ジャックダニエル蒸留所(jack daniels)|場所・歴史・製法・オフィシャルボトル|ウイスキーラウンドアップ

記事の概要

世界中の蒸留所図鑑完成を目標としたシリーズです。

今回はアメリカより「ジャックダニエル蒸留所」になります!

Points!「立地・歴史・伝統的な製法・オフィシャルボトルの簡単な解説」

ジャックダニエル蒸留所

ジャックダニエル蒸留所の立地・歴史・製法についてまとめていきます。

蒸留所の概要

創業年1866年(政府に登録)
所有会社ブラウン・フォーマン社
地域分類アメリカ テネシー州
仕込み水ケイブ・スプリング

「ジャックダニエル蒸留所」蒸留所の立地

ポイント

ジャックダニエル蒸留所はアメリカ、テネシー州ムーア郡内のリンチバーグに拠点を構えています。

実は蒸留所のあるムーア郡では現在も酒類の販売が認められておらず、現地で酒類の販売をしないことを条件に蒸留所が運営されています。

またテネシー州は年間を通して寒暖差が激しいためウイスキーの熟成が進みやすい環境となっています。

蒸留所のほど近くのケイブスプリングという洞窟では硬水が湧き出ており、これを仕込み水として使用しています。

「ジャックダニエル蒸留所」蒸留所の歴史

ジャックダニエル蒸留所の歴史を年表形式でまとめていきます!

西暦年内容
1846年ジャックダニエル氏は生まれる
1866年ジャックダニエル蒸留所が米国で初めて登録された蒸留所となる
1904年チャコールメロウイング製法で作られた「ジャックダニエルOld.No.7」がセントルイスの万博で金賞を獲得する
1910年蒸留所は甥のレム・モトロフ氏へと引き継がれる
テネシー州で禁酒法が敢行されたため,セントルイスに移って生産を行う
1911年ジャックダニエル氏が死去する
1919年禁酒法が全国に広がったことを受けて蒸留所は閉鎖される
1933年禁酒法が撤廃される
1938年蒸留所の生産活動が再開される
1944年世界大戦の影響によって一時的に蒸留所が閉鎖される
1947年レム氏が亡くなる
彼の子孫によって蒸留所の運営が続けられる
1956年蒸留所がブラウン・フォーマン社によって買収される

ジャックダニエルに纏わるストーリー

ジャックダニエル氏⇨レム・モトロフ氏

  • ジャック・ダニエル氏

ジャックダニエル氏は1846年にリンチバーグで生まれました。その家庭には10人ほども子供がおり,母親は生後間も無く亡くなり,6歳の頃には父親も失踪してしまうという複雑な環境でした。

拠り所を失ったダニエル氏は地元の牧師であるダン・コール氏によって育てられることとなります。

ダン氏は牧師である他に,蒸留酒の製造業にも従事していました。そのため以降ダニエル氏は必然的にウイスキーについて学ぶようになっていきました。

そして14歳の頃にはリンカーン郡に蒸留所を買うなどしましたが,最終的に良質な水が得られるリンチバーグに戻り,ウイスキーの生産を始めました。1866年にはジャックダニエル蒸留所が米国で正式に登録される運びとなります。

また新たな製法としてサトウカエデの炭で濾過を行う「チャコールメロウイング製法」を確立させ,Old.No7と呼ばれるボトルをリリース。このボトルは1904年にはセントルイスの万博で金メダルを受賞するに至りました。

輝かしい功績を残したダニエル氏ですが,庫を蹴り飛ばした時の骨折に起因する敗血症を発症してしまいます。

彼は結婚していなかったため,蒸留所などは甥にあたるレム・モトロフ氏に引き継ぎ,1911年に亡くなってしまいました。

  • レム・モトロフ氏

ちょうど蒸留所がモトロフ氏に引き継がれる頃にはテネシー州で禁酒法が敢行されてしまいました。

場所を移して生産を続けるなどの工夫を凝らしましたが,1919年には全土にわたって禁酒法が適用され,蒸留所は閉鎖を余儀なくされました。

そこでレム氏はリンチバーグへと戻り蒸留所再開を志して,なんとテネシー州の上院議員となり最大限の努力を行いました。

その甲斐あってか,1933年には禁酒法が撤廃され,明る1938年には蒸留所を再開させることに成功しました。

その後1947年にレム氏は亡くなってしまいますが,1956年まで彼の子孫が蒸留所の運営にあたりました。


ミュージシャンとの関わり

ジャックダニエルは数々のミュージシャンとの関わりがあったウイスキーとしても有名です

いくつか代表的なミュージシャンとジャックダニエルに纏わるエピソードをご紹介します!

創業者ジャック・ダニエル

創業者であるジャックも音楽との関わりが深い人物であり、カントリーミュージックの大ファンだったとか。

そんな彼はミュージシャンとのコラボ企画をよく行っていたそうです!

コラボする中でボトルデザインの流用も快く行っていたことから、若いミュージシャンの間でまたたく間に人気となっていたようです。

創業者の意思からもミュージシャンとジャックダニエルの深い関わりが伺えます。

ジャックダニエル 出典:ジャックダニエル公式サイト

フランク・シナトラ

音楽とジャックダニエルの関係を急速に深めたのは間違いなくフランク・シナトラでしょう。

彼はアメリカで大人気のシンガーで「ザ・ヴォイス」と呼ばれるほどの実力の持ち主でした。

彼は世界中の公演にジャックダニエルを持参するほどに愛飲していたそうで、ステージ上で飲みながら紹介することもあったとか(笑)

そんな彼の行いによりイカしたウイスキーというイメージがついたのでした。

公式も彼に敬意を表しており、2014年にはシナトラ生誕100周年記念の「シナトラセレクト」が発売されています。

シナトラ 出典:ピエールの音楽論
シナトラセレクト 出典:アサヒビール

レミー・キルミスター

レミーキルスターはロックバンド「モーターヘッド」のベーシスト兼リーダーです。

彼はバンドに限らずお酒についてもロックンロールな人間でした。

というのも彼が愛飲していたのはコーラとジャックダニエルを3:7で割ったものでした。

半端じゃなく濃いジャックコークをがぶ飲みしていたらしいですね(笑)

レミーキルスター 出典:ピエールの音楽論

ジミー・ペイジ

世界3大ギタリストに数えられるLed Zeppelinのジミー・ペイジ。

実は彼もジャックダニエルのファンであり、楽屋でボトルからラッパ飲みしている写真が話題になっていました。

ラッパ飲み 出典:ピエールの音楽論

マイケル・アンソニー

かの有名なVan Halenのベーシストであったマイケル・アンソニー。

彼はなんと自分のベース一面にジャックダニエルのロゴを入れてしまうほどの大ファンでした。

アメリカンなぶっ飛び方をしてますよね(笑)

マイケル・アンソニー 出典:barrel365.com

kenken

ここに来てなんと日本人です!

バンドマンなら知っているかもしれませんがkenkenは非常に有名なベーシストですよね。

彼はステージに立つとき、アンプの上にジャックダニエルを置いています!

その愛飲っぷりは公式にも伝わっているのか、ジャックダニエル蒸留所創業150周年記念の際に愛飲家著名人としてコメントを残していました。

kenken氏コメント 出典:ご本人様Twitter

「ジャックダニエル蒸留所」製法の特徴

原料について

原料(マッシュビル)

ジャックダニエル蒸留所では原料の穀物としてとうもろこし・ライ麦・大麦を使用しています。

マッシュビルは「とうもろこし:ライ麦:大麦=80:12:8」となっています。

糖化について

糖化

ジャックダニエル蒸留所では仕込み水にケーブスプリングと呼ばれる洞窟の湧き水を使用しています。

この水は摂氏13度で鉄分が含まれておらず、ミネラル豊富な硬水です。

原料の穀物に仕込み水前回蒸留の残滓を混ぜたものがサワーマッシュになります。

この糖化の際に残滓を混合させる工程をバックセットといいます。

糖化に必要な糖化酵素は添加を行わず、大麦由来の酵素のみで糖化させています。

【スコッチとの違い(糖化後の処理)】
スコッチでは糖化のタイミングで糖液の絞りカス(ドラフ)は除去していました。
一方アメリカではこの絞りカスを残したまま発酵・蒸留を行うのが一般的です。

発酵について

発酵

蒸留所には4万ガロン(約15万リットル)の巨大なウォッシュバックが64基もあります。

非常に壮大な容量と感じますが、その伸び続ける需要を満足させるにはこれぐらい必要なんですね(泣)

使用される酵母は蒸留所独自のもので、消失することのないように蒸留所内外で厳重に保存されています。

この酵母をウォートに投入したのち、数日間の発酵を経てもろみが完成します。

アメリカンウイスキーの場合このもろみのことをビアと呼びます。

蒸留について

蒸留

ビアはビアスチルと呼ばれる高さが約30mにも及ぶ銅製の連続式多段蒸留器に移され、スコッチで言うところの初留を行いローワインを得ます。

この蒸留器は創業当初から継続して使われているものであるとか。

その後ダブラーと呼ばれるポットスチルのような見た目をした単段の精留装置で再留を行い、アルコール度数約70%のハイワインを得ます。

このダブラーの中では、初留で得られたローワインをアルコールを含んだビアの蒸気で蒸留するという作業が行われています。

こうして得られるスピリッツをホワイトウイスキーと呼びます。

チャコールメロウイング製法

チャコールメロウイング

ホワイトウイスキーはサトウカエデの木炭で満たされた大きな濾過器へと移されます。

この木炭はサトウカエデの角材を屋外で2〜3週間乾燥させたのちに一気に燃やすことで作られています。

厚さ約10フィート(3.3m)にもなる木炭層で長い時間をかけて濾過を行うことで、より滑らかなスピリッツを得ることができます。

熟成について

熟成

アメリカではテネシーウイスキーのを名乗るためにアメリカンホワイトオークの新樽で熟成させるという条件が設けられています。

ジャックダニエル蒸留所では新樽を自社にて製造することで賄っています。

樽を作成するためには多大なコストと労力が必要ですが、ブランドのこだわりを満たすために自社生産を継続しています。

樽職人によってホワイトオークの板が樽状に組み上げられ、独自の手法でトーストし、内部まで熱を通しつつ内面を焦がした樽が熟成に使用されています。

樽詰めされたウイスキーはテネシーの丘に点在するウェアハウスへと運ばれ安置されます。

テネシーは夏は30度を超え、冬は氷点下という寒暖差の激しい地域です。

新樽熟成寒暖差という要因からウイスキーの熟成は短期間で進行していきます。

そのためジャックダニエル蒸留所では、熟成年数ではなく、各樽ごとに熟成度合いをテイスティングすることで原酒を厳選しています。


オフィシャルボトル一覧

ジャックダニエル蒸留所のオフィシャルボトルを紹介します!

ジャックダニエル
ブラック Old No.7

ポイント

ジャックダニエルといえばまさにこのボトル。1900年ごろの発売からジャックダニエルを代表し続けています。

見た目の印象とは裏腹に,チャコールメロウイング製法による,クリーンさと繊細な甘さはある種のギャップ萌え。

絶対に一度は飲んでみてください!

価格帯

Amazon:2,379円

※2022年7月現在

香り

メロン/砂糖/メープルシロップ/トースト感/ウッディ

味わい

メロン/キャラメル/バニラ/コゲ感/ウッディ

余韻

芳醇な樽香がとても長く続く

ジェントルマンジャック

ポイント

通常通り樽熟成を終えたジャックダニエルに対してもう一度チャコールメロウイングを適用した原酒が使用されています。

ブラックよりも雑味が少なく,繊細な甘味がより強調されています。

価格帯

Amazon:3,481円

※2022年7月現在

香り

樽由来のウッディな甘さ/コゲ感/カラメル/メロン

味わい

ウッディ/バニラ/キャラメル/バナナ/メープルシロップ

余韻

ビターを感じさせるウッディ感とキャラメル感がとても心地よい

ジャックダニエル
シングルバレル

ポイント

ジャックダニエルシングルバレルはその名の通り,選び抜かれた1つの樽のみから採れる原酒で構成されています。

そのためロットによって味わいが異なるのが非常に面白いところ。

ジャックダニエル好きにとっては無限に楽しませてくれる一本ですね!

価格帯

Amazon:6198円

※2022年7月現在

香り

トーステッドオークの甘さ/カラメル/バニラ/はちみつ

味わい

芳醇な樽香/香ばしいコゲ感/カラメル/バニラ/メロン

余韻

力強くも繊細な木の甘さが長く続く

ジャックダニエル
ゴールド

ポイント

マスターディスティラーによって熟成度合いの優れた樽を厳選,そして2度目のチャコールメロウイングと2度目の樽熟成(メイプルウッドフィニッシュ)を行った原酒が使用されています。

極度に澄み切ったリッチかつスムーズな味わいが卓越したゴージャスなボトルです!

価格帯

Amazon:16900円

※2022年7月現在

香り

キャラメル/熟したバナナ/メープル/ウッディな甘さ

味わい

トーステッドオーク/メープルシロップ/キャラメル/バナナ

余韻

キャラメルのような香ばしく甘い余韻が長く続く

ジャックダニエル
シナトラセレクト

ポイント

ジャックダニエルのブランディングに大きく貢献したフランクシナトラ氏の生誕100年を記念して製造された最高級のジャックダニエルです。

内側を入念に何度も焦がしたシナトラバレルという専用の樽で熟成を行い,濃厚かつ芳醇な味わいが養われています。

価格帯

Amazon:18,880円

※2022年7月現在

香り

メロン/白桃/バニラ/ウッディな甘み/柑橘感

味わい

メロン/生クリーム/バニラ/チョコ/モルティ感/トーステッドオーク

余韻

バニラの甘さとウッディ感が非常に長く続く

参考資料

サムネイル画像:ジャックダニエル公式サイトAmazonアサヒビール