記事の概要
管理人によるボトルのレビューを通して、皆様にその魅力を伝える記事です。
今回は…
「M&H エレメンツ シェリーカスク」
当記事では，このボトルについて
などなど詳しく解説していきます！！
＼\執筆者情報/／
初谷（はつがい）
ウイスキーに関わるあらゆる情報をまとめ，「ウイスキーを知りながらより深く楽しめる記事」を発信しています。
【Shop】ウイスキー専門店『Drinkable books』
【経歴】東京都立大卒｜元公務員・ネット酒屋開業
【資格】JWRC公認ウイスキーエキスパート｜ウイスキー検定2級
【その他】バンド「Candid moment」のドラマー
各種SNSも運用中！
「M&H」ってなに？
M&Hの解説
- ブランドと蒸留所
『M&H（ミルク&ハニー）』は，2012年にガル・カルクシュタイン氏を筆頭としたチームが，イスラエルのテルアビブで創業した新興の蒸留所になります。
稼働方針の決定に際しては，台湾のカバラン蒸留所などのコンサルタントを務めた経歴を持つジム・スワン博士の協力を得ており，随所に彼の工夫が凝らされています。
”イスラエル”というと，なんとなく中東の殺風景な情景を想像してしまいますが，テルアビブは美しい湾岸都市の新興エリアといった感じであり，蒸留所にはビジターセンターや見学ツアーなども用意されています。
ちなみにM&H（ミルク&ハニー）という名称は，旧約聖書で現在のイスラエルの土地を形容して”乳と蜜の国・約束の地”と記載されたり，現在もミルクとハニーが同国の名産品となっていたりするところから採用しており，イスラエルらしさを強く感じさせるネーミングです。
- ウイスキーの製法
ウイスキーの製造においては，基本的にスコットランドの規則を遵守しており，英国産のモルトを原料とし，ポットスチルによる2回蒸留を実施。そして木製の樽による3年間の熟成をクリアした原酒のみが，M&Hのシングルモルトとして世に送り出されています。
またM&Hの最もユニークなポイントは，スコットランドとは完全に異なる地中海性の気候にあり，年間300日を超える晴天と，非常に温暖な気候の元でウイスキーが作られる点にあります。
この気候の影響により，エンジェルズシェアが年間平均12％にも達するものの，短い時間で原酒が樽から多くの魅力的な要素を吸収しており，深く複雑な風味を持ったウイスキーが完成しています。
- エレメンツシリーズ
今回紹介するボトルを含む『エレメンツシリーズ』は，熟成工程に重きを置き，使用する樽材・産地・歴史などから得られる個性を徹底的に追求した，M&H蒸留所のコアレンジのひとつになります。
ラインナップには”シェリーカスク・レッドワインカスク・ピーテッドカスク”の3種類がありますが，特にシェリーカスクはWWA2023でワールドベストシングルモルトに輝いた代物。
日本国内でも流通しているので，興味のある方はぜひ探してみてください！
「M&H エレメンツ シェリーカスク」ボトルの特徴
＼\ボトル外観/／
＼\ボトル諸元/／
| ボトル名 | M&H エレメンツ シェリーカスク |
| 地域 | イスラエル，テルアビブ |
| 種類 | シングルモルトウイスキー |
| 原料 | モルト |
| 容量 | 700ml |
| 度数 | 46％ |
＼\製法と特徴/／
- スコットランドの規則を遵守
▶︎ウイスキーの本場スコットランドの規則に従い，原料〜蒸留，そして3年以上の熟成を満たした原酒のみがシングルモルトとしてリリースされる - 年間300日の晴天の元，非常に温暖な環境で熟成される
▶︎M&Hが持つ複数のウェアハウスのうち，特に死海に近い場所では，年間のエンジェルズシェアが25％にも達し，短期間で樽の要素が多く原酒に移される。 - スペイン産オロロソ・ペドロヒメネスシェリー樽を使用
▶︎M&Hの環境下では，これらの樽から甘く華やかな果実の要素が多く得られており，シェリー樽原酒に見られるネガティブと呼ばれる要素はほとんどない。
「M&H エレメンツ シェリーカスク」テイスティングレビュー
さてさて、それでは早速「M&H エレメンツ シェリーカスク」をテイスティングレビューしていきます！
色味
『M&H エレメンツ シェリーカスク』の色味については，金色よりは確かに濃く，琥珀&赤っぽさが加わっている印象があります。
客観的な指標としてwhiskys.co.ukの色見本に準えて評価すると，"Tawny"くらいであると言えるでしょう。
▼
香り
- 第一印象
こびりつくドライフルーツの甘み，甘い木のスパイス，キャラメル感
- 経時変化で見える要素
華やかなレモン系の柑橘感，南国感漂うフルーティ，なにかしらのビターみ
筆者の一言
香り全体の印象はとにかく華やかで，ギュッと詰まったような甘い香味が感じられました。
シェリー樽原酒にみられるネガティブな要素はあまりなく，多彩なフルーツの要素が光っていてナイス！
▼
味わい
- 第一印象
砂糖まみれのドライフルーツ，ダークチョコレート，胡椒スパイス
- 経時変化で見える要素
ビターなウッディ感，砂っぽい穀物感，南国フルーツ，ベリー入りチョコ
- 余韻に残る要素
ダークチョコビター感，レーズン，木のスモーク感
割と短めの余韻
筆者の一言
味わいでは第一印象に強いフルーツの甘さが来て，余韻にかけて木やチョコのビターな要素が際立ってくる感覚。
熟成の早さ故か，余韻のキレは割と早く，まとまりが良く，理解しやすい味わいでした！
「M&H エレメンツ シェリーカスク」総評
最後に総評に入りたいと思います！まずはレーダーチャートから！
さてさて、気になる点数は…
点数の理由と評価
- 香り：５／５｜味わい：５／５
『M&H エレメンツ シェリーカスク』の香りと味わいについては，流石に世界一のシングルモルトの評価を受けただけあり，シェリー樽原酒の魅力的な部分が上手く表現されていた印象です。
香りは多彩なフルーツ感や南国感などの華やかな要素が多く香り，味わいでは極甘フルーツの要素からビターチョコの苦味まで，要素の幅が広くもバランスの整った，凝縮感のある美味しさとなっていました。
高い気温の下では熟成の進行が早く，コントロールが難しいものと思われますが，ここまでネガティブ感がなく，バランスの整った風味が出ているのは感激としか言えません…
- 初心者向け度：５／５
続いて初心者向けかどうかという観点で『M&H エレメンツ シェリーカスク』を見てみると，非常に適していると言えそうです。
というのもシェリー樽系のウイスキーは甘く華やかで非常に美味しいのですが，中にはゴムや硫黄のようなネガティブにも取れる要素を持っているものも存在します。
しかしこのボトルではそのようなネガティブ寄りの要素が少なく，純粋に甘さと苦味の対比を感じ取れるため，シェリー系ウイスキーの分かりやすいお手本として有用に思えました。
またWWA2023シングルモルト世界最高賞を受賞したという経歴からも，安心して手を伸ばしやすいと考えられ，実際に飲んでみる価値が非常に高いボトルであると言えるでしょう。
- 入手性：３／５｜コスパ：５／５
最後に『M&H エレメンツ シェリーカスク』の入手性とコスパについては，入手性はやや懸念点あり，コスパは最強といった感じですね。
まずM&Hのボトルは，日本では株式会社サイズが正規輸入代理点を務めており，現状は市場で見かけることができると思います。
しかしWWA最高賞受賞の名声は既に広く認知され始めており，少しづつ入手困難な状況に近づいてきているようにも感じられます。
よって今後の動向が不明瞭な点も考慮し，興味のある方はなるべく早めに購入を検討した方がいいと言えるでしょう。
またコスパについて完全に非の打ちどころがなく，世界一のシングルモルトが6,000円程度で入手可能というのは神以外の何者でもないです。
冗談抜きで見つけた時に買っておくべきだと思います。
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