記事の概要
世界中の蒸留所図鑑完成を目標としたシリーズです。
今回はスコットランドより「アードベッグ蒸留所」になります!
アードベッグ蒸留所(ARDBEG)
アードベッグ蒸留所の立地・歴史・製法についてまとめていきます。
蒸留所の概要
創業年 | 1815年 |
所有会社 | モエヘネシー・ルイヴィトン社 (グレンモーレンジ社) |
地域分類 | アイラ島 |
発酵槽 | オレゴン松11基 |
ポットスチル | 初留2基・再留2基 |
仕込み水 | ウーガダール湖 |
アードベッグ蒸留所の立地
立地について
アードベッグ蒸留所は創業する以前より密造酒が盛んに作られていた、アイラ島の南岸に建てられています。
海岸沿いで作られるウイスキーは潮風の影響を感じさせる風味を得ると言われていますね。
アイラ島の南部は気温変動が少なく、年間を通して7℃〜17℃程度を推移しています。
ちなみにアードベッグはゲール語で「小さな丘」もしくは「小さな岬」を表しています。
アイラ島南岸付近には「アードベッグ」「ラガヴーリン」「ラフロイグ」の3蒸留所があり、これらはキルダルトン3兄弟と呼ばれています。
アードベッグ蒸留所の歴史
アードベッグ蒸留所の歴史を年表形式でまとめていきます!
西暦年 | 内容 |
---|---|
1815年 | アードベッグ蒸留所がジョン・マクドーガル氏によって創設された。 |
1838年 | 蒸留所がグラスゴーの商人であるトーマス・ブキャナンに1000ポンドで買収される。 経営管理は創業者のマクドーガル氏の息子である、アレクサンダーによって行われています。 |
1853年 | アレクサンダーが亡くなったことにより、蒸留所は彼の姉妹である、マーガレットとフローラに経営が引き継がれた。 |
1887年 | ウイスキーの年間生産量が110万リットルを超え、アイラ島を代表する蒸留所になった。 |
1911年 | アードベッグという名前と、特徴的な「A」のロゴが商標として登録された。 |
1922年 | 長年経営を担ってきたマクドーガル家が再び蒸留所を買い戻した。 |
1959年 | 蒸留所の株式の一部がDCL社とハイラムウォーカー社の所有となった。 |
1974年 | 自社でのモルティングが廃止され、ポートエレン社のピーテッドモルトを購入して使用するようになった。 |
1979年 | ハイラムウォーカー社によって完全に買収される。 |
1981年 | 蒸留所が初めて閉鎖を余儀なくされてしまう。 |
1987年 | 蒸留所がアライドディスティラーズ社によって買収される。 |
1989年 | 蒸留所が再開される。 しかし、実際の稼働は1900年代に2,3ヶ月のみであった。 |
1996年 | アライド社が蒸留所の売却を決めたことにより、再び一時操業停止となる。 |
1997年 | 蒸留所がグレンモーレンジディスティラーズ社によって買収される。 |
1998年 | ビジターセンターがオープンされる。 |
2000年 | アードベッグTENを発売し、ファンクラブが創設された。 |
2004年 | グレンモーレンジとアードベッグがルイヴィトン・モエヘネシー社によって買収される。 |
2018年 | スチルハウスの拡張が決定される。 |
2021年 | スチルハウスの完成が完成し、ポットスチル4基体制となった。 |
アードベッグ蒸留所 製法の特徴
製麦
アードベッグ蒸留所では1974年以降、自社でのモルティングは行われておらず、ポートエレン社から原料のモルトを仕入れています。
これらのフェノール値は55〜65ppm程度であり、アイラ系の中でも最も高い数値を誇ります。
モルトをロバートボビー社の2段式ローラーミルで粉砕してグリストとした後、糖化の工程へと進みます!
糖化
アードベッグの仕込みには、蒸留所の北にあるウーガダール湖とアリナムビースト湖の水を使用しています。
湖の水はアイラ島のピート層を通っているため色もうっすら黒く、ピーティであります。
アードベッグ蒸留所には1バッチあたり5トンのグリスト容量を誇る、ステンレス製のセミロイタータンが設置されています。
まずタンにグリストを投入し、約64度に加熱された仕込み水を数回に渡って注ぐことで糖化が進められます。
ウーガダール湖
発酵
アードベッグ蒸留所には容量28000リットルでオレゴンパイン製のウォッシュバックが6基設置されています。
発酵に使用される酵母はマウリ社製のドライイーストで、発酵時間は約64時間と比較的長めです。
糖化を終えたウォートと酵母をウォッシュバックに投入し、発酵が進められます。
こうしてアルコール度数約8.6%で若干濁りのあるもろみが得られます。
次の工程は蒸留になります!
蒸留
アードベッグ蒸留所には容量11750リットルのウォッシュスチルが2基、13000リットルのスピリットスチルが2基設置されています。
ポットスチルは背の高いランタン型で、、アイラ島で唯一ピュリファイやー(精留器)が取り付けられているのが特徴です。
スチルの加熱方式は蒸気とコイルによる間接加熱方式、コンデンサーの冷却方式はシェル&チューブ方式が採用されています。
また蒸留回数については、スコッチで一般的な2回蒸留となっており、初留2回分のローワインが一度に再留されています。
ポットスチルは背の高いランタンヘッド型であり、特徴的なのはアイラ島で唯一ピュリファイヤー(精留器)が取り付けられている点です。
精留器の影響はフェノール値に出ており、麦芽の段階では55ppmであったものが蒸留後のニューポットでは約23ppmに抑えられています。
【マメ知識】精留器とは?
精留器はラインアームの中に取り付けられる円断面の管であり、配置の都合上、精留器の温度はラインアームよりも低くなっています。
精留器の設置により、低音部を液化せずに通り抜けることができるクリーンかつフルーティな香味成分を持ったスピリッツを厳選して取り出すことができます。
【マメ知識】ppmとは?
フェノール値のことで、ウイスキーのスモーキーさの元となるフェノール性化合物の度合いを表す指標になります。
一般的には10ppm程度でライトなピート感、40ppm程度になると強めのスモーキー感となっています。
オフィシャルボトル紹介
アードベッグ蒸留所がリリースするオフィシャルボトルを紹介します!
アードベッグTEN(ARDBEG TEN)
アードベッグのスタンダードなボトル
アードベッグTENは強烈なスモーキーさと繊細な甘さを併せ持った究極のアイラモルトです!
その圧倒的な個性に興味を持った方は是非飲んでみるべきでしょう。
ウイスキー好きとしては絶対に避けて通れないボトルです!!
価格帯
Amazon:5039円 楽天市場:5581円(送料込み)
※2022年4月16日現在
香り
ヨード、強烈なスモーキー、柑橘
味わい
重厚感のある甘味、コーヒー、深いピート
余韻
長くスモーキー、麦芽の甘味
アードベッグ ウィー・ビースティー5年
(ARDBEG WEE BEASTIE)
若さを武器にした破壊力!
ウィー・ビースティーは「小さいながらも獰猛で、手のつけられないリトルモンスター」を表すワードです。
その意味の通り、5年熟成という若さからくる獰猛な個性が活きたボトルになります!
アードベッグの特徴である破壊的なスモーキーさがより強調されています!
価格帯
Amazon:5029円 楽天市場:4943円(送料込み)
※2022年4月16日現在
香り
強烈だがまろやかなスモーキー/ハーブ/うっすらバニラ/黒胡椒/オイリー
味わい
タール感/潮っぽさ/チョコレート/ビター/オイリー
余韻
かすかなスモーキー/潮感が長く残る
アードベッグ ウーガダール
(ARDBEG UIGEADAIL)
アードベッグの個性×シェリー樽
アードベッグの持つ強烈なスモーキーさとシェリー樽由来の強い甘さが調和したボトルです!!
仕込み水にはピート層を抜けてきたウーガダール湖の水が使用されているので、その名を冠しています。
クセになる個性とクセになる甘さの組み合わせは猛烈の一言。。。
価格帯
Amazon:9276円 楽天市場:11029円(送料込み)
※2022年4月16日現在
香り
ケーキ/潮感/スモーキー/プリン/甘い/燻製
味わい
強い甘さ/スモーキー/ケーキ/クリーム/スパイシー/はちみつ/リッチ
余韻
レーズンやコーヒーのような余韻がとても長く続く
アードベッグ コリーヴレッカン
(ARDBEG CORRYVRECKAN)
アードベッグの個性×フレンチオーク樽
フレンチオーク樽で熟成させたウイスキーはスパイシーさをより深めます。
要するにこのボトルはスモーキーとスパイシーをかけ合わせた、強烈かつ力強い味わいが特徴です!!
ちなみにコリーヴレッカンはアイラ島周辺に生じる、世界で2番目に大きい渦潮のことです!
価格帯
Amazon:10,980円 楽天市場:12,830円(送料込み)
※2022年4月16日現在
香り
強烈なスパイシーとスモーキーの渦巻/ダークチョコ/カシス/黒糖の甘さ/潮感/バニラ/ブルーベリー
味わい
ペッパーステーキと間違うスパイシーさ/エスプレッソ/ダークなフルーツ/アーモンド
余韻
ブラックコーヒーやチョコのようなビターな甘さが長く続く
参考資料
参考:google map アードベッグ公式 scotchwhisky.com whisky.com