【おすすめ】アイラモルトにも劣らず? 個性派ハイランド・スペイサイドモルト10選|ウイスキーラウンドアップ

記事の概要

 アイラ・アイランズモルトの中に,強烈な個性を持ったウイスキーが多く存在することは既に周知の事実となっているでしょう。

 その一方で,一見華やかな味わいの印象があるスペイサイドモルトや,多様性に富んだハイランドモルトの中にも,実は一際目を引くような強い個性を持ったウイスキーが幾つか存在しています。

 この記事では,そのようなアイラ・アイランズモルトに勝るとも劣らない,個性派の”ハイランド・スペイサイドモルト”を10本ご紹介していきます…!

【スコッチウイスキー】地域分類について

 スコッチウイスキーは蒸留所の所在する地域により,その分類をより細分化することができます。
 具体的には『ハイランド・スペイサイド・ローランド・アイラ・アイランズ・キャンベルタウン』の6地域に分けられ,各々が多少異なるテイストのウイスキーを作っていることが知られています。

 本題に入る前にまずは各地域の特徴について,代表的な銘柄の紹介を交えつつ,簡単にご紹介していきます。

ハイランド

ハイランド』はスコットランド本島の北側の大部分を占める広大な地域のことを指し,通常東側の都市ダンディーと西側の都市グリーノックを結んだ線よりも北側の地域とされています。
 非常に広大であることから,必然的にハイランドに括られる蒸留所の数も多くなっていますが,ウイスキーの味わいの方向性はまちまちである場合がほとんど。
 強いてまとめるならば,中程度の個性派モルトから華やかなモルトまでの範疇に収まっている印象です。


スペイサイド

スペイサイド』は地理的にはハイランドの一部ですが,非常に多くの蒸留所を抱えていることから,ウイスキーについては一つの大きな括りとして捉えるのが一般的となっています。

 この地域は豊富な水源があり,ウイスキーの原料となる大麦やピートの産地としても有名であることから,歴史的にもウイスキー作りの中心地として栄えてきた場所。
 今では圧倒的に華やかかつフルーティなウイスキーを作る蒸留所が多く存在し,超絶的な人気を誇る銘柄を多く抱える,まさしくスコッチの聖地とも呼べる地域となっています。


アイランズ

アイランズ』はスコットランド本島の北部から南西部に浮かぶ島々で作られるウイスキーのことを指します。

 単にアイランズといっても,全ての蒸留所が各々の島の環境の元でウイスキー作りが最適化されてきているため,それぞれ味わいの方向性は大きく異なるのが特徴。
 超スモーキーな銘柄からフルーティで華やかな銘柄まで,多彩な選択肢が最大の魅力となる地域分類です。


アイラ島

アイラ島』はスコットランド本島の南西部に浮かぶ,面積約600㎢・人口3,400人程度の小さな島になります。

 しかし島の小さな規模感とは裏腹に,9ヶ所(※)にも及ぶ多数の蒸留所が稼働する珍しい島でもあり,島内に豊富に存在するピートをふんだんに使用した圧巻のスモーキーテイストを持つウイスキーの数々が多大な人気を誇っています。

※再稼働が進められているポートエレンが復活したら計10ヶ所となる。


ローランド

ローランド』はスコットランド本島のハイランド地方より南側の地域であり,エジンバラやグラスゴーなどのスコットランド有数の大都市が多く存在しています。

 ローランドは歴史上では経済的に優位な時代が多かったことから,ウイスキー作りにおいては伝統製法の保持よりも,革新的な試みが多く行われてきた地域。
 実際に伝統的なモルトウイスキーの蒸留所は土地の広大さの割に多くなく,ブレンデッド事業者やグレーン工場などが大きく発展していることで知られています。

 同地域のウイスキーの特徴としては,比較的ライトなボディ感をベースとし,軽快な柑橘香やモルティなドライ感に特化したものが多く存在している印象です。


キャンベルタウン

キャンベルタウン』はスコットランド南西部のキンタイア半島の先端部に位置する街の名称になります。

 この地域はかつての米国禁酒法の時代以前,海上輸送が物流の主流であった時代にウイスキー作りで発展し,一時は34にも及ぶ蒸留所が建っていたことから”ウイスキーの首都”とも呼ばれていました。
 しかしウイスキーを取り巻く悪情勢に耐えかねて,そのほとんどが淘汰。現在は3つの蒸留所を残すのみとなっています。

 また同地域のウイスキーは,海からの潮風の影響を強く受けたブリニー(塩辛さ)感を特徴としており,個性的ながらも香り高い印象が世間からの高評価を集めています。

▶︎アイラモルトに負けない◀︎個性派ハイランド・スペイサイドモルト10選

 それでは早速本題に入ります。
 アイラモルトに勝るとも劣らない,個性的な”ハイランド・スペイサイドモルト”を10本見ていきましょう。

オールドバラントルーアン

ポイント

オールドバラントルーアン』はスペイサイドの”トミントール蒸留所”が手がける,ピーテッドバージョンのシングルモルトになります。

 同蒸留所は通常ノンピートモルトを原料とし,スペイサイドで最も軽いとも言われるライトなウイスキーを作っていますが,オールドバラントルーアンに使用される原酒はフェノール値55ppmのヘビリーピーテッドタイプとされています。
 熟成年数はバーボン樽で5年程度,アルコール度数は50%とやや高めであり,ヘビーピートのテイストがしっかりと映える構成。バニラやキャラメルの甘さが香る個性派スペイサイドモルトです。

香り

焦げた木|ドライなピートスモーク|焚き火|シトラス|パイン|ローストコーヒー

味わい

焚き火スモーク|乾いたピーティ|りんごとパイン|ダークチョコレート|土壌と草原

余韻

焦げ焦げしいスモーク感|カカオ90%チョコレート

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ベンロマック10年

ポイント

ベンロマック10年』はスペイサイドの”ベンロマック蒸留所”の最もスタンダードなオフィシャルシングルモルトになります。
 ベンロマック最大の特徴は,所有者が著名なボトラー企業のゴードン&マクファイル社となっている点にあり,同社の知見が最大限に生かされたウイスキーは,個性派スペイサイドモルトとして多くの賞を受賞するに至っています。

 原酒の構成はバーボンバレル80%,シェリーホグスヘッド20%,そして最後に1年間のファーストフィルオロロソシェリー樽フィニッシュが施されたものとなっています。
 そしてその味わいについては,リンゴ系のフルーティ感や麦芽チックなモルティな甘さをトップに持ちつつ,ベリーフルーツや馴染みの良いピートスモークの背景を感じさせる複雑かつ個性的な仕上がりです。

香り

青リンゴ/ダークなはちみつ/バニラ/穏やかなピートスモーク/洋梨/レーズンの甘み

味わい

モルティなシリアル/煮込んだフルーツの甘さ/トフィー/ブラックチェリー/バニラ

余韻

モルティな甘みと香ばしく優しいピートスモークが長く続く

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ベンロマック
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ベンリアック スモーキーテン

ポイント

ベンリアック スモーキー・テン」は,スペイサイドの”ベンリアック蒸留所”が手がける最もスタンダードなピーテッドバージョンのオフィシャルシングルモルトになります。
 同蒸留所は通常ノンピート原酒を製作していますが,年に1ヶ月だけピーテッド原酒も生産しており,このボトルにはそれらの原酒が採用されています。

 熟成にはバーボン樽,ジャマイカ産のラム樽,トーステッドバージンオーク樽が使用されており,そのテイストはベンリアックらしい果樹園のような華やかさをベースに,香ばしいハイランド系のピートスモークがほのかに漂う印象で,どことなくウッディな煙たさを感じさせてくれます。

香り

果樹園の完熟フルーツ|シロップ|ドーナツグレーズ|スモーク|オーク|スパイス

味わい

スモークアップルウッド|ハニー|メープル|ピートスモーク|スパイシー|洋梨|ウッディ

余韻

フルーティ&スパイシーがバランスよく残る

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ベンリアック
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アードモア レガシー

ポイント

アードモア レガシー』は,東ハイランドに建つサントリー社所有の”アードモア蒸留所”が手がける,最もスタンダードなオフィシャルシングルモルトになります。
 同蒸留所ではノンピート麦芽の他に,通常よりも炭素の含有率が高い特殊なピートを炊いたピーテッドモルトも原料として採用しているため,ドライかつタンパクな内陸っぽい煙たさを持っているのが特徴。

 アイラモルトのようなヨード感はほとんどありませんが,リーズナブルな価格帯でスコッチの遺産(レガシー)的な味わいを感じることができる,非常にありがたい伝統的個性派ウイスキーです。

香り

内陸のピートスモーク|シナモンスパイス|蜂蜜感|薄っぺらい柑橘の甘み

味わい

ドライなピートスモーク|モルティ|スパイシー|蜂蜜漬けレモン|木っぽさ

余韻

ほのかなピートスモークとタル感が残る


クライヌリッシュ14年

ポイント

クライヌリッシュ14年』は,北ハイランドに所在する”クライヌリッシュ蒸留所”が手がける,最もスタンダードなオフィシャルシングルモルトになります。
 同蒸留所ではノンピートタイプの麦芽が原料とされていますが,沿岸の立地に由来した強烈な潮風のような独特なスモーキー感を獲得しているのが最大の特徴。

 香りや味わいのベースは花の蜜のようなフローラル感や,シルキーで滑らかなフルーツの甘さですが,他に代替の効かない唯一無二の独特な潮の要素は,まさしく個性派ハイランドモルトの名にふさわしいでしょう。

香り

潮×モルティ|濃密な柑橘エキス|ほのかなスモーク感|塩バニラ|フローラル

味わい

吹き荒ぶ潮風とスモーク|モルティ|滑らかな柑橘感|キャラメル|レーズン|胡椒

余韻

ほのかに潮っぽいスモーク感|バニラの様な舌に残る甘さ

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グレンタレット7年
ピートスモークド

ポイント

グレンタレット7年 ピートスモークド』は,南ハイランドの”グレンタレット蒸留所”が手がける,ピーテッドバージョンのオフィシャルシングルモルトになります。
 同蒸留所ではライトリーピーテッド原酒をメインに据えつつ,ノンピートとヘビーピートの原酒も作り分けるような生産体制をとっており,オイリーな舌触りで甘さと煙たさが混在する,バランスの良いウイスキーが生産されているのが強い魅力です。

 このボトルにおいては,アメリカンオークシェリー樽やリフィルカスク由来の原酒がヴァッティングされており,蒸留所の持つスモーキー原酒のポテンシャルを最大限に引き出した構成。
 甘美なフルーティネスと強力なピートスモークが融合した至高のハイランドモルトです。

香り

ドライフルーツ感|木を纏うドライなスモーク感|弱バニラ|軽快フルーティ

味わい

ドライフルーツの甘み|明確な強いスモーキー感|バニラ|ビターなウッディ

余韻

ドライなウッディ感とピートスモークが香る個性的な余韻


ロッホローモンド
インチモーン12年

ポイント

インチモーン12年』は,南ハイランドの”ロッホローモンド蒸留所”が手がける,ピーテッドバージョンのオフィシャルシングルモルトブランドになります。
 同蒸留所は多彩な原酒の作り分けを最大の魅力としており,ノンピートとピーテッドポットスチルとローモンドスチルと連続式蒸留器,そして多様な樽の使用など,無数のオプションを有しています。

 中でもこのインチモーンに使用される原酒は,ピーテッド麦芽を主たる原料とし,ポットスチルとローモンドスチルで蒸留を実施。
 そしてリフィルバーボン樽とリチャーアメリカンオーク樽で熟成されたものとされており,ほのかな内陸のスモーク感にバニラの甘さ,胡椒が香るミーティな香味,コーヒーのビター感など,やや個性派な味わいが魅力となっています。

香り

ミーティなピートスモーク|黒胡椒香るウッディ感|バニラ|エステリー

味わい

燻製感|ピートスモーク|苦味の強いコーヒー|スパイシー|ほのかにフルーティ

余韻

滑らかに長く続くピート|ビターチョコレート


アンノック ピートハート

ポイント

アンノック ピートハート』は,東ハイランドの”ノックドュー蒸留所”が手がける,ピーテッドタイプのオフィシャルシングルモルトになります。
 同蒸留所では,生産されるウイスキーの概ね7割程度がノンピートタイプとされていますが,残る30%はフェノール値40ppmのヘビリーピーテッドタイプとされており,後者のスモーキーな原酒をボトリングしたものが,この「ピートハート」になります。

 年数表記のないNVスタイルですが,熟成年数は最低10年以上とされており,カスクはバーボン樽とのこと。
 その味わいにおいては,ドライかつ強力なスモーキーテイストののちに,アンノックらしい柑橘系のフルーティ感がややトロピカル感が香る,まとまりの良い個性派ハイランドモルトとなっています。

香り

強力な内陸のピートスモーク|ナシやリンゴ|爽快なレモン感|焚き火の煙

味わい

土っぽいピートスモーク|焼きリンゴ|バニラとレモン|チョコレート

余韻

花が香る土けたピートスモーク|暖かいスパイシー


グレンドロナック
トラディショナリーピーテッド

ポイント

グレンドロナック トラディショナリーピーテッド』は,東ハイランドの”グレンドロナック蒸留所”が手がける,ピーテッドタイプのオフィシャルシングルモルトになります。
 このボトルの製作にあたっては,200年ほど前のハイランドにおいて,麦芽の乾燥にピートを焚くのが主流であったという歴史的伝統に着想が得られています。

 よってその原酒は,伝統的なレベル(25ppm程度)にピートが焚き込まれた麦芽を原料とし,PXシェリー樽・オロロソシェリー樽・ポート樽による熟成が施されており,内陸のドライなピートスモークを基調に,トフィーや蜂蜜,ドライフルーツのような甘みが残る香ばしい仕上がりとなっています。

香り

ベリーとオレンジ|マイルドなモルティ感|バニラとトフィー|ほのかなドライピート

味わい

フローラルなヘザー感|ドライフルーツ|樽っぽいスパイス感|ブラウンシュガー|焦げ感のあるピートスモーク

余韻

シェリー樽の華やかな甘さ|ほのかに香るビターなスモーク感


アードナムルッカン シングルモルト

ポイント

アードナムルッカン シングルモルト』は,西ハイランドに2014年に創業した”アードナムルッカン蒸留所”が手がける,オフィシャルシングルモルトになります。
 当蒸留所のボトルは以前までラベルにバッチ番号が記載されていましたが,直近のリリースからはその記載がなくなっており,未だ数量限定ではあるものの,徐々にボトルの生産が安定し始めていると見て良さそうです。

 現時点(2023.7月)に市場にあるボトルは,2015年・2016年に蒸留された原酒のから,ノンピート・ピーテッドそれぞれのタイプを半分ずつ採用。
 樽構成は65%がバーボン樽,35%がシェリー樽とされており,塩レモンや蜂蜜,胡椒と潮が香るほのかなスモーキー感など,個性的ながらも奥深く広がりのある,完成度の高い味わいが魅力の個性的な新興ハイランドモルトになります。

香り

柑橘の皮|蜂蜜オレンジ|無機質なミネラル感|潮感|胡椒ミーティ|スモーキー

味わい

塩レモン|ピートスモーク|オレンジピール|潮風|トースト感|ダークチョコ|蜂蜜|胡椒スパイス

余韻

穏やかなスモーキー感|ほのかな潮風|スパイシー

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