ウイスキーをストレートで飲んでみたい!
直感的にわかるかもしれませんが,ウイスキーの持つ味わいや香りを最大限に感じることができるのは「ストレート」です。
そうは言えどウイスキーのアルコール度数は最低でも40%と高いですから,ウイスキー初心者の方々の中には,ストレートで飲むことに対して憧れつつも”上級者向けの飲み方である”と敬遠してしまう人も居ることかと思います。
そのような人の中で,もし「強力なアルコールの刺激・強烈な香り」を上手く回避できるのであれば,ウイスキーをストレートで飲んでみたいと感じている方もまた多いのではないでしょうか。はたまたウイスキーに好印象を持てていない方も,この問題が解決されれば,少しは興味を持ちやすくなるのではないかと感じています。
そこでこの記事では,可能な限り刺激等のネガティブな印象を抑えて,ウイスキーの本来の美味しい部分だけを感じやすくする方法を徹底的に解説していきます!!ストレートで飲むことに憧れている方は必見です!
【予備知識】飲み方としての「ストレート」
まず本題に入る前に,ウイスキーの飲み方としての「ストレート」を簡単に解説していきます!
すごく単純に言えばストレートはウイスキーをグラスに注いで飲むだけと言えるかもしれませんが,前提として,いくつか気を付けておくべきポイントがありますので,簡単に説明します。
ポイント
- 温度は常温で飲む!
▶︎ウイスキーは冷やすとスッキリして飲みやすくなる一方,本来持っている華やかな香味や甘みが隠れてしまいます。そのため常温で飲むことで,ウイスキーの持てる最大限のポテンシャルを感じることが可能となります。
- チェイサーを用意する!
▶︎どんなにウイスキーに慣れている方であってもアルコール度数40%を超えるお酒を飲んでいると,徐々に味覚が鈍化してしまいます。そのため途中で水をはじめとしたソフトドリンクを飲んで,味覚をリセットできるように心がけましょう。またチェイサーを飲むことで酔いも軽減することができます!
- シングル(30ml)くらいがちょうどいい
▶︎ウイスキーは一般に一杯を表す単位として”シングル”という基準があります。国ごとや店ごとに異なる分量をシングルとしている場所もありますが,日本では一般的に30mlを表しています。感覚的ですが1種類のウイスキーは大体30mlあれば深く楽しめるので,分量が多くなりすぎないように目安として知っておくようにしましょう!
上記3点に留意した上で,グラスにウイスキーを注いでいきましょう。以下実際に飲むときの流れを簡単に解説します!
まずは香りから!
注いだところで早速飲みたくなってしまうかもしれませんが,いきなり飲んでしまうのは少しナンセンスかもしれません。初めに感じるべきは「香り」です!
いきなり鼻を近づけてしまうとアルコールの刺激等をダイレクトに食らってしまう可能性があるので,グラスから概ね5cm程度の距離から少しづつ近づけながら香りを嗅いでみましょう。
また香りはウイスキーを空気と触れさせることで,徐々に開き始めます。そこで行うのが「スワリング」というグラスをゆっくりと回す,いわゆるソムリエっぽい動作になります。実際にスワリングしてみると少しづつ華やかな香りが広がっていくのがわかります!
香りの次に味わい!
さて,香りを十分に楽しんだらいよいよ口に含んで「味わい」を感じていきましょう!
もちろんウイスキーはアルコール度数が高いので口に流し込むのは少量としておきましょう。
ご存知の通り,人間が味わいを感じっている器官は舌です。そのためウイスキーも基本的には舌の上で転がすことで風味を感じ取ります。口全体に広げてしまうと苦味等のネガティブなニュアンスが表出してしまうので注意しましょう。
そして十分に味わってから飲み込んでみると,鼻からウイスキーの風味を伴う空気が抜けていきます。ここで感じられるのが一般に言う「余韻」になります。
ここまでを感じるのが「ストレート」という飲み方です!
ストレートを楽しむための4つのポイント
さて,いよいよ本題に入ります!
ウイスキーをストレートで楽しめるようになるために必要な,4つのポイントを解説していきます!
グラスにこだわる
ウイスキーをストレートで飲むにあたり,最も重要な付帯的要素は「グラス」であると言えます。これには気分UPに加えて風味の感じやすさを向上させられるからです。
わかりやすさのために極端な例を挙げると,ウイスキーをマグカップで飲んでしまうと強力なアルコール感を感じ取ってしまう可能性が高くなってしまうでしょう。
これにはいくつか理由があり,グラスの側壁が真っ直ぐ立っていると揮発したアルコールがダイレクトに鼻に刺さることや,縁が厚いと口に流し込むウイスキーの量に調節が効かないといったことが挙げられます。
このような要素を解決することでストレートで飲む際に感じやすいネガティブな要素を抑えることができ,実際にそれを可能にする道具がグラスなのです。
以上を踏まえてグラス選びに必要な要素は以下の通りです!
- ボウル状の膨らみがあるものを選ぶ
- グラスの口が狭まっているものを選ぶ
- 縁の薄いものを選ぶ
これらを満たしたグラスは一般に「テイスティンググラス」という名称で呼ばれています。
ストレートに慣れていない方は,このような風味を感じやすいグラスの使用を心がけることでウイスキーの本来の美味しさを感じ取れるようになっていくでしょう!またおしゃれなグラスでウイスキー飲んでいるという格好良さにも浸りたいですよね(笑)
私も使っている超おすすめのグラスをふたつ例示しておきますね!
ツヴィーゼル ウイスキーノージング
グレンケアン
香りを感じ,時間をかけて,水と共に楽しむ
香りを感じる
冒頭にも説明しましたが,ストレートで飲む際に味わいと同じくらいに重要な要素が「香り」です。
実は「香りで感じる要素=味わいの要素」とはならないことが多いです。そのため香りと味わいの2軸からウイスキーを感じることで,ウイスキーの持てる本来の可能性を最大限に楽しむことができるでしょう!またそれらを最もダイレクトに感じることができる飲み方こそが「ストレート」です。
経時変化を楽しむ
また意外にもウイスキーの香りは経時変化をします。
特にグラスに注いだウイスキーは継続的に空気に触れつつ,アルコール分の揮発が徐々に進行していきます。この過程でどんどんと香りが華やかに開いていくのです。注いだ瞬間はアルコール感を強く感じたウイスキーであっても,少し放置してみるとびっくりするほどマイルドになっている場合が非常に多いです。
そのためネガティブに感じたウイスキーは少し放置してみる,最初から美味しいウイスキーはゆっくり飲むことで経時変化を楽しむ。これこそストレートの醍醐味と言えるでしょう。
水(チェイサー)を飲みつつ,適宜加水する
チェイサーの役割
どんなにアルコール刺激を感じない美味しいウイスキーであっても,高い度数に晒される舌は,徐々に味覚が鈍っていきます。
そこでなるべく高頻度で水をはじめとしたチェイサーを挟むようにしましょう。そうすることで味覚の鈍りをリセットすることができ,その後の酔いも低減することもできます。
加水の効果
またシングル(30ml)の分量で飲み進めていくと,徐々にストレートで感じ取れる要素に限界を感じてくるものと思います。もしくは飽きてくるかもしれません。
そう感じるタイミングが訪れた際には,水を数滴加えてみましょう。
数滴程度の水であっても,アルコールの刺激が抑えられるとともにウイスキーの美味しさが新たに開けてくるのを感じることができるでしょう!
加水によって起こる変化の原理
ウイスキーの美味しさ成分はアルコールと密接に結びついています。これは度数が高いほど保持されている美味しさ成分が多いということを表しています。しかしながらいくら美味しさを秘めていても,高いアルコール度数はしんどいですね。
そこで水は,アルコールとそれに結びつく美味しさ成分の分離を促進することができます。
そのため水を加えることによってアルコール刺激は収まり,美味しさ成分の台頭が始まると言うわけです。
誰かのレビューを見ながら飲む
まだストレートに慣れていない方の中には「ウイスキーの味を表現するほど感じ取れない」と思っている方も多いのではないでしょうか。
最初はその感覚のままで全く問題ありません。
実際に高いアルコール度数による刺激が強い中から,いきなり味わいを感じ取るということは,答えや解き方のわからない問題に気合いで挑み続けることに等しいかと思っています。
そのため味わいを感じられるようになるために,まず最初に必要なことは「味わいと言う名の答え」を知ることでしょう。そしてその答えを探すように意識して飲むことで,徐々に自分でも答えを見つけられるようになってきます。
例を挙げてみます。
例えばとあるウイスキーについて,第3者レビューで”りんご”の味がするという答えを知ったとして,実際に飲むときにその”りんご”を意識的に探すように飲んでみてください。最初は解らずとも,レビューを否定せずに,敢えて自分を騙しつつこれを繰り返してみましょう。
そうすると不思議と刺激にも慣れていて,レビューで見た答えの他にもさまざまな要素を主観的に感じ取ることができるようになってきます!
要するに,初心者の段階では第3者のレビューに全幅の信頼を置いてみることが重要ということですね。
思い切って高級なウイスキーを選ぶ
最後に非常に単純かつ明確な方法ですが,高級な,具体的には18年熟成を超える長熟のスコッチウイスキーから飲むことをオススメします。
ストレートで飲むにあたって,やはり1000円程度で買えるウイスキーは少々刺激が強いものが多いように感じています。このようなものからスタートしてしまうと,以降ネガティブな印象が先行してしまい,美味しいものも美味しく飲めなくなってしまう可能性が高いでしょう。
そのため最初ほど長熟のウイスキーに着目してみましょう。一般的に長熟のボトルほどアルコール刺激はマイルドになっており,フルーティや甘さといった,所謂美味しい要素が感じられるようになっています。
舌が慣れていない段階では刺激の強いものではなく,美味しさの感じやすいウイスキーから飲み始めた方がすんなりと「ウイスキーをストレートで楽しめる世界」に立ち入ることができるでしょう!
最後に「おすすめの長熟ボトル」と「お財布に優しめで飲みやすいボトル」を少し紹介しておきます。
おすすめの長熟ボトル
バランタイン21年
ポイント
バランタイン21年は最低21年以上の熟成を経た,40種類を超える原酒をブレンドして生み出されたエレガントなウイスキーです。
多様な原酒を使用しているからこその,圧倒的なバランスの良さとフルーティさを最大の特徴としています。
とにかくこのボトルを最初に選んでおけば間違いないことは確かです!
価格帯
Amazon:12400円
※2022年7月現在
香り
りんご/花畑のようなフローラル感/はちみつ/バニラ/柑橘系
味わい
花の香り/バニラ/はちみつ/スパイシー/レーズン/柑橘系
余韻
若干のレーズン感を伴う甘美で長い余韻
グレンモーレンジ18年
ポイント
最低18年以上熟成させた原酒のみで構成されたグレンモーレンジ蒸留所のオフィシャルシングルモルトです。
原酒たちは全てバーボン樽での熟成後,シェリー樽で後熟されています。
圧倒的な熟成感と奥深い風味の数々はまさに超高級ウイスキーと言えるでしょう!
価格帯
Amazon:11968円
※2022年7月現在
香り
ナッツ感/トフィー/クリームブリュレ/バニラ/オレンジ/レーズン
味わい
オレンジの甘さ/モルティ/はちみつ/バニラ/ヘーゼルナッツ/レーズン
余韻
ドライフルーツ調の甘味とナッティな余韻が長く続く
お財布に優しい飲みやすいボトル
バランタイン17年
ポイント
先ほどの21年に引き続き,バランタインシリーズから17年熟成のボトルになります。
この17年は「The Scotch」と言う異名を持っており,その名の通り,スコッチウイスキーの美味しさの全てが詰まっています。
最初に最適なのはもちろん,ウイスキーを好きになると避けて通れないボトルですよ!
価格帯
Amazon:6578円
※2022年7月現在
香り
バニラ香/ウッディ/モルティ/柑橘系フルーツ
味わい
バニラ/はちみつ/潮感/柑橘の甘さ/フローラル
余韻
優しい煙たさとバニラ感がとても長く続く
ザ・グレンリベット12年
ポイント
グレンリベット12年はかつて英国政府に初めて公認された,非常に深い歴史を誇るグレンリベット蒸留所がリリースする公式シングルモルトです。
文字通りシングルモルトの原点とも言えるウイスキーであり,風味も王道なフルーティさと甘さが主流のボトルになります。
かくいう私もこのグレンリベット12年からウイスキーの世界に入りました!
価格帯
Amazon:4323円
※2022年7月現在
香り
バニラ/パイナップル/オレンジ/爽やかな夏の草原/ナッティ
味わい
ナッツ感/オレンジ系柑橘/トロピカル/ウッディ/バニラ/ミネラル感/チョコ
余韻
優しいウッディ感と爽やかで明るい余韻が非常に長く続く