記事の概要
2023年もいよいよ終わりを迎えようとしています。
年末年始には,1年を懐かしみつつお家でゆっくりとお酒を飲んだり,身近な人に1年の感謝を伝えるべくプレゼントを渡したりする方が多くいらっしゃることでしょう。”ウイスキー”というコンテンツは,そのような機会にぴったりな魅力を持っていると考えられますので,この記事では「年末年始を記憶に残す美味しいウイスキーを探す」という命題のもと,10本のボトルをご紹介していこうと思います!
なお価格帯については,年に1回の貴重な機会ということで,少し高めの1万円から2万円の範囲で選出致しました。それではどうぞお楽しみください。
\\執筆者情報//
初谷(はつがい)
ウイスキーに関わるあらゆる情報をまとめ,「ウイスキーを知りながらより深く楽しめる記事」を発信しています。
【Shop】ウイスキー専門店『Drinkable books』
【経歴】東京都立大卒|元公務員・ネット酒屋開業
【資格】JWRC公認ウイスキーエキスパート|ウイスキー検定2級
【その他】バンド「Candid moment」のドラマー
各種SNSも運用中!
【年末年始】を祝う
記憶に残る美味しいウイスキー10選
ジョニーウォーカー・ブルーラベル
種別 | ブレンデッド |
度数 | 45% |
容量 | 750ml |
キーモルト | カーデュ,ロイヤルロッホナガー |
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ポイント
『ジョニーウォーカー』は,非常にメジャーなブレンデッドスコッチとして名を馳せるブランドであり,同ジャンルにおける売り上げ規模は,世界TOPクラスとなっています。
そしてこのブルーラベルは,同ブランドの最高峰に位置するラグジュアリーなラインナップであり,1万樽に1樽とも言われる熟成の進行が芳しい原酒を中心としたブレンドがなされているのがポイント。しかしながら敢えて熟成年数に縛りを設けることはしておらず,30年を超える長熟原酒から,数年程度の若い原酒までを隔たりなく使用することにより,味わいの奥深さと複雑さが多分に表現されています。
その味わいは,心地よいリンゴ系のフルーティな軽快さに始まり,蜂蜜やバニラのナチュラルな甘みが続き,そしてブランドの特色でもあるスコッチらしいスモーキーテイストへと繋がる端正なバランス感が魅力的。世界TOPブランドの最高峰のボトルということで,一年の締めくくりには相応しすぎる1本です!
香り
明るいりんご,バニラ,軽度なピート香,フローラルな花の蜜,キャラメル,樽香
味わい
赤りんご,シナモンスパイス,シトラス,柔らかいピート,ほのかな塩味,土壌感
グレンモーレンジ18年
種別 | シングルモルト |
度数 | 43% |
容量 | 700ml |
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ポイント
『グレンモーレンジ』は,スコットランドの北ハイランド地方に所在する,グレンモーレンジ蒸留所が手がけるシングルモルトウイスキーのブランドになります。
同蒸留所のウイスキー作りでは,ごく僅かにピートが焚かれた大麦麦芽と,ミネラルを多く含んだ硬水を原料とし,スコットランドの大規模な蒸留所の中では最も背が高いポットスチルによる蒸留が行われているのがポイントで,ほのかな柑橘感をはらんだ軽やかでフルーティな原酒が生産されています。
このグレンモーレンジ18年は,同蒸留所の長熟タイプのオフィシャルラインナップのひとつであり,18年間バーボン樽で熟成された原酒が70%,15年間バーボン樽で熟成させたのち,3年間をスパニッシュオークのオロロソシェリー樽でフィニッシュした原酒が30%,というこだわりの構成で作られています。
その味わいでは,グレンモーレンジらしい瑞々しいオレンジの甘みや,濃密なバニラ,ほのかなドライフルーツの甘みなど,非常に華やかで正統派な魅力を感じられる,とても素晴らしいウイスキーです。ボトルの造形や豪華絢爛な化粧箱等,自分用としても贈答用としても,十分に満足感を刺激してくれるゴージャスな一本です。
香り
オレンジ,ドライフルーツ,シトラス,ウッディな苦味,チョコ,シナモン,蜂蜜
味わい
トロピカル,レーズンの渋み,シトラス,ダークチョコレート,ナッツ,シェリー感
ザ・グレンリベット18年
種別 | シングルモルト |
度数 | 40% |
容量 | 700ml |
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ポイント
『ザ・グレンリベット』は,スコットランドのスペイサイド地方に所在する,ザ・グレンリベット蒸留所が手がけるシングルモルトウイスキーのブランドになります。
同蒸留所は,1800年前後のスコットランドでウイスキーの密造が蔓延っていた時代において,1824年に初めて英国政府の公認を獲得した非常に有意な歴史を持つ由緒正しき蒸留所であり,そこから現在までの約200年に渡り,世界中から愛される華やかなウイスキーを作り続けている大人気のブランドです。
そしてこのグレンリベット18年は,同蒸留所のオフィシャルラインナップの中ではミドルグレードに位置しているものの,価格帯的には次点に構えるグレンリベット21年の3分の1程度で購入が可能なとなっていることから,気軽に入手できるグレンリベットの中では最高グレードと評することができます。その原酒には,ファーストフィルとセカンドフィルのアメリカンオーク樽及び,シェリーの空樽で熟成された原酒が使用されていると公表されており,その味わいではフルーティ&フローラルで,エレガント感たっぷりな香味が複雑に入り混じり,とにかく飲みやすさに特化したバランスの良い仕上がりが最大の魅力となっています。
またその外観についても,青を基調としたシンプルなデザインが高級感を漂わせており,一眼見るだけで只者ではないことがわかります。ブランドの品格,その美味しさともに,年末年始を祝うお酒として申し分のないウイスキーと言えるでしょう。
香り
ラムレーズン,オレンジ,フローラル,リッチな穀物感,マヌカハニー,オーク
味わい
サルタナ,南国ドライフルーツ,くるみ,高級蜂蜜,優しい木,ハーブ,スパイス
ロイヤルブラックラ18年
種別 | シングルモルト |
度数 | 43% |
容量 | 700ml |
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ポイント
『ロイヤルブラックラ』は,スコットランドの北ハイランド地方に建つ,ロイヤルブラックラ蒸留所が手掛けるシングルモルトウイスキーのブランドになります。
蒸留所名にある「ロイヤル」というワードは,「王室の」という意味を持つ非常に高貴なワードですが,ブラックラは実際に1835年に当時の国王であるウィリアム4世より王室御用達を賜っており,公式にロイヤルを名乗ることが認められた稀有な蒸留所のひとつになります。なお数ある現在稼働中の蒸留所の中で,ロイヤルを賜っているのは他にロイヤルロッホナガーのみということで,それが如何に希少なことであるかが分かります。
そしてこのロイヤルブラックラ18年は,同蒸留所のオフィシャルラインナップのミドルグレードに位置するボトルであり,高級なシェリー酒として知られる「パロ・コルタド」の空き樽により,18年の熟成を経た原酒によって構成されているのがポイント。その味わいでは,果実のエキスが染み込んだキャラメルのような甘みや,花畑の要素を感じさせるフローラルな蜂蜜など,ロイヤルの名に相応しいゴージャスな様相を呈しており,初心者から上級者までを問わず,万人を楽しませてくれる魅力があります。
年末年始を記念して,「王のためのウイスキー」を飲んでみるのはいかがでしょうか?
香り
華やかな穀物感,極彩色の花畑,りんご,濃密な蜂蜜,バニラ,オレンジピール
味わい
モルティ,強いレーズン,アップルパイ,フローラルなキャラメル,蜂蜜,ぶどう
グレンファークラス17年
種別 | シングルモルト |
度数 | 43% |
容量 | 700ml |
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ポイント
『グレンファークラス』は,スコットランドのスペイサイド地方に所在する,グレンファークラス蒸留所が手がけるシングルモルトウイスキーのブランドになります。
同蒸留所は1836年に創業された歴史の深い蒸留所ですが,1800年代の半ばごろから現在までの150年以上に渡り,グラント家による家族経営が続けられている珍しい蒸留所でもあります。そのウイスキー作りの最大の特色は,スペインのホセ・ミゲル・マルティン社との提携によって確保されるシェリー樽による熟成のみを行っている点にあり,この樽をファーストフィルからフォースフィルまで繰り返し活用することにより,原酒の生産量と風味の引き出しの多彩さが実現されています。
そしてこのグレンファークラス17年は,日本と北米市場向けにリリースされる同蒸留所のオフィシャルラインナップのひとつであり,例に漏れずその100%がシェリー樽によって熟成された原酒で構成された逸品です。その味わいでは,砂糖漬けのドライフルーツや濃いレーズンの甘み,若干のビターさを感じさせるチョコレート,タンニンやスパイス等のアクセント的な要素などを感じることができ,シェリー樽熟成のウイスキーのお手本のような風味が表現されています。
最近では価格が高騰気味となっていますが,もともとがリーズナブルすぎたために美味しさを見れば現在も適正な範疇。円筒の筒状でオレンジ色の化粧箱も非常に可愛く,贈答用にも適したボトルとなっていますので,是非ともこの機会に購入を検討してみてはいかがでしょうか?
香り
強いドライフルーツ,新築の木造家屋感,カラメル,蜂蜜,シェリーの芳香,桃感
味わい
南国ドライフルーツ,カスタード,樽香,カラメルの苦味,タンニン感,スパイス
キルホーマン・ロッホゴルム
種別 | シングルモルト |
度数 | 46% |
容量 | 700ml |
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ポイント
『キルホーマン』は,スコットランドのアイラ島に所在する,キルホーマン蒸留所が手掛けるシングルモルトウイスキーのブランドになります。
同蒸留所の創業は2005年と比較的最近のことですが,今は廃れてしまった自社製麦の設備を導入したり,島内での大麦栽培に取り組んだりと,ウイスキー作りの伝統と熱い職人魂を有しており,文字通り100%アイラ島産のウイスキーの生産も可能とした非常に珍しい蒸留所となっています。
そしてこのロッホゴルムは,年に1回だけリリースされる数量限定のオフィシャルラインナップであり,フェノール値50ppmのヘビリーピーテッド麦芽を原料とし,オロロソシェリー樽で熟成された貴重な原酒を100%使用したこだわりの構成。味わいでは,キルホーマンらしい若干の塩気をはらんだヨード感や,ドライかつ強烈なピートスモークを持ちつつも,シェリー樽に由来した華やかなドライフルーツの甘味や心地よいスパイス感なども持ち合わせており,アイラモルトとシェリー系ウイスキーの魅力が見事に両立されています。
2023年リリースのロッホゴルムのうち,日本に導入されたのは1,050本のみということで,既に適正な価格で見つけることは難しくなってきていますが,意外にも市場価格は数千円程度のプラスアルファが付く程度にとどまっているため,興味のある人は試す価値が十分にあるものと思います。年末年始を機に思い切って買ってみるのも一興でしょう。
香り
焚き火スモーク,キャラメル,カルダモン,濃いレーズン,深淵のベリー,チョコ
味わい
強いレーズン,焚き火,ピートスモーク,イチジクのドライフルーツ,ミーティ
ブラントン
種別 | ストレートバーボン |
度数 | 46.5% |
容量 | 750ml |
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ポイント
『ブラントン』は,アメリカのケンタッキー州に所在する,バッファロー・トレース蒸留所が手がける,ストレートバーボンウイスキーのブランドになります。
同蒸留所自体は1800年代後期頃に創業した老舗の蒸留所となっていますが,ブラントンは1984年に誕生した比較的新興のブランドです。しかしそのウイスキー作りでは,とうもろこしの比率を高めにした独自のマッシュビルを採用したり,熟成工程では時期や気温によって熟成庫内でも高所と低所を移動させたりと,各種工程に強いこだわりを持っているのがポイントであり最終的には概ね8年程度の熟成を経て全ての原種がシングルバレルでボトリングされるという,非常にプレミアムなブランドとなっています。
そしてこのブラントンは,ブランドのラインナップを代表する1本であり,貯蔵庫の中で長い眠りを過ごした原酒を蒸留所の職人が一樽ごとにテイスティングし,その中で熟成のピークを迎えたと判断された選ばれし一樽の原酒によって構成されたシングルバレルのストレートバーボンウイスキーになります。その味わいでは,トロピカルなドライフルーツや,嫌味のない香ばしい溶剤系のエステリー感,濃密なバニラと木の香りなど,ずっしりとした重厚さを感じさせるエレガントなテイストを捉えることができます。
味わいの高級感もさることながら,他のウイスキーとは完全に差別化が図られた特殊な形状のボトルデザインは非常に印象的であり,十分に年の瀬に相応しい存在感を持っているため,バーボン好きの人にとってはこのボトルが最適な選択肢となるでしょう。
香り
花畑エステリー,ドライな木苺,強い樽香,竹炭っぽい澄んだ苦味,バニラの芳香
味わい
フレッシュな蜂蜜,溶剤エステリー,穀物,酸味フルーツ,木の苦味,強いスパイシー
アマハガン干支ボトル甲辰
種別 | ワールドブレンデッドモルト |
度数 | 47% |
容量 | 700ml |
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ポイント
『アマハガン』は,日本の滋賀県に所在する,長浜蒸留所が生産を手がけるワールドブレンデッドモルトウイスキーのブランドになります。
同ブランドの製作においては,最終的なウイスキーの味わいを決定付ける「ブレンド」の工程に焦点を当てており,海外産のモルトウイスキーをベースに据えつつ,長浜蒸留所の希少なモルト原酒をブレンドすることにより,長浜モルト由来の麦芽の甘味やオランジェのようなフルーティな香味が最大限に引き出されているのがポイントです。
そしてこの干支ボトルは,毎年だいたい10月頃に,翌年の干支をイメージしたデザインの陶器ボトルで限定リリースされるアマハガンであり,その中身はブランドの最もスタンダードなボトルとして人気を築き上げたエディションNo.1と同様のものとされています。よってその味わいでは前述の通り,アマハガンが主題としている長浜モルトに由来するモルティな甘味や,フルーティ&ビターのバランスに長けたオレンジとチョコレートの風味が強く引き出されており,特にハイボールで飲んだ時の爽快感に特化した日本人向けの飲みやすい構成となっている逸品です。
来年2024年は辰年ということで,ドラゴンをモチーフにした陶器ボトルのデザインは圧巻な存在感を持っているため,視覚的に新年の幕開けを感じるという観点では,このアマハガン干支ボトルの右に出るものはいないでしょう。
香り
クリーミーな樽香,穀物と蜂蜜,シトラス,レモンピール
味わい
オランジェの甘苦さ,穀物の自然な甘味,レモン,フローラルな蜂蜜,ややバニラ
山崎12年
種別 | シングルモルト |
度数 | 43% |
容量 | 700ml |
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ポイント
『山崎』は,日本の大阪府に所在する,山崎蒸留所が手がけるシングルモルトジャパニーズウイスキーのブランドになります。
同蒸留所は,まだウイスキー文化とは疎遠であった1923年の日本において,初の本格的なシングルモルトを生産する拠点として創業された非常に歴史的価値の高い蒸留所であり,現在においても国内外問わず絶大な人気を誇るウイスキーを生み出し続ける,ジャパニーズウイスキーのエース的なブランドです。そのウイスキー作りはとにかく多彩さに長けており,ピーテッドレベルもノンピートからヘビリーピーテッドまで,ウォッシュバックはステンレスと木製,酵母はビール酵母とディスティラーズ酵母,終いに蒸留工程では全て完全に異なる形状をした十数基のポットスチルを備えるなど,無限大の組み合わせを持っているのがポイントです。
中でもこの山崎12年は,同ブランドの代表作とも言える非常に重要なボトルであり,シェリー樽やミズナラ樽などの貴重な樽で熟成された原酒がふんだんに使用されているのがポイント。その味わいでは,オリエンタルな白檀の芳香や,桃やりんごの強力なフルーティさ,濃密なバニラ等,万人から愛されうる華やかなテイストが表現されており,繊細さ,複雑さ,奥深さのどれをとっても最上級な完成度を見せる圧巻のウイスキーです。
山崎はノンエイジのボトルですら入手が困難なことが広く知られていますが,年末年始等の世間的なイベントの際には多く出荷されているように感じるのもまた事実。この機会に山崎12年に出会うことができた人は,是非とも購入してみてください。
香り
熟したいちご,超フルーティ,極バニラ,リッチな花畑,果樹園,力強いウッディ
味わい
濃厚で深い甘味,強力なベリーフルーツ,リッチなバニラ,芳醇な樽香,スパイス
白州12年
種別 | シングルモルト |
度数 | 43% |
容量 | 700ml |
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ポイント
『白州』は,日本の山梨県に所在する,白州蒸留所が手がけるシングルモルトウイスキーのブランドになります。
同蒸留所は,山崎蒸留所の誕生からちょうど50年後の1973年に創業されており,現在でも山崎とともに世界中からの注目を集め続けている他,この白州と山崎をキーモルトとしたブレンデッドウイスキー「響」が日本を代表するブレンデッドウイスキーとしてその名を馳せているなど,非常に重要な役目を担う蒸留所として広く知られています。そのウイスキー作りでは,ライトリーピーテッドスタイルの麦芽をメインに取り扱いつつ,山崎には及ばずとも各々が全く異なる形状の16基のポットスチルで蒸留を実施し,森林に周囲を囲まれた標高800mの大自然の中心地で熟成が行われているのがポイントです。
そしてこの白州12年は,同ブランドの魅力が遺憾無く発揮された非常に希少なボトルであり,世界的なコンペティションでも数え切れないほどの受賞を重ねてきた伝統的な存在。その味わいでは,爽やかな新緑の香りや,青リンゴのような甘く華やかなフルーツ香,そして白州らしい甘みを有した優しいピートスモークを感じることができ,少々贅沢ですがハイボールで飲むと非常に深い満足感が感じられるような,キレの良い仕上がりとなっています。
山崎と同様に非常に入手が困難なボトルですが,この年末年始を機に是非とも探してみましょう!
香り
フレッシュな新緑,青リンゴ,鮮やかな花,繊細なピート,柑橘,ミント,マスカット
味わい
森林大自然,甘い青リンゴ,爽快な柑橘,花畑フローラル,木の苦味,ミント,蜂蜜
最後までお読み頂きありがとうございました!
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