記事の概要
管理人によるボトルのレビューを通して、皆様にその魅力を伝える記事です!
「ザ・ニッカ テーラード」はニッカウイスキー社のフラッグシップ的なブレンデッドウイスキーになります。
そんなボトルについて,この記事では…
- 「ザ・ニッカ」ってなに?
- 「ザ・ニッカ テーラード」ボトルの特徴
- 「ザ・ニッカ テーラード」を徹底レビュー
- 「ザ・ニッカ テーラード」飲み方について
などなど詳しく解説していきます!!
↓YOUTUBEでも取り上げています↓
「ザ・ニッカ」ってなに?
ザ・ニッカの解説
ザ・ニッカは2014年にニッカウイスキー社創業80周年及び竹鶴政孝氏の生誕120周年を記念して形成された,モルト比率の高いプレムアムなブレンデッドウイスキーのブランドになります。
発売当初こそ12年以上の熟成を経た原酒のみで構成された「ザ・ニッカ12年」として販売されていましたが,2019年3月にザ・ニッカ12年としては終売されてしまいました。
そしてその後継として発売されたのが,今回ご紹介する「ザ・ニッカ テーラード」であり,こちらは年数表記のないノンエイジとして,海外原酒を交えつつ,パワフルな若い原酒から円熟した超熟原酒までを分け隔てなく使用して作られています。
ちなみにザ・ニッカが誕生した2014年には700本限定のプレミアムなボトルとして,「ザ・ニッカ40年」も併せてリリースされており,このボトルは1945年の余市モルト原酒及び1969年の宮城峡モルト原酒という,40年以上の熟成年数を誇る「ニッカに現存する最古の原酒」がふんだんに使用された超絶贅沢なブレンデッドウイスキーでした。
また2015年以前は「鶴」がニッカウイスキーのフラッグシップ的ブレンデッドウイスキーでしたが,同年に鶴が終売されて以降は,この「ザ・ニッカ」が代表作として活躍しています。
余談までに非常に印象的なボトルの形状について,重なり合う着物の襟元をイメージしたカッティングラインが設けられており,独特なデザインが評価されて2015年にグッドデザイン賞を受賞しました。
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宮城峡蒸留所の解説
余市蒸留所の解説
「ザ・ニッカ テーラード」ボトルの特徴
ボトル外観
諸元
ボトル名 | ザ・ニッカ テーラード |
地域 | 日本 (ジャパニーズウイスキーではない) |
種類 | ブレンデッドウイスキー |
原料 | モルト・グレーン |
容量 | 700ml |
度数 | 43% |
参考小売価格 | 6500円(税別) |
概要
シェリー感の強い宮城峡・独特なピート香を持つ余市など,バラエティ豊かなニッカのモルト原酒をキーとし,海外原酒やカフェグレーンなども交えつつ仕上げられた,プレミアムなブレンデッドウイスキーになります。
熟成年数に縛りがなく,生命力溢れる若々しい原酒から円熟のピークに達した原酒までが幅広く使用されていることから,ニッカウイスキーの本質が表出・洗練されたテイストが表現されています。
またブレンデッドにしてはモルト原酒比率が高めに設定されており,公式の表現でも「モルトベースのブレンデッドとして一つの完成系に到達した」と言及されています。
製法と特徴
- 宮城峡のシェリー樽原酒
▶宮城峡らしいフルーティかつ甘みの強いドライフルーツ調のテイストが得られます
- 余市の独特なピート香
▶余市らしいピート香と潮の香りが個性的な風味をもたらします
- 多様な熟成年数の原酒を使用
▶若さと円熟感が混合されることで無骨な重厚感と圧倒的な力強さが得られます。
- モルト原酒主体の構成
▶︎モルト原酒比率を高くすることで,通常のブレンデッドよりも,ニッカのモルトの個性を際立たせています。
「ザ・ニッカ テーラード」徹底レビュー!
まずレビューの項目について説明しておきます!
レビュー項目
- 色味
ウイスキーをグラスに注ぎ、目視にて色の濃さを5段階評価します!
- 香り
香りについて私が感じ取った内容をまとめていきます!
- 味わい
味わいについても私が感じ取った内容をまとめます!
- 余韻
余韻の長さを5段階で評価します!!
- 総評(100点満点)
ボトルのポジティブな風味とネガティブな風味を10段階で評価し、レーダーチャートで表現します!
ポジティブで獲得した点数からネガティブの点数を引くことにより、ボトルを100点満点で評価します!!
また総評を文章にて取りまとめていきます!
さてさて、それでは早速「ザ・ニッカ テーラード」をテイスティングレビューしていきます!
色味
色味は中程度よりは濃いめの琥珀色といった感じで,金のような明るい印象が少なくマットでクールです。
着色料の有無等はわかりかねますが,濃厚なテイストが想像できる魅力的な外観であると感じます!
薄
1 2 3 4 5
濃
▼
香り
香りの第一印象としては,とても濃いモルティな甘みとわずかなコゲ感を伴う円熟した樽香が感じられます。全体的に香ばしさがしっかりと感じられ,さながら洋菓子のような甘い香りが主体的ですね。
続いて青リンゴの甘さや砂糖をまぶしたドライフルーツ,オレンジジャムのようなデフォルメされた柑橘の濃い甘さなどのフルーティな要素がしっかりと出てきます。
またエステリーな溶剤香やバニラ,キャラメルのような,バーボン樽由来と思われるクリーミーな甘み。そしてキーモルトの余市が持つ特有のピート感や,宮城峡のシェリー樽原酒に近いコーヒーのようなビター感もうっすらと漂ってきます。
香りとしては香ばしいオークの樽香やまったりとした甘さが中心となっており,力強いインパクトこそあるものの,バランスの良い王道な仕上がりとなっていました。
↓感じ取れる香り↓
濃厚なモルティ/コゲ感/円熟した樽香/洋菓子/青リンゴ/ドライフルーツ/オレンジジャム/エステリー/バニラ/キャラメル/クリーミー/余市ピート/コーヒー/ビター
▼
味わい
味わいの第一印象は,香りと打って変わって,余市らしいピートスモークと濃厚で力強いオークのニュアンス,朝ごはんのトーストのような香ばしい穀物の風味が並列に感じられました。直感的には甘みの印象が強く出ているように感じます。
続いてバーボン樽らしいオレンジジャムのような柑橘感と,キャラメルの甘さが出てきており,キャラメルに関しては余市の潮感と融合して塩キャラメルに進化しましたね。
そしてナッツ感やカカオ色の強いダークチョコの甘苦さ,ドライフルーツを思わせる繊細な甘さ,かすかなスパイシー感が感じられます。
味わい全体としては甘さと余市由来の個性のバランスが良く,王道な要素と突き詰めたニッカの個性が共存しているような仕上がりとなっていました。
↓感じ取れる風味↓
強余市ピート/力強いオーク香/微コゲトースト/モルティ/オレンジジャム/塩キャラメル/余市の潮感/ナッティ/カカオ/ダークチョコ/ドライフルーツ/胡椒系スパイシー
▼
余韻
余韻にかけては,砂糖漬けのドライフルーツのような甘さと樽由来のスパイシー感が残り,長さとしては中程度の印象。
終わり際にはレーズン調の渋みが徐々に強まっていくように感じました。確かにニッカらしいテイストとなっており,これぞ「ザ・ニッカ」であると実感しました。
短
1 2 3 4 5
長
「ザ・ニッカ テーラード」飲み方について
さて、ここまではストレートにてボトルのレビューをしてきました。
そこで「ザ・ニッカ テーラード」はどの飲み方が一番美味しいのでしょうか。王道の飲み方である「トゥワイスアップ・ロック・ハイボール」の3種類で比較してみましょう!
飲み方について深く掘り下げた記事も書いているのでご参考までにリンクを貼っておきます!
トゥワイスアップでは?
ポイント
加水するとバーボンのような溶剤系の甘さとドライなウッディ感の香り立ちが強くなりました。ジャムのような濃厚なオレンジの甘さと花畑様のフローラル感も併せて前に出てきています。
味わいではストレートでも最初に感じた余市のピートは据え置きで,ドライフルーツや塩キャラメルの要素が強まったように感じられます。また口に含んでから余韻まで,ベースにはに香水のような無機質なフローラルな甘さが存在しています。
パワフルなテイストがやや和らぎ,全体の印象としてはまったりとした甘みが主体的となっており,デザートの様な満足感を得ることができます。
▼
ロックでは?
ポイント
ロックにすると,まず香ばしくビターなウッディネスとガッツリしたドライフルーツの甘い香りが前面に出てきました。香りの多様性は冷やされることで無くなりましたが,シェリー樽系の甘さが強く残されていますね。
味わいではレーズンの甘みと渋み,そしてカカオの濃いチョコやコーヒーのようなビター感とナッティさが強く感じられるようになりました。ストレートで存在したバーボン樽系の要素や余市のピート香の主張はキッパリと奥に引っ込んでしまいました。
香り・味わいともに多様性が抑えられた反面,わかりやすい甘みとビター感の調和が綺麗に整っており,とても飲みやすくなった印象でした。
▼
ハイボールでは?
ポイント
ハイボールではドライフルーツとクリーミーなバニラの甘い香りが真っ先に感じられます。ウッディネスはビター感を失い,オークの強い甘さだけが残っている印象です。
味わいでは柑橘の香り立ちとオレンジピールの甘さ,そしてクリーミーな塩キャラメルの甘さが中心に感じられます。特に柑橘系の主張は非常に強く,余韻にかけても柑橘の甘さがしっかりと残り続けます。
濃厚なクリーミー系の甘さを持ちながら,ベースに確かな柑橘感が存在していることによって,ハイボールの爽快感を損なわず,甘さ主体のハイボールとして圧倒的なバランス感がありました。
おすすめの飲み方は…?
「ザ・ニッカ テーラード」のおすすめの飲み方は「ハイボール」です!
まずどの飲み方にも共通している点として,水(氷)と接触したことによってドライフルーツの甘さがテイストの中心に躍り出てきたことに驚きました。また余市ピートなどの個性的な要素とパワフルな印象が抑えられていたため,飲みやすさを求める人はストレート以外の飲み方をお勧めします。
3種の飲み方の中ではハイボールが強い存在感を残しており,際立った柑橘感が炭酸との相性の良さを形成し,ドライフルーツやクリーミーな甘さをバランスよく感じることができました。ウッディなドライ感があることもまたハイボールとの相性が良し。
最も気軽に美味しく飲めるのがハイボールでした!
「ザ・ニッカ テーラード」総評
最後に総評に入りたいと思います!まずはレーダーチャートから!
ポジティブ
ネガティブ
さてさて、気になる点数は…
点数の理由と評価
「ザ・ニッカ テーラード」は香りと味わい,そして各種の飲み方ごとに異なる特徴を呈している点でとても多様性に長けたボトルであった様に思います。
ストレートにおいて香りではモルティ感や木,フルーツなどの華やかな甘さが強く感じられた反面,味わいでは余市のピートや樽のビター感などのパワフルかつ重厚感のある無骨なテイストが感じられました。
しかし無骨な味わいは,水分の加わる他の飲み方において和らぎ,香りに近づいていく印象があるのがとても不思議でした。
そんなわけでクセのあるテイストが欲しい時はストレート,華やかな風味が欲しい時はロックやハイボールなどと,場面によって使い分けることのできる万能なボトルです。
また余市・宮城峡の持つニッカらしさがしっかりと出ており,かつバランスの良い様はまさにニッカの本質であり,「The」の名を冠していることにも納得です。
価格帯こそ高めですが,モルト原酒比率が高く,深く厚く力強いテイストは十分コストに見合う満足感を与えてくれるので,まだ飲んだことのない人は一度飲んでみて欲しく思います!
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正直計りたい分量が計れるものであれば何でもいいと思います!