記事の概要
管理人によるボトルのレビューを通して、皆様にその魅力を伝える記事です。
今回は…
「シングルモルトあかし」
当記事では,このボトルについて
などなど詳しく解説していきます!!
\\執筆者情報//
初谷(はつがい)
ウイスキーに関わるあらゆる情報をまとめ,「ウイスキーを知りながらより深く楽しめる記事」を発信しています。
【Shop】ウイスキー専門店『Drinkable books』
【経歴】東京都立大卒|元公務員・ネット酒屋開業
【資格】JWRC公認ウイスキーエキスパート|ウイスキー検定2級
【その他】バンド「Candid moment」のドラマー
各種SNSも運用中!
「あかし」ってなに?
あかしの解説
- ブランドと蒸留所
『あかし』は日本の兵庫県に江井ヶ嶋ク蒸留所(旧名:ホワイトオーク蒸留所)を構える,1888年創業の江井ヶ嶋酒造社が手がける,地ウイスキーのブランドになります。
江井ヶ嶋酒造がウイスキーの製造免許を取得したのは,なんと1919年のことであり,これは山崎よりも早い日本最古の記録になります。
しかしながら当時は正しいウイスキー作りの知見は国内に全く無かったようで,日本で初めて”ホンモノ”のウイスキーが製造されたのは1923年のことで,山崎蒸留所によるものでした。
実際に江井ヶ嶋酒造が試験蒸留を開始したのは1961年,そして江井ヶ嶋蒸留所として本格稼働を始めたのは1984年であり,高度経済成長期のウイスキー需要の拡大期に”スピリッツを含むウイスキーもどき”を量販することで躍進を遂げていました。
しかしその直後の酒税法の改正からは”ウイスキーもどき”の需要が冷え込み,敢えなく業績は失墜。原酒管理もずさんなままに年月だけが過ぎていくようになってしまいまいた。
そしてようやく江井ヶ嶋蒸留所並びに『あかし』が日の目を見たのは2000年代に入ってからのこと。
2007年に8年熟成のシングルモルトをリリースしてからというものの,本格的な国産ウイスキーとして国内外から高い評価を獲得するようになってきました。
それ以降は原酒不足に悩みながらも,ラインナップをノンヴィンテージスタイルに切り替えたり,安価なブレンデッドタイプのボトルを製作したりしつつ,”あかし”のリリースが継続されています。
- あかしの製法
『あかし』のタイトルでリリースされるウイスキーは,全てフェノール値10ppm程度の英国産ライトリーピーテッド麦芽を原料とし,日本酒の醸造職人(杜氏)たちの手によって作られています。
仕込み水は敷地内の井戸水で,酵母はこだわりの詰まった1種類のみを採用。発酵時間は週末に3〜4日と,長めに設けているのが特徴的であり,乳酸発酵を十分に生じさせた香り高いウォッシュが形成されます。
ポットスチルは三宅製作所製で,初留再留各1基ずつのみ。熟成は約半数にバーボン樽を用い,残りはシェリー・ブランデー・コナラ・テキーラ・日本酒など様々な履歴の樽が活用されています。
「シングルモルトあかし」ボトルの特徴
\\ボトル外観//
\\ボトル諸元//
ボトル名 | シングルモルトあかし |
地域 | 日本,兵庫県 |
種類 | シングルモルトジャパニーズ |
原料 | モルト |
容量 | 500ml |
度数 | 46% |
\\製法と特徴//
- 約10ppmの英国産麦芽を原料としている
▶︎ウイスキーの本場顔負けな,唯一無二の個性派テイストが得られている - 瀬戸内海に面した海沿いの立地
▶︎寒暖差が激しく,海からの潮風の影響を受ける環境で作られるウイスキーは,地ウイスキーと呼ぶに相応しい地元の個性を獲得している - バーボン樽原酒とシェリー樽原酒をバッティング
▶︎クリーミーな甘さとサルファリーな華やかさが見事に融合している
「シングルモルトあかし」テイスティングレビュー
さてさて、それでは早速「シングルモルトあかし」をテイスティングレビューしていきます!
色味
『シングルモルトあかし』の色味については,短めの熟成年数の割にシェリー樽原酒を含んでいるおかげか,中程度の濃さに見えます。ノンカラーリングでボトリングされているため,れっきとした原酒本来の色味です・
客観的な指標としてwhiskys.co.ukの色見本に準えて評価すると,イエローゴールドくらいであると言えるでしょう。
▼
香り
- 第一印象
干し草とピート,シェリー樽系のサルファリー感,オレンジフルーツ
若さゆえのアルコール感はやや残っている
- 経時変化で見える要素
レーズン,バニラ,はちみつ,土っぽいモルティ感,胡椒系スパイシー,ビターな樽香
筆者の一言
パッと香りを嗅いだときの印象は,かなり個性派寄りといった感じ。
若さが残りつつも,干し草とピート感をベースに構築された広がりのあるテイストはなかなかにGood。
瀬戸内海の自然豊かな情景が頭に浮かぶ,完成度の高い地ウイスキーらしい香りですね!
▼
味わい
- 第一印象
ダイレクトな干し草,ビターなピート,土っぽいモルティ感
うまく隠されながらも主張の残るアルコール刺激
- 経時変化で見える要素
柑橘+ビターチョコ=オランジェ,ほのかな潮風,ドライフルーツ,苦い樽感,
- 余韻に残る要素
カカオ90%チョコ,鼻から抜けるピートと干し草
筆者の一言
若いながらも幅の広いテイストは,寒暖差の激しい瀬戸内海の気候にて,激しく熟成されていることを感じさせる。
ジャパニーズの中では圧倒的に個性派で,どことなくケムっぽい干し草感は唯一無二。
飲み応えのある個性派モルトのお好きな方に是非試していただきたい1本でした!
「シングルモルトあかし」飲み方について
さて、ここまではストレートにてボトルのレビューをしてきました。
そこで「シングルモルトあかし」はどの飲み方が一番美味しいのでしょうか。王道の飲み方である「トゥワイスアップ・ロック・ハイボール」の3種類で比較してみましょう!
また,飲み方について深く掘り下げた記事も書いているのでご参考までにリンクを貼っておきます!
ロック
おすすめ度 ▶︎ 5/5
トゥワイスアップ
おすすめ度 ▶︎ 2/5
ハイボール
おすすめ度 ▶︎ 4/5
「シングルモルトあかし」総評
最後に総評に入りたいと思います!まずはレーダーチャートから!
さてさて、気になる点数は…
点数の理由と評価
- 香り:4/5|味わい:3/5
『シングルモルトあかし』の香りと味わいについては,干し草感やピート感,サルファリー感が強く出ており,ジャパニーズウイスキーの中ではかなり個性派といった感じでした。
使用されている原酒は比較的短熟とのことで,アルコールの刺激こそやや残っていますが,ダイナミックに熟成が進行する寒暖差の激しい環境で熟成されていることから,味わいに広がりがありました。
また蒸留所が潮風を受ける海沿いにあるためか,どことなく海っぽさも感じることのできる,非常に完成度の高いテイストであったように思います。
強いて欠点を挙げるならば,味わいにおいてややビターさが先行しており,少々飲みやすさにはかけていた程度。個性派ウイスキーを好む人にとっては何ら問題ないでしょう。
- 初心者向け度:1/5
初心者向けかどうかという観点で『シングルモルトあかし』を見ると,結論としてはかなり不向きであると言えてしまいそうです。
というのもテイストの中心が干し草やピートスモーク,そしてシェリー樽のサルファリー感など,かなりクセの強い独特な要素であったため,おそらく初心者の段階でこれを飲んでしまうと苦手意識が先行してしまうものと考えられます。
まずは中程度の個性を持つスコッチなどを嗜むところまでいき,ある程度の経験を詰んだ上で飲むことにより,その真価を感じることのできる中級者向けのウイスキーでしたね。
- 入手性:4/5|コスパ:3/5
最後に『シングルモルトあかし』の入手性とコスパについては,どちらも比較的優れているということができるでしょう。
というのも多くの飲みやすいジャパニーズウイスキーが人気の集中を受ける中,個性派のテイストを持つ『あかし』はやや目につきにくい印象で,市場でもわりかし普通に見かける機会があるでしょう。
しかし今はまだ隠れた銘酒というだけで,いつ人気が爆発してもおかしくないポテンシャルが十分にあるので,気になった際には早めに購入しておいた方が良さそうです。
またコスパは金額だけを見れば決して悪くはないように思えますが,容量が500mlと少なめなのでたくさん飲みたい人にとっては,著名なスコッチなどと比べてやや見劣りしてしまうかもしれません。
純粋に興味があるのであれば,購入に値する価値を持っていると個人的には信頼しているボトルです。
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レビューに使用した道具たち
グラス:グレンケアン
ジガーカップ:JOYONEというメーカーのものをAmazonで購入して使っています。
正直計りたい分量が計れるものであれば何でもいいと思います!