘下として稼働中の蒸留所となっています。
そしてそのウイスキー作りの最大の特色は,原酒の熟成をシェリー樽のみで行っている点にありますが,単にシェリー樽と言っても,その使用回数や材質(アメリカンオーク,ヨーロピアンオークなど)に関しては様々な諸元のものを採用しており,シェリー樽由来の魅力的な風味が最大限に発揮されているのがポイントです。そんなシェリー樽系の個性的な風味や過去のエドリントン社との繋がりなどが相まって,タムドゥーの原酒は現在もカティサークやフェイマスグラウスなどのブレンデッドウイスキーのキーモルトとして活用されていることが広く知られています。
「タムドゥー12年」ボトルの特徴
\\ボトル外観//
\\ボトル諸元//
ボトル名 | タムドゥー12年 |
地域 | スコットランド スペイサイド |
種類 | シングルモルト |
原料 | モルト |
容量 | 700ml |
度数 | 43% |
\\製法と特徴//
- ボトラーズのイアンマクロード社が経営している
▶︎ボトラーズとして多くのウイスキーを美味しく熟成させてきた経験が,このタムドゥーにおいても遺憾無く発揮されており,ネガティブな要素を見せずに魅力的な風味の数々が表現されている - 1stFill,2ndFillのシェリー樽で熟成された原酒のみの構成
▶︎1stFill樽由来の力強く濃厚な果実感と,ReFill樽由来の滑らかで優しい風味が見事に融合し,飲みごたえの良さと飲みやすさが上手く両立されている - 材質はアメリカンオークとヨーロピアンオーク
▶︎複数の材質の樽を活用することにより,アメリカンオーク由来のクリーミーテイストや,ヨーロピアンオーク由来の果実やタンニンの要素などを以て,バランスの良い仕上がりが表現されている
タムドゥー12年
価格:7,400円(税込)
「タムドゥー12年」テイスティングレビュー
さてさて、それでは早速「タムドゥー12年」をテイスティングレビューしていきます!
色味
『タムドゥー12年』の色味については,シェリー樽熟成系のウイスキーの中ではやや薄めの印象があり,中程度よりも少し濃い程度のオレンジがかった金色といった印象です。
客観的な指標としてwhiskys.co.ukの色見本に準えて評価すると,"Russetmuscat"くらいであると言えるでしょう。
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香り
- 第一印象
強力なドライフルーツの甘み,レーズンの大人びた渋み,深くウッディなビター感
スモーキーテイストは皆無|アルコール感は控えめで飲みやすい
- 経時変化で見える要素
メープルシロップ系の甘み,シナモン香る紅茶,バニラの甘み,僅かにサルファリー
筆者の一言
やはり香りでは嫌味のないシェリー樽由来の華やかな要素が強く目立っている印象。かなりフルーティなので多くの人を分け隔てなく楽しませるのに十分なポテンシャルがあります!
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味わい
- 第一印象
ベリー系のドライフルーツの甘み,凝縮感のあるレーズン,ビターチョコレートの苦甘さ
スモーキーテイストは皆無|アルコール感も微弱
- 経時変化で見える要素
コーヒー系の香ばしい苦味,新鮮な木材感,メープルシロップ,シナモンスパイス
- 余韻に残る要素
ドライフルーツの甘み,コーヒー系のビター感,ほのかなサルファリー感が鼻に抜けていく
筆者の一言
味わいではフルーツの甘みとチョコやコーヒーの苦味が,大人びたデザートの様相を呈していたように感じました。ネガティブに捉えられる要素がなく,華やかで飲みやすい風味は魅力的ですね!
「タムドゥー12年」総評
最後に総評に入りたいと思います!まずは風味の各要素をグラフ化してみてみましょう!
さてさて、気になる点数は…
点数の理由と評価
- 香り:5/5|味わい:5/5
まず『タムドゥー12年』の香りと味わいについては,かなり華やかで誰からも愛されるテイストであるように感じました。
流石に100%シェリー樽原酒によって構成されているだけあり,華やかなドライフルーツ系の甘みやコーヒーやダークチョコの苦味が強く表現されていました。加えてシェリー樽系のウイスキーに時々見られるような,好みが分かれる硫黄やゴムっぽい要素もあまり出ておらず,華やかさな飲みやすさに長けている印象です。
- 初心者向け度:4/5
続いて初心者向けかどうかという観点で『タムドゥー12年』を見てみると,比較的適していると言えるでしょう。
というのもその味わいは,まるでデザートのような甘味が主体のものであったため,初心者であってもかなり飲みやすい部類に入ってくると思われます。よってテイストという観点では初心者にもぜひ飲んでいただきたいところですが,絶対値的な価格帯がやや高いのがネック。もっとリーズナブルな4,000円程度の価格帯において,先に飲んでおいた方が良いであろうボトルがもっとありそうでしたので,ここでは「4評価」とさせて頂きました。
- 入手性:3/5|コスパ:4/5
最後に『タムドゥー12年』の入手性とコスパについては,入手性はちょっと微妙,コスパは割と良い部類であると言えるでしょう。
まずタムドゥー蒸留所は,年間生産量が約400万リットルと比較的大規模な蒸留所ですが,その多くがブレンデッド用の原酒として活用されているため,シングルモルトとしての流通量はあまり多くありません。よって,かなりウイスキーに力を入れている店でなければ店頭で遭遇する機会があまり多くないため,おもな入手経路は”通販”ということになりそうです。
そしてタムドゥー12年の販売価格は概ね9,000円程度と,12年熟成のウイスキーとして考えるとやや高く感じるかもしれませんが,シェリー樽系のライバル筆頭候補となるマッカランと比べれば,ややリーズナブルな価格設定となっています。味わいでも個人的には,タムドゥーの方がマッカランよりも華やかな甘みに長けている印象があるため,十分にコスパの良好な銘柄になっていると思います。
タムドゥー12年
価格:7,400円(税込)