記事の概要
管理人によるボトルのレビューを通して、皆様にその魅力を伝える記事です。
今回は…
「キルホーマン マキヤーベイ」
当記事では,このボトルについて
などなど詳しく解説していきます!!
キルホーマン・マキヤーベイ
価格:6,610円(税込)
\\執筆者情報//
初谷(はつがい)
ウイスキーに関わるあらゆる情報をまとめ,「ウイスキーを知りながらより深く楽しめる記事」を発信しています。
【Shop】ウイスキー専門店『Drinkable books』
【経歴】東京都立大卒|元公務員・ネット酒屋開業
【資格】JWRC公認ウイスキーエキスパート|ウイスキー検定2級
【その他】バンド「Candid moment」のドラマー
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「」ってなに?
キルホーマンの解説
- 蒸留所とブランド
『キルホーマン』はスコットランドの西岸側に浮かぶアイラ島に所在する,キルホーマン蒸留所が手がけるシングルモルトウイスキーのブランドになります。
蒸留所の創業は2005年と比較的最近のことでしたが,島内に存在するピートを豊富に焚いた伝統的なアイラモルトスタイルを踏襲し,他の歴史の深い蒸留所にも引けを取らない本格的なウイスキー作りが展開されています。
また当蒸留所のオフィシャルリリースにはマキヤーベイやサナイグなど,印象的な名称が付けられたボトルがいくつか存在していますが,これらは蒸留所の近傍にある湖や入江などの名称から採用されており,キルホーマンのアイラ島に対する愛の深さが伺えます。他にもラインナップ関連で言えば,外部のボトラーリリースがほぼ皆無な点も面白く,ボトラーに原酒を払い出さない分,蒸留所から独自のシングルカスクやスモールバッチのボトルがたくさんリリースされています。
まず『キルホーマン蒸留所』が建つアイラ島の環境について言及すると,年間の平均気温は概ね7〜17℃と比較的冷涼な水準となっており,これはウイスキーの長期間熟成に適した環境であると言えます。また島外からは多くの潮風が吹き込むため,島内で熟成されるウイスキーが海の要素を多分に獲得する可能性が示唆されています。
- 製法の特徴
また蒸留所の近傍には,キルホーマン自らが大麦畑を所有しているのも強力な長所で,現在既に全ウイスキー生産量の概ね30%程度が,この畑で栽培された大麦を原料とした文字通り「100%アイラ島産」のウイスキーとなっています。
その他の生産工程については,例えば発酵時間を70〜110時間程度とかなり長めに設定することによって華やかかつ多彩な香味成分の醸成を助長していたり,容量の小さいポットスチルの使用によって深く複雑な酒質が得られる条件が整っていたりと,総じて風味の多様さに繋がる工夫が多く見て取れます。そして原酒の風味を決定づける熟成工程では,バッファロートレース蒸留所のバーボン樽や,スペインのミゲルマルティン社製のオロロソシェリー樽がメインとして使用されています。
「キルホーマンマキヤーベイ」ボトルの特徴
\\ボトル外観//
\\ボトル諸元//
ボトル名 | キルホーマン・マキヤーベイ |
地域 | スコットランド,アイラ島 |
種類 | シングルモルト |
容量 | 700ml |
度数 | 46% |
原酒諸元 | フェノール値50ppm |
キルホーマン・マキヤーベイ
価格:6,610円(税込)
「キルホーマンマキヤーベイ」テイスティングレビュー
さてさて、それでは早速「キルホーマン・マキヤーベイ」をテイスティングレビューしていきます!
色味
『キルホーマン・マキヤーベイ』の色味については,比較的薄いように見え,透き通った美麗なゴールドといった印象です。
客観的な指標としてwhiskys.co.ukの色見本に準えて評価すると,"Yellow Gold"くらいであると言えるでしょう。
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香り
- 第一印象
ドライなピートスモーク,夜に吹く磯っぽい潮風,オレンジマーマレード
アルコール感は少なめ|初心者に適さない強いピート感
- 経時変化で見える要素
塩キャラメル,パイナップル系の酸味,バニラの甘み,ナチュラルな蜂蜜
筆者の一言
香りでは,乾いたパワフルなピートスモークと潮風っぽさが強烈だった印象で,ヨード感については,薬品臭というよりかは磯臭っぽさという表現が正しいように思います。意外と優しい柑橘感が存在しているのが堪らず,個人的には幸せな気持ちになれる香りです。
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味わい
- 第一印象
乾いた香ばしいピートスモーク,パワフルかつヨーディな潮風,ビビッドなトロピカルフルーツ
アルコール感は風味の強さゆえに感じない|初心者には不向きなピート感
- 経時変化で見える要素
砂糖をまぶしたオレンジピール,カラメルの苦味,焼きたてクッキー
- 余韻に残る要素
ほのかに甘いバニラ,後味を引き締めるスパイシー
筆者の一言
味わいにおいても,やはりヨーディなピートスモークがとても強く,ダイレクトな煙たさが感じられるのが魅力的。しかし穀物感やオレンジ感などの華やか系の要素も上手くボディにマッチしており,纏まりの良い仕上がりとなっていました!
「キルホーマンマキヤーベイ」総評
最後に総評に入りたいと思います!まずは風味の各要素をグラフ化してみてみましょう!
さてさて、気になる点数は…
点数の理由と評価
- 香り:4/5|味わい:5/5
まず『キルホーマン・マキヤーベイ』の香りと味わいについては,ドライかつパワフルなピートスモークと,夜の心地よい潮風のようなヨーディ感が非常に好印象でした。またアイラモルト特有の薬品臭はさほど強くなく,磯っぽい程度に留まっていると思います。そして煙たさと同時にオレンジピールの甘みや,穀物クッキーのような香ばしさも感じることができるため,総じてかなり満足度の高いテイストが完成されているように感じました。
- 初心者向け度:1/5
続いて初心者向けかどうかという観点で『キルホーマン・マキヤーベイ』を見てみると,全くもって適していないと言えるでしょう。
というのもやはり独特のピートスモークを特徴としているアイラモルトは,そもそも初心者には不向きというのが一般的な見解であり,このマキヤーベイも間違いなく同様の個性を持っています。まずは華やかなモルトを楽しんでいただき,いずれ新たな個性に興味を持った際には是非このキルホーマンを飲んでみてください。
- 入手性:4/5|コスパ:3/5
最後に『キルホーマン・マキヤーベイ』の入手性とコスパについては,入手性はかなり良好,コスパは中程度と言えそうです。
まず入手性については,流石にスーパーやウイスキー特化型ではない酒屋さんの店頭などではあまり見かける機会がなさそうですが,ウイスキーに強い酒屋さんやネットショップでは大方いつでも購入することができるでしょう。
またコスパについては,価格帯が上昇傾向ではあるもののプレ値的な要素は未だついていないので,分かりやすく相場で判断すれば,コスパ良好と捉えられるだけの魅力は十分にあるといった感じです。アイラ島南岸のモルトとは似ている要素がありつつも,このマキヤーベイでは香ばしくてドライな煙たさをよりダイレクトに感じることができるので,しっかりと差別化されている印象があります。
僕はキルホーマンが一番好きなアイラモルトなので,今の価格帯であれば欲しいタイミングで迷わず買ってしまいます。
キルホーマン・マキヤーベイ
価格:6,610円(税込)