【特集】キニンヴィ蒸留所(Kininvie)|場所・歴史・製法・味と種類|ウイスキーラウンドアップ

記事の概要

世界中の蒸留所図鑑完成を目標としたシリーズです。

今回はスコットランドより「キニンヴィ蒸留所」になります!

Points!「立地・歴史・伝統的な製法・オフィシャルボトルの簡単な解説」

キーワード

幻のシングルモルト/モンキーショルダー

キニンヴィの特徴

グレンフィディックと同じDNAを感じさせる/洋梨/青リンゴ/はちみつ/バニラ

キニンヴィ蒸留所

キニンヴィ蒸留所の立地・歴史・製法についてまとめていきます。

蒸留所の概要

創業年1990年
所有会社ウィリアム・グラント&サンズ社
地域分類スペイサイド ダフタウン地区
発酵槽ダグラスファー製9基
※バルヴェニー蒸留所内に設置
ポットスチル初留3基・再留6基
仕込み水コンバルヒルの泉
ブレンド先モンキーショルダー
グランツなど

「キニンヴィ蒸留所」蒸留所の立地

出典:whisky.com

ポイント

キニンヴィ蒸留所はスコットランドのスペイサイドダフタウン地区に位置しています。蒸留所の付近には,同じくウィリアム・グラント&サンズ社が所有するグレンフィディックバルヴェニーという二つの大きな蒸留所があります。

これら二つの蒸留所に引き続き,元々ウィリアムグラント&サンズ社がウイスキー需要増に伴うブレンデッド原酒確保のために第3のモルトウイスキー蒸留所として建設したのがキニンヴィ蒸留所であり,生産設備の多くはバルヴェニー蒸留所の中に併設される形が取られています。

そのため,実際のキニンヴィ蒸留所の建物は非常に小規模な倉庫のようであり,9基のポットスチルを収める蒸留棟のみしかありません。

ちなみにキニンヴィという名称は土地の名前であり,正式にオープンされたアメリカの独立記念日にあたる7月4日という日付は,グラント社の自由と独立を重んじる精神をアメリカ合衆国に重ねたという背景があるとのことです。

「キニンヴィ蒸留所」蒸留所の歴史

キニンヴィ蒸留所の歴史を下表のとおり整理しました!

西暦年内容
1990年ウィリアム・グラント&サンズ社によってキニンヴィ蒸留所が創業される
2006年ヘーゼルウッドブランドとして15年熟成のシングルモルトを発売する
2008年17年熟成のシングルモルトとして「ヘーゼルウッド リザーブ」が免税店向けに発売される
2011年蒸留所が1年間休業される
2013年23年熟成のシングルモルトが台湾限定で発売される
2014年キニンヴィ17年が世界市場向けに公式リリースされる

キニンヴィに纏わるストーリー

「キニンヴィ蒸留所」製法の特徴

製麦について

バルヴェニーのモルト
出典:whisky.com

ポイント

キニンヴィ蒸留所では自社製麦を行なっておらず,製麦は横にある系列蒸留所であるバルヴェニー蒸留所で行われています。また一部外部の専門業社から仕入れている分のあるようです。

モルトはノンピートタイプのものが使用されています。

原料のモルトはバルヴェニー蒸留所にあるモルトミルで粉砕してグリストとしたのち,糖化の工程へと進みます!

糖化について

マッシュタン
出典:note.com

ポイント

キニンヴィ蒸留所は仕込み水としてバルヴェニーと同じコンバルヒルの泉の水を採用しています。

マッシュタンバルヴェニー蒸留所内にあり,1バッチあたり9.6トンのグリスト容量を誇ります。

製麦によって得られたグリストをマッシュタンに投入し,加熱した仕込み水を3回に分けて注ぐことで糖化が進められます。

糖化が完了すると糖分を多く含んだウォートを得ることができます。

次の工程は発酵になります。

発酵について

ポイント

キニンヴィ蒸留所には所内にウォッシュバックが設置されておらず,隣のバルヴェニー蒸留所に設置されています。

ウォッシュバックはダグラスファー製が合計で9基体制になります。

糖化によって得られたウォートは20度前後まで冷却したのち,酵母と共にウォッシュバックに投入することで発酵が進められます。

発酵が完了するとアルコール度数約8%のもろみが完成します。

次の工程は蒸留になります。

蒸留について

ポットスチル
出典:whisky.com

ポイント

キニンヴィ蒸留所には初留用にストレート型のウォッシュスチルが3基,再留用にバルジ型のスピリットスチルが6基設置されています。

容量について詳細は言及されていませんが,ウォッシュスチルとスピリッツスチルのサイズ感と個数から,初留1回分を2基のスピリットスチルに分けて再留しているものと推測されます。

発酵によって得られたもろみはウォッシュスチルへと運ばれ,初留が行われます。初留が完了するとアルコール度数約20%のローワインを得ることができます。

次いでローワインはスピリットスチルへと移されて再留が行われます。再留後に得られるアルコールはスピリッツセイフと呼ばれる箱を経由し,不安定な成分を除去するミドルカットという工程が適用されます。

再留とミドルカットを終えるとアルコール度数70%程度のニューポットを得ることができます。

次の工程は熟成になります!

熟成について

ポイント

キニンヴィ蒸留所で熟成に使用される樽はバーボン樽が主体ですが,一部シェリー樽による熟成も行われています。

蒸留によって得られたニューポットは加水によってアルコール度数を約63%程度に整えたのちに樽詰めされて,長い時間を眠ることとなります。

関連ボトル一覧

キニンヴィ蒸留所のシングルモルトは公式・ボトラーズ共にほとんどリリースがありません。

よってシングルモルトのほかに,キニンヴィが使用されているウィリアム・グラント&サンズ社のボトルも一部紹介します!

キニンヴィ17年

ポイント

基本入手は難しいですが,オフィシャルシングルモルトにあたるキニンヴィ17年を紹介しておきます。

ごく稀に通販や店頭で見かけることができるかもしれないので,心構えだけでもしておきましょう!

入手困難でありながらとても美味しく,見た目もかっこいいのが罪すぎます…(泣)

香り

洋梨/青リンゴ/洋菓子系/はちみつ/バニラ/フローラル

味わい

青リンゴ/はちみつ/バニラ/モルティな甘さ/スパイス感/ハーバル/フローラル

余韻

割とドライでハーバルな余韻が長く続く


ヘーゼルウッド18年

ポイント

ヘーゼルウッドキニンヴィのモルトとガーヴァンのグレーンを主軸にブレンドされたブレンデッドウイスキーになります。

キニンヴィがシングルモルトとして飲むことが困難な以上,このヘーゼルウッドはキニンヴィの特徴を感じるのに最適な手段の一つであると言えるでしょう。

香り

バニラ系の甘さ/はちみつ/オークの甘み/複雑なフルーツ香

味わい

バニラ/キャラメル/フルーツケーキ/オークの甘み/シナモン

余韻

とても長くエレガントな華やかさが続く


モンキーショルダー

ポイント

モンキーショルダーは最も有名なブレンデッドモルトウイスキーのひとつです。

使用されているモルトは「グレンフィディック」「バルヴェニー」「キニンヴィ」の3種類のみであり,こちらも数少ないキニンヴィの片鱗を感じることができるボトルとなっています。

香り

洋梨/りんご/バニラ/ビターチョコ/はちみつ

味わい

洋梨/バニラ/モルティ/ややビター/薄く煙

余韻

フルーティ系のアロマがとても長く続く

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参考資料

参考サイト:whisky.com / scotchwhisky.com