記事の概要
我が国日本で作られるジャパニーズウイスキー。
職人志向の繊細な日本人の手で作られるウイスキーは、世界に対してその地位を確立しつつあります。
多くの品評会で入賞する、その味わいは圧巻のひとことですね。
この記事ではジャパニーズウイスキーについて理解が深丸ように知識をまとめていきます!
定義
日本におけるウイスキーの定義については、酒税法で定められています。
しかしここで定められる定義は他の5大ウイスキーと比べて非常に緩いものとなっており、スピリッツを添加しているものでさえジャパニーズウイスキーとして流通できてしまうという事実がありました。
このような背景の中で、近年世界的に人気の高まっているジャパニーズウイスキーの名誉を守るべく、日本洋酒酒造組合によって
「ジャパニーズウイスキーの表示に関する基準」(以下、自主基準と表記)
というルールが対外的に公開され、国内の多くのウイスキーメーカーがこれに準拠するようになっています。
ここでは、酒税法上の定義と自主基準上の定義をそれぞれ下表にまとめて比較してみましょう。
酒税法による定義
・蒸留時のアルコール度数を95度未満とする
・上記にアルコール、スピリッツ、香味料、色素又は水を加えたもの
※添加前のウイスキーに含まれるアルコール総量が、その他のアルコール等を加えた際の合計アルコール量の1/10以上のものに限る。
自主基準による定義
・麦芽、穀類、国内の水を使用し、
必ず大麦麦芽を使用すること
・糖化・発酵・蒸留を国内の蒸留所で行い、
アルコール度数を95%未満とする
・貯蔵は容量700リットル以下の木樽に詰め、
国内で3年以上貯蔵すること
・色素調整にカラメルの使用はOK
・表記上、ジャパニーズとウイスキーの間を別の用語で分断してはいけない。
・日本を連想させるワードやそれを翻訳した表記を用いる際は自主基準を満たしていなければならない
このように比較してみると、酒税法上の定義が非常に緩いものであることがわかる。
ここで、自主基準による定義は十分なのでしょうか。
まずスコッチの定義と比べて酒税法上のジャパニーズウイスキーの定義では不十分だった部分を考えてみましょう。
ⅰ.生産場所や貯蔵場所に関する規定がない
⇒100%他国生産のウイスキーでもジャパニーズウイスキーを名乗れてしまう。
ⅱ.熟成年数や方法に関する規定がない
⇒未熟性でもウイスキーを名乗れる。プラスチック容器に5年入れるだけで5年熟成と表記できてしまう。
ⅲ.スピリッツ等の添加が可能
⇒酒税法上は穀類と水を原料としたウイスキーと呼べるものが10%入っていれば、残りの90%はスピリッツや醸造用アルコールを添加できてしまう。
まとめ
このように酒税法の欠点を確認した後に、自主基準を見返すと酒税法上の定義で不十分だった部分が解消されていることがわかります。
加えて、商品名についても誤解を招くことがないように基準を設けたことも読み取れます。
自主基準の制定を受けて、ジャパニーズウイスキーの品質や信頼性がさらに向上することに期待しましょう。
歴史
ジャパニーズウイスキーの歴史についてまとめます。
1800年代ーウイスキー初上陸ー
ウイスキーが初めて日本位伝わったのは1853年、ペリー率いる黒船が日本に寄港した時でした。
この時、スコッチやバーボンが持ち込まれて日本側の役人たちに振る舞われたとの記録があります。
その後ウイスキーが初めて輸入されたのは1871年であり、薬酒問屋によって輸入されていたが当時全く流行らず酒類市場の1%にも及びませんでした。
1899年には当時20歳であった鳥居信治郎によって現在のサントリーである寿屋が開業されています。
1900年代ー国産ウイスキー登場ー
かの有名な竹鶴政孝はスコットランドのグラスゴー大学に留学をしたのが1918年でした。
竹鶴は学業に励む傍らでウイスキー関連の文献の調査に明け暮れていました。
そして1920年にはヘーゼルバーン蒸留所で見習いとして働くことになり、その間に作成された竹鶴ノートは現在でも語り継がれています。
ジャパニーズウイスキーの発展の大きな一歩として1923年、京都郊外の山崎峡にて日本初のモルトウイスキー工場である「寿屋山崎工場」(後の山崎蒸留所)が建てられました。
寿屋の創業者である鳥居が、蒸留所の建設にあたって蒸留技師として招いた人物が、本場スコットランドでウイスキーづくりを学んだ竹鶴政孝でした。
こうして国内で初めてウイスキーを製造するにあたり、竹鶴はスコットランドで学んだ経験からスコットランドの伝統的な製法を踏襲し、蒸留所の建設から6年後(最初の蒸留から4年後)に国産第1号のウイスキーとして「サントリーウイスキー(通称白札)」が発売されました。
戦前から戦後にかけては、1934年には竹鶴は寿屋を離れて大日本果汁株式会社(現ニッカウイスキー)を設立するなど多くの企業がウイスキー事業に参入することとなっていきます。
そして高度経済成長期の頃には、大日本果汁(ニッカ)・寿屋(サントリー)・大黒葡萄酒(オーシャン)が牽引したウイスキーブームが勃発します。
しかしジャパニーズウイスキーの盛り上がりは1983年をピークとして、その後は消費量が落ち込んでしまい、90年台後期には全盛期の3割程度まで減少してしまいました。
近年では世界的なウイスキーブームやジャパニーズウイスキーが有名な品評会で受賞するなど、その消費量は回復傾向にあり、世界に対してその地位を確立しつつあります。
種類・特徴
製品の主な種類
ここでは、ジャパニーズウイスキーとして市場で見かけるものの主な種類をまとめていきます。
シングルモルトウイスキー
単一の蒸留所内で生産されるモルトウイスキーのみを使用したウイスキーをシングルモルトウイスキーという。
(モルトウイスキーは原料の穀物のうち100%大麦麦芽を使用したウイスキーのこと。)
↓ジャパニーズシングルモルトウイスキー↓
シングルグレーンウイスキー
単一の蒸留所で生産されるグレーンウイスキーのみを使用したウイスキーをシングルグレーンウイスキーという。
通常単体で販売されることは少なく、主にブレンデッドウイスキーのベースに用いられる。
(グレーンウイスキーはモルト以外の穀物を主要な原料として使用したウイスキーのこと。)
↓ジャパニーズシングルグレーンウイスキー↓
【マメ知識】シングルグレーンなのに原材料にモルトがある?
上記で紹介したシングルグレーンウイスキー知多を例に、ボトルを確認してみると裏面の原材料にモルトが含まれています。
知多ってシングルグレーンウイスキーなのにモルトが入っているのはなぜなのでしょうか??
実はウイスキーの生産過程においてモルト以外の穀物のみでは糖化が進まないため、副原料として5〜10%程度モルトも使用しなければならいのです。
ブレンデッドモルトウイスキー
複数の蒸留所で作られたモルトウイスキーを混ぜ合わせたウイスキーのこと。
日本ではしばしばピュアモルトウイスキーと表記されることもあります。
↓ジャパニーズブレンデッドモルトウイスキー↓
※セッションは日本のモルトと海外のモルトを混ぜ合わせています。
ブレンデッドウイスキー
モルトウイスキーとグレーンウイスキーを混ぜ合わせたウイスキーのこと。
↓ジャパニーズブレンデッドウイスキー↓
特徴
ジャパニーズウイスキーは本場のスコッチウイスキーを手本にして作られたのが始まりであるため、アイラ系のようにピートによるスモーキーさの強いものや、ハイランド系のフルーティで甘味の強いものまで多種多様な商品が揃っています。
また2014年NHKで竹鶴政孝をモデルに作られたまっさんという朝ドラが放映された影響で、空前のジャパニーズウイスキーブームとなっていて、現在原酒不足から値段が上がってるものや入手が非常に難しいものが多くなっている。
入手困難なものは稀に抽選販売などが行われているので積極的に応募しておくべきでしょう!
代表的な蒸留所・銘柄
日本国内では、長い歴史を持ちブランドを確立している蒸留所の他に、近年のウイスキーブーム以降に新設される蒸留所が増えています。ここでは話題性のある蒸留所を下表にまとめておきます。
厚岸 | 余市 | 宮城教 |
安積 | 秩父 | 白州 |
富士御殿場 | 静岡 | 知多 |
三郎丸 | 長濱 | 山崎 |
江井ヶ嶋 | 京都みやこ | 嘉之助 |
マルス津貫 |
参考資料