世界五大ウイスキー解説!「カナディアンウイスキー編」|マメ知識|ウイスキーラウンドアップ

記事の概要

世界5大ウイスキーの中でも最もライトな酒質といわれるカナディアンウイスキー。

20世紀初頭、アメリカ禁酒法の時代にアメリカのウイスキー庫として発展を遂げたカナディアンウイスキー。

現在もアメリカとの密接な結びつきがあり、生産量の7割ほどがアメリカで消費されています。

この記事ではカナディアンウイスキーについて理解が深まるよう知識をまとめていきます!

定義

カナディアンウイスキーの条件は法律によって定められています。簡単にまとめると次の通りになります。

定義

ⅰ.穀物を原料に使用し、酵母を用いた発酵を行う。

ⅱ.容量700リットル以下の樽で3年以上熟成させること。

ⅲ.糖化から熟成までをカナダ国内で行う。

ⅳ.瓶詰時のアルコール度数は40%以上とする。

ⅴ.カラメルや香味の添加はしてもよい。

【マメ知識】香味の添加

香味にはカナディアンウイスキー以外のワインやラムなどの他のお酒を使用し、その使用量はボトルの中身の9.09%までとされています。

歴史

カナディアンウイスキーの歴史について見ていきます。

1600年代ー始まりー

17世紀後半、カナダのビール醸造所に蒸留の装置が併設されており、これを使用して穀物を原料とした蒸留酒が作られたのがカナディアンウイスキーの始まりでした。

1700年代ー生産の拡大ー

18世紀の後半まで、カナダはアメリカとともにイギリスの支配下であった。

1776年にアメリカが独立宣言をすると、独立を嫌がるイギリス系住民はカナダに移住するようになり、ライ麦や小麦等の生産を行っていました。

そうすると徐々に余剰穀物がでるようになり、これを使用してウイスキーを生産する人が増え、蒸留の専門業者も現れていました。

1800年代ーone day whiskyー

1840年ごろには200以上の蒸留所が稼働していたと言われています。

しかし、当時のウイスキーはほぼ未熟性のものが多く、劣悪な品質であったため「one day whisky」と呼ばれていました。

1858年には現在、カナディアンウイスキーの代表格といえる「カナディアンクラブ」を生産する蒸留所がオンタリオ州のウォーカーヴィルで創業しました。

1900年代ー全盛期ー

1920年にはアメリカで禁酒法が制定されましたが、この時カナダはアメリカへのウイスキーの輸出を止めませんでした。

そのため、「アメリカのウイスキー庫」として大量のウイスキーを生産し、巨万の富を築いていました。

その後、禁酒法の廃止後にもカナディアンウイスキーはアメリカ市場に浸透しており、全盛時代を迎えました。

【マメ知識】カナダ国内ではウイスキー消費が少ない?

実はカナダ国内ではウイスキーはあまり消費されておらず、生産されたカナディアンウイスキーは多くが輸出されている。
この背景にはウイスキーにかかる酒税の高さがある。その額はボトル一本の価格の83%にも及ぶとか。

種類・特徴

カナディアンウイスキーは実はフレーバリングウイスキー」と「ベースウイスキー」という2種類のウイスキーをブレンドしたものになります。つまりカナディアンウイスキーのほとんどはブレンデッドウイスキーということになります。

これらのウイスキーの特徴を下記の通りまとめます。

フレーバリングウイスキー

その名の通り、フレーバーに大きく影響するウイスキーのこと。

≪原料・生産方法の特徴≫
主にライ麦等の麦類を主原料としている。
連続式蒸留器を用いてアルコール度数64~75%程度で蒸留する。

≪風味の特徴≫
ライ麦からくるオイリーさ、スパイシーさがある。バーボンに近い味わい。
ライ麦の比率が51%を超えるとカナディアンライウイスキーと呼ばれる。

ベースウイスキー

その名の通り、味わいの土台となる個性の少ないウイスキーのこと。

≪原料・生産方法の特徴≫
主にトウモロコシを主原料としている。
連続式蒸留器を用いて95%以下で蒸留する。

≪風味の特徴≫
高い度数からも想像できるように個性のないニュートラルスピリッツに近い。

カナディアンウイスキー

フレーバリングウイスキーベースウイスキーをブレンドしたもの。
ブレンド比率は一般的なものであればフレーバリンングが10~30%、ベースが70~90%となっている。
また、定義でも触れたようにワインやラム、バーボンなどを添加してさらなる香味を与えるさらなることもある。  

まとめ

カナディアンウイスキーは5大ウイスキーの中でも最もライトな酒質でクセが非常に少ないのが特徴です。

同様にライトな部類であるアイリッシュウイスキーと比較しても、こちらはさらにライトかつマイルドです。

味わいについては、原料のライ麦によるスパイシーさは思いのほか弱く、トウモロコシ主体の癖の少ないフルーティな仕上がりのものが多い印象があります。

代表的な蒸留所

カナダの蒸留所の多くは人口の多いアメリカとの国境付近に密集しており、一番南の蒸留所でも北海道の室蘭と同じくらいの緯度となっています。
ここではカナダの主要な蒸留所をまとめていきます。

ハイラムウォーカーカナディアンミストグレンオラ
ギムリアルバータブラックベルベット
フォーティ―クリークハイウッドフォーティクリーク

※カナディアンクラブはハイラムウォーカー蒸留所で作られています。

参考資料

サムネ画像:サントリーホームページ(https://www.suntory.co.jp/whisky/canadianclub/)