記事の概要
管理人によるボトルのレビューを通して、皆様にその魅力を伝える記事です。
今回は…
「ローズアイル12年」
当記事では,このボトルについて
などなど詳しく解説していきます!!
\\執筆者情報//
初谷(はつがい)
ウイスキーに関わるあらゆる情報をまとめ,「ウイスキーを知りながらより深く楽しめる記事」を発信しています。
【Shop】ウイスキー専門店『Drinkable books』
【経歴】東京都立大卒|元公務員・ネット酒屋開業
【資格】JWRC公認ウイスキーエキスパート|ウイスキー検定2級
【その他】バンド「Candid moment」のドラマー
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「ローズアイル」ってなに?
ローズアイルの解説
- ローズアイル蒸留所について
「ローズアイル蒸留所」は,英国の業界最大手企業であるディアジオ社が,2009年にスペイサイド地方のエルギンの街の西側で創業した大規模な蒸留所になります。
蒸留所と同じ敷地内には,1979年から稼働していたローズアイル製麦所が建っていましたが,そこにウイスキー設備を併設する形でローズアイル蒸留所が形成されました。また蒸留所のごく近傍には。同じくディアジオ社が運営するバーグヘッド製麦所も所在しており,ローズアイルとはパイプを介して熱エネルギーがシェアされているとのことです。
このようにローズアイル蒸留所は新興の蒸留所ですが,その生産体制には最新鋭の効率的な設備を導入することで,年間に1,250万リットルという莫大な分量の原酒を生産することが可能とされています。しかしながらそのほぼ全てがブレンデッド用とされているため,これまではボトラーを含めて一切シングルモルトが世に出ることはありませんでした。
よって世界中どこを見回しても,ローズアイルを飲むことができるようになったのは,この「ローズアイル12年 スペシャルリリース(23)」が完全に初めてということになります。
(各種生産工程の特徴などは”蒸留所解説記事”にまとめていますので,ご興味のあられる方は是非ご参照ください。)
- ディアジオスペシャルリリース
「ディアジオスペシャルリリース」は,業界最大手企業のディアジオ社が年に一度,傘下の蒸留所のモルトをボトリングする限定シリーズになります。
スペシャルリリースでは,様々な蒸留所の特殊な樽熟成の原酒や,既に閉鎖されてしまた蒸留所の原酒,そして時にはグレーンやブレンデッドモルトなどに至るまで,興味深いラインナップの数々が非常に魅力的。加えてボトリングはカスクストレングスとされています。
なお最近日本にも導入された2023年のラインナップは,”Spirited Xchange”がテーマ。ウイスキーを愛する世界各国の文化と伝統からインスピレーションを得て,フィニッシュに各国のウイスキーやワインの樽を使うことで,各国のカルチャーを再現しています。
「ローズアイル12年」ボトルの特徴
\\ボトル外観//
\\ボトル諸元//
ボトル名 | ローズアイル12年 ディアジオスペシャルリリース(23) |
地域 | スコットランド,スペイサイド |
種類 | シングルモルト |
容量 | 700ml |
度数 | 56.5% |
原酒諸元 | ノンピート ファーストフィルバーボン樽 リフィルカスク |
「ローズアイル12年」テイスティングレビュー
さてさて、それでは早速「ローズアイル12年」をテイスティングレビューしていきます!
色味
『ローズアイル12年』の色味については,中程度くらいの濃さに見え,やや琥珀っぽいダークな金色といった印象です。客観的な指標としてwhiskys.co.ukの色見本に準えて評価すると,"Chestnutploroso Sherry"くらいであると言えるでしょう。
▼
香り
- 第一印象
濃厚な桃の果実感,濃厚なバニラアイス,ヘーゼルナッツの香ばしさ
アルコール感は要素に対して控えめ|ノンピート
- 経時変化で見える要素
穀物系のクリーミー感,暖色の花畑っぽいミルクチョコ,爽快なグラッシー感,はちみつレモン
筆者の一言
香り全体はとにかく華やかさに特化しており,特に桃の要素がとっっっても強かった印象。スペイサイドらしい要素も随所に感じることができ,王道な魅力が詰め込まれた香りでした。
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味わい
- 第一印象
花畑系の自然な蜂蜜感,濃厚な桃の果実感,濃い赤りんごwithシナモンスパイス
アルコール刺激は度数相応|ノンピートで華やか
- 経時変化で見える要素
カスタードクリーム,花畑系のキャラメル,香ばしいナッツ感,乾いたウッディなスパイシー感
- 余韻に残る要素
暖かく多彩な果実感とフレッシュなグラッシー感がとても長く残る
筆者の一言
味わいに関しては,アタックの時点からフルーティ&フローラルでとても華やかだった印象。その他感じ取れる要素も王道のスペイサイドモルト感満載であり,限定リリースであることに勿体なさを感じるほど魅力的でした…!
「ローズアイル12年」飲み方について
さて、ここまではストレートにてボトルのレビューをしてきました。そこで「ローズアイル12年」はどの飲み方が一番美味しいのでしょうか。王道の飲み方である「トゥワイスアップ・ロック・ハイボール」の3種類で比較してみましょう!
▽また飲み方について深く掘り下げた記事も書いているのでご参考までにリンクを貼っておきます!
トゥワイスアップ
おすすめ度 ▶︎ 5/5
ロック
おすすめ度 ▶︎ 4/5
ハイボール
おすすめ度 ▶︎ 4/5
「ローズアイル12年」総評
最後に総評に入りたいと思います!まずは風味の各要素をグラフ化してみてみましょう!
さてさて、気になる点数は…
点数の理由と評価
- 香り:5/5|味わい:5/5
まず『ローズアイル12年』の香りと味わいについては,とにかく甘く華やかな印象が強く,特に桃の果実感が筆頭のフルーティ感と,花畑系のフローラル感をダイレクトに感じることができました。その他感じ取れる要素を含めても,やはり王道のスペイサイドスタイルの魅力が存分に反映されており,飲んだ瞬間からかなり好印象でした。
また華やかさはシェリー樽原酒のような圧倒的な要素では決してなく,原酒の良さが活かされたバーボン樽系の自然な甘さだったので,ローズアイルらしさを楽しむことができるのもこのボトルの魅力でした。
- 初心者向け度:4/5
続いて初心者向けかどうかという観点で「ローズアイル12年」を見てみると,飲み方如何では向いていると言えるでしょう。
というのもやはりアルコール度数が56.5%とかなり高く,前述の通りシェリー樽原酒のようなフルボディ濃厚パンチな印象ではないので,アルコールの刺激はやや感じやすいものと思います。
この点で初心者には少々飲みづらい印象を与える可能性がありますが,加水を含めてその他の飲み方とは相性が非常によく,華やかな魅力を分かりやすく楽しむことができました。よってストレート以外の飲み方で飲むのであれば,初心者でも存分に楽しむことができると言えるでしょう。
- 入手性:1/5|コスパ:4/5
最後に「ローズアイル12年」の入手性とコスパについては,入手性はおそらく悪い,コスパはかなり良いと言えそうです。
まず入手性については,限定シリーズのディアジオスペシャルリリースの一環であることと,ローズアイル蒸留所の世に出る初めてのシングルモルトということで,供給に対して需要が超過する可能性が高いと考えられます。日本に導入されたのは5月に入ってからのようでして,まだ店頭に置いてある酒屋さんが残されている可能性もありますので,興味のある方は見つけた際に逃さないようにしましょう。
そしてコスパについては,絶対値的な希望小売価格が13,000円台半ば程度ということで,12年熟成のシングルモルトとしてはやや高く感じますが,カスクストレングスのディアジオスペシャルリリースであり,尚且つ蒸留所初のリリースということを考えれば妥当な価格設定であると感じます。また味わいを確かめた後でも,非常に印象的な華やかさを楽しむことができたので,コスパが良いという結論は揺らぎませんでした。