記事の概要
「デュワーズ(dewar's)」
デュワーズはまろやかな甘みを中心として多彩な飲み方に対応することができ,常飲酒になり得るリーズナブルなボトルから,ハイレンジのラグジュアリーなボトルまでを兼ね備えた一流のブレンデッドウイスキーブランドになります。
主にアメリカを筆頭として世界中の人々に愛される「デュワーズ」について,この記事ではその歴史や製法,ボトルラインナップまで,全容がよくわかるように解説していきます。
\\執筆者情報//
初谷(はつがい)
ウイスキーに関わるあらゆる情報をまとめ,「ウイスキーを知りながらより深く楽しめる記事」を発信しています。
【Shop】ウイスキー専門店『Drinkable books』
【経歴】東京都立大卒|元公務員・ネット酒屋開業
【資格】JWRC公認ウイスキーエキスパート|ウイスキー検定2級
【その他】バンド「Candid moment」のドラマー
各種SNSも運用中!
デュワーズとは…?
「デュワーズ(dewar's)」は約170年にも及ぶ長い歴史を持つブレンデッドスコッチウイスキーのブランドのひとつであり,そのウイスキーは国内で製造された多様なモルト原酒とグレーン原酒をブレンドすることで製作されています。
このモルトウイスキーとグレーンウイスキーというのは,スコットランドにおいて原料穀物などの違いによって区別されるウイスキーの種別であり,細かくは次のような定義があります。
デュワーズを含むブレンデッドウイスキーにおいて,その味わいの大きな方向性を決定づけるのは各蒸留所の個性を色濃く反映したモルトウイスキーの存在であり,特にテイストの中核を担うモルトウイスキーのことを「キーモルト」と呼びます。
今回のテーマであるデュワーズの骨格を形成するキーモルトは「アバフェルディ・クライゲラキ・オルトモア・ロイヤルブラックラ・マクダフ」の5種類とされていますが,それぞれ次のような個性を有しています。
キーモルト
アバフェルディ(Aberfeldy)
アバフェルディ蒸留所は南ハイランドのテイサイドと呼ばれるテイ川の流域,リゾート地としても知られるアバフェルディ村に所在しています。周辺を流れる「水の神のプール」とも呼ばれる上質な水を湛えるピティリー川の水を仕込み水とし,伝統的な製法で作られるウイスキーは,はちみつのような甘く芳醇な個性を有しています。
デュワーズのキーモルトの中では最も重要な立ち位置とされており,実際にデュワーズの味わいを決定づけているのがこのアバフェルディになります。
クライゲラキ(Craigelachie)
クライゲラキ蒸留所はスペイサイドのスペイ川中流域に位置しており,仕込み水は1891年の創業当時より不変で,付近のリトルコンバルの丘に湧き出す泉から採取しています。
ウイスキーの生産においては,原料のモルトを乾燥させる際に油で炊いた火を利用するオイルヒーティングが採用されていたり,蒸留液の冷却に伝統的なワームタブを採用していたりと,サルファリーかつ重厚感のあるテイストを生み出す工夫が為されています。
オルトモア(Aultmore)
オルトモア蒸留所はスペイサイドのキース地区,霧が深い立地という意味合いでフォギーモスと呼ばれる土地に所在しています。スペイサイドモルトらしいノンピートタイプのウイスキーが作られており,フレッシュながらドライなテイストが特徴的です。
ロイヤルブラックラ(Royal Brackla)
ロイヤルブラックラ蒸留所はスコットランドの北ハイランドに位置しており,1835年に当時の国王ウィリアム4世から王家御用達の勅許状を賜ったことにより,ロイヤルの名を冠することが認められた稀有な蒸留所になります。
作られるウイスキーもまさしく「王のためのウイスキー」に違わない魅力を持ち,華やかでエレガントな高級感すら覚えてしまう素晴らしいテイストを誇ります。
マクダフ(Macduff)
マクダフ蒸留所はスコットランドの東ハイランドに位置しており,最新の技術や製法を取り入れたウイスキー作りが行われています。そのテイストはりんごやドライフルーツのようなフルーティ系の甘みを特徴としており,シングルモルトはデヴェロンという名称で販売されています。
デュワーズの製法
【ダブルエイジ製法】
通常ブレンデッドウイスキーは樽熟成されたモルト原酒とグレーン原酒を混合することで完成しますが,デュワーズが独自に取り入れている「ダブルエイジ製法」では,原酒をブレンドしたのちに再び樽熟成が施されています。
このひと手間により,異なるテイストのベクトルを持った原酒たちが端正にまとまり,滑らかでバランスの良いウイスキーを生み出すことが可能となってます。
また最近ではダブルエイジ製法を経て完成した原酒をさらに「ラム樽・メスカル樽・ミズナラ樽」などの個性的な樽でフィニッシュ(後熟)させた原酒からなる,ユニークカスクと呼ばれるシリーズも限定リリースされています。
▶︎ラム樽フィニッシュ「カリビアンスムース」
▶︎メスカル樽フィニッシュ「イリーガルスムース」
▶︎ポートワイン樽フィニッシュ「ポルトガルスムース」
デュワーズの歴史
続いて「デュワーズブランドの歴史」を年表形式でまとめていきます。
西暦年 | 内容 |
---|---|
1846年 | ジョン・デュワー氏が都市パースにてワインとスピリッツの店を開業する |
1860年 | ジョン・デュワー氏によってブレンデッドウイスキーの製造が始められる |
1880年 | ジョン・デュワー氏が亡くなる 事業は子息のジョン・アレクサンダー氏とトーマス・ロバート氏に引き継がれる |
1886年 | 会社名がジョン・デュワー&サンズと決定される |
1891年 | トーマス・ロバート氏がデュワーズの輸出先を探求するべく,世界一周の旅に出る |
1893年 | デュワーズブランドがビクトリア女王より王家御用達を賜る |
1898年 | ジョン・アレクサンダー氏がアバフェルディ蒸留所を創業する |
1899年 | 「デュワーズホワイトラベル」が誕生する |
1907年 | 新たな国王エドワード7世よりデュワーズの王家御用達が更新される |
1925年 | ジョン・デュワー&サンズ社がDCL社に合併される |
1986年 | DCL社がギネス社に買収されてUD社が形成される |
1997年 | UD社がグランドメトロポリタンと合併しでディアジオ社が形成される |
1998年 | デュワーズブランドが複数の蒸留所とともにバカルディ社へと売却される |
2000年 | 「デュワーズ・ワールド・オブ・ウイスキー」がアバフェルディ蒸留所内でオープンする |
デュワーズに纏わるストーリー
【Dewar's】ボトルラインナップ
最後にデュワーズブランドのラインナップを一挙にご紹介していきます!
デュワーズ ホワイトラベル
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ポイント
「デュワーズ ホワイトラベル」は1899年に初めてリリースされて以来,当ブランドの最もスタンダードな代表作として愛され続けているボトルになります。
デュワーズ独自のダブルエイジ製法を経ることでスパイシーながらマイルドでバランスの良いテイストを有し,特にウイスキーの大消費地のアメリカにおいて最もポピュラーなスコッチと呼ばれる超主力銘柄です。
一説にはハイボールの起源とも言われるストーリーを持つだけに,「ホワイトラベル30ml:炭酸水120ml」で作るハイボールで飲むことが,公式によっても推されています。
香り
フローラル/ヘザーハニー/バニラ/洋梨/柑橘系フルーティ/モルティ
味わい
ほのかな甘さ/優しいスモーキー/ヘザー/はちみつとバニラ/花のみつ
余韻
甘さとスモーキーさのバランスがとても良く、深い余韻
デュワーズ12年
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ポイント
「デュワーズ12年」は12年以上の熟成を経たアバフェルディを中心とした40種類を超える原酒によって構成されており,独自のダブルエイジ製法も半年程度に渡って適用されています。
ホワイトラベルよりも贅沢な12年熟成でありながら,価格帯は大きくは変わらず,日常に呑む少しラグジュアリーな常備酒としてその真価を発揮するでしょう。
香り
はちみつ/トフィー/りんご/ファッジ/バター/バニラ/柑橘類
味わい
ジューシーなぶどう/フレッシュ/シトラス/バニラ/ライトでクリーン/滑らかな甘さ/オレンジ
余韻
香ばしい樽香とキャラメルのような甘さ
デュワーズ15年
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ポイント
「デュワーズ15年」は7代目マスターブレンダーのステファニー・マクラウド氏が手がけた,当ブランドの中では近代的な銘柄になります。他のボトルと相違なくその構成はアバフェルディを中心とした40種類以上の原酒からなり,15年の主たる熟成の後にダブルエイジを施すことで完成しています。
甘く華やかで飲みやすいテイストであり,ボトル及び化粧箱も金色を基調としたデザインとなっていることからラグジュアリーな印象が強く,贈答品にも最適なボトルになります。
香り
金色のはちみつ/キャラメル/りんご/バニラ/柑橘系フルーティ
味わい
南国フルーツ/トロピカル/ココナッツ/バニラ/柑橘ジャム/青リンゴ
余韻
繊細なフローラル香とまろやかで温かみのある余韻が長く続く
デュワーズ18年
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ポイント
「デュワーズ18年」は系列の「アバフェルディ・クライゲラキ・オルトモア・ロイヤルブラックラ・マクダフ」の5蒸留所のモルト原酒をキーとし,お馴染みのダブルエイジ製法を経ることで完成したボトルになります。
各モルト原酒の個性が生かされながらもバランスよく調和した滑らかな甘さを有しており,ストレートやロック等のウイスキーの個性を強く感じられる飲み方で映えるラグジュアリーなテイストが特徴となっています。
香り
多彩なフルーツ/ヘザーハニー/リッチな甘み/樽香/クリーミー/カラメルソース
味わい
バタースコッチ/アーモンド/バニラ/バター/濃いフルーティ感/はちみつ/柑橘ドライフルーツ
余韻
リッチな樽香とスムーズな余韻が長く続く
デュワーズ25年
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ポイント
「デュワーズ25年」は15年と同じく,7代目マスターブレンダーのステファニー・マクラウド氏が全製造工程に渡って監督を行い,責任を持って作り上げた当ブランドのフラッグシップボトルになります。
25年以上熟成された40種類を超えるモルト原酒とグレーン原酒をブレンドしたのち,独自のダブルエイジ製法を,史上初の王家御用達ウイスキーであるロイヤルブラックラの空き樽で適用した贅沢な構成となっています。
長熟ゆえにしっかりとした円熟感があり,幾重にも重なり合う多層的で深いテイストが特徴的。贅沢かつ印象的な時間を演出してくれる美酒です。
香り
エレガントなフルーティ感/フローラル/ヘザーハニー/バニラ/りんご/ナッティ
味わい
多彩かつ濃厚なフルーツの甘さ/クリーミーなバニラ/花畑のようなフローラル香/りんご/柑橘類/ナッツ
余韻
滑らかで繊細な甘みが長く続く
\\執筆者情報//
初谷(はつがい)
ウイスキーに関わるあらゆる情報をまとめ,「ウイスキーを知りながらより深く楽しめる記事」を発信しています。
【経歴】東京都立大卒|24歳
【資格】ウイスキーエキスパート合格(2022)|ウイスキー検定2級
【その他】バンド「Candid moment」でドラムを叩く人
各種SNSも運用中!
参考サイト:scotchwhisky.com / デュワーズ公式 / バカルディ公式