記事の概要
管理人によるボトルのレビューを通して、皆様にその魅力を伝える記事です。
今回は…
「リンクウッド12年 花と動物」
当記事では,このボトルについて
などなど詳しく解説していきます!!
\\執筆者情報//
初谷(はつがい)
ウイスキーに関わるあらゆる情報をまとめ,「ウイスキーを知りながらより深く楽しめる記事」を発信しています。
【Shop】ウイスキー専門店『Drinkable books』
【経歴】東京都立大卒|元公務員・ネット酒屋開業
【資格】JWRC公認ウイスキーエキスパート|ウイスキー検定2級
【その他】バンド「Candid moment」のドラマー
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「花と動物・リンクウッド」ってなに?
花と動物・リンクウッドの解説
- 花と動物シリーズ
『花と動物シリーズ』は1992年から旧UD社※(現ディアジオ社)が,傘下蒸留所のシングルモルトウイスキーを,各蒸留所にゆかりのある花や動物を描いたラベルを付したボトルにてリリースしているシリーズになります。
このシリーズからリリースされる蒸留所のモルトは,そのほとんどがブレンド用となっているため,ボトラーリリースこそ時々あれど,オフィシャルボトルとして嗜む手段が無いものがほとんど。
この花と動物シリーズでは,このような希少なウイスキーの数々が年間を通じて安定供給されている他,各蒸留所のハウススタイルが生かされたナチュラルな風味が表現されているのが最大の魅力となっています。
花と動物シリーズが生み出された1992年当時では,全部で22種類のシングルモルトがリリースされており,2001年にオスロスク・ストラスミル・グレンエルギン・グレンスペイが追加。
しかしながらその後は,蒸留所の買収や蒸留所のオフィシャルシングルモルトの確立などにより,全11種類を残すのみとなっています。
※UD社:ユナイテッド・ディスティラリー社(スコットランドに多くの蒸留所やブランドを抱える世界最大規模の酒造・酒類販売企業。のちにディアジオ社となる)
「リンクウッド12年 花と動物」ボトルの特徴
\\ボトル外観//
\\ボトル諸元//
ボトル名 | リンクウッド12年 花と動物 |
地域 | スコットランド スペイサイド,エルギン地区 |
種類 | シングルモルトスコッチ |
原料 | モルト |
容量 | 700ml |
度数 | 43% |
\\製法と特徴//
- ノンピート・ピーテッド双方の原酒を生産
▶︎本来ブレンドの用途に併せて生産された複数のピーテッドレベルの原酒を採用しており,複雑ながらバランスの取れた味わいが表現されている - 75時間の長めな発酵時間
▶︎長めの発酵を実施すると終期には乳酸発酵が卓越するため,すっきりとした軽快なテイストに仕上がりやすい - バーボン樽やスパニッシュオークシェリー樽を熟成に使用
▶︎このボトルの樽構成は明かされていないが,リンクウッドでは通常上記の2種の樽で熟成を行っており,実際に両者の魅力がうまく生かされた味わいとなっている
「リンクウッド12年 花と動物」テイスティングレビュー
さてさて、それでは早速「リンクウッド12年 花と動物」をテイスティングレビューしていきます!
色味
『リンクウッド12年 花と動物』の色味については,概ね中程度の濃さに見え,鮮やかな金色といったところでしょうか。
客観的な指標としてwhiskys.co.ukの色見本に準えて評価すると,"Amontillado Sherry"くらいであると言えるでしょう。
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香り
- 第一印象
ほのかなサルファリー感,クリーミーな甘い香り,華やかなオレンジ感
- 経時変化で見える要素
うっすらとピートスモーク,ややスパイシー,無機質なフローラル感,蜂蜜・麦芽っぽさ
筆者の一言
香りにおいては,意外にもシェリー系の華やかな香りが割と強く感じられた印象。
決してわかりやすい印象ではないですが,バランスは非常に整っており,ナチュラルな人工感のない甘みの数々は大人向けのデザートのようにも捉えられそうです。
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味わい
- 第一印象
強いドライフルーツ系の甘み,バニラの香り,ホワイトチョコとオレンジ感
- 経時変化で見える要素
ピートスモークの香る穀物の甘み,土っぽいドライな喉越し,優しいスパイス,大自然の蜂蜜
- 余韻に残る要素
土っぽいピーティ感,花畑フローラル,穀物のざらついた甘さ
筆者の一言
味わいでは香りの複雑さとは裏腹に,比較的わかりやすいガッツリとした甘みや華やかな芳香が前面に感じられた印象。
しかしながら風味を深く辿ると,ほのかな煙たさやドライな土っぽさも発見することができ,その完成度の高さからは,業界大手のディアジオ社の力を思い知ることができますね。
「リンクウッド12年 花と動物」総評
最後に総評に入りたいと思います!まずはレーダーチャートから!
さてさて、気になる点数は…
点数の理由と評価
- 香り:4/5|味わい:5/5
『リンクウッド12年 花と動物』の香りと味わいについては,あっさりとした色味の印象に反して,シェリー樽系の華やかな要素が比較的強く出ていたように感じられました。
それらの要素は香りではややサルファリー,味わいではガッツリしたドライフルーツの甘さのように捉えられ,香りよりも味わいの方が,多くの人にとって分かりやすい魅力にまとめ上げられていた印象ですね。
しかしながら風味全体を俯瞰してみると,決してシェリー感一辺倒という訳ではなく,人工感の薄い蜂蜜や穀物などのナチュラルな甘みも強く感じられ,余韻にかけてはうっすらと土っぽいピートスモークも出てきました。
複雑さ・バランスの良さ共に完成度の高さを強く感じました!
- 初心者向け度:3/5
続いて初心者向けかどうかという観点で『リンクウッド12年 花と動物』を見てみると,否定的な要素はないが最適とも言い難いといったところでしょうか。
というのも明らかに初心者を退けるような強力な個性は全くありませんが,華やかなシェリー香・自然な甘み・ライトピートの3要素を中心とした風味は,決して分かりやすいとも言い難く,初心者にとってはその魅力をダイレクトに感じることは難しいと考えられます。
よってリンクウッドに到達する前に,まずはリンクウッドが使用されたジョニーウウォーカーなどのブレンデッドウイスキーから飲み始めていただき,舌が慣れたタイミングで他の構成原酒と一緒に試してみる等の方向性がよろしいかと思います。
- 入手性:5/5|コスパ:4/5
最後に『リンクウッド12年 花と動物』の入手性とコスパについては,入手性は全く問題なし,コスパはちょっと良いくらいといった感じでしょうか。
リンクウッド並びに他の花と動物シリーズの現行ラインナップは,花と動物シリーズ以外の入手方法がボトラーリリースに限られる代わり,同シリーズのボトルは店頭・通販問わず,年間を通して安定的に購入が可能となっています。
よって入手性は全く問題なく,価格帯も安定していますが,そもそもの価格帯が比較的高めに設定されているため,若干手を伸ばし辛いのが懸念点。
美味しさは間違いないので,日頃のお財布事情とご相談いただき,経済的余裕とリンクウッドへの興味が期を満たしたタイミングでご購入を検討されては如何でしょうか?