記事の概要
世界中の蒸留所図鑑完成を目標としたシリーズです。
今回はスコットランドより「カリラ蒸留所」になります!
Points!「立地・歴史・伝統的な製法・オフィシャルボトルの簡単な解説」
キーワード
アイラ島最大の蒸留所/ディアジオ/ジョニー・ウォーカーの原酒/アイラモルトの入門
の特徴
ピーティ/スモーキー/リッチ/ライトボディ/はちみつ/ミルク/圧倒的な安定感
カリラ蒸留所
カリラ蒸留所の立地・歴史・製法についてまとめていきます。
蒸留所の概要
創業年 | 1846年 |
所有会社 | ディアジオ社 |
地域分類 | アイラ島 |
発酵槽 | オレゴンパイン8基 ステンレス製2基 |
ポットスチル | 初留3基・再留3基 |
仕込み水 | ナムバン湖 |
ブレンド先 | ジョニーウォーカー スウィングなど |
【カリラ蒸留所】立地
立地について
カリラ蒸留所はアイラ島最大の蒸留所で、ポートアスケイグ港から1キロほど北に位置しています。
蒸留所の横には、狭いところで800m程度の幅しかなく、その複雑な海流からカニなどの漁場として有名なアイラ海峡が広がっています。またアイラ海峡はアザラシの生息地でもあることから、花と動物シリーズのカリラのボトルにはアザラシが描かれています。
ピーティでスモーキーなアイラモルトの例にもれず、カリラもスモーキーさの強い個性派になります。
ちなみに蒸留所名のCaolはゲール語で「海峡」、ilaは「アイラ島」を意味しています。
【カリラ蒸留所】歴史
カリラ蒸留所の歴史を年表形式でまとめました!
西暦年 | 内容 |
---|---|
1846年 | ヘクター・ヘンダーソンによってアイラ海峡のほとりにカリラ蒸留所が建設される |
1854年 | 蒸留所がジュラ島のノーマン・ブキャナンによって買収される |
1857年 | トレーダーのバロッホレイド社によって蒸留所が買収される 海上輸送のために桟橋が建設される |
1871年 | 蒸留所の運営がダンカン・ジョンストンによって行われるようになる |
1880年 | 蒸留所の生産規模が毎年670,000リットルに達する |
1920年 | バロッホレイド社が倒産する 蒸留所はJPオブライエンリミテッド社に買収される 同年ロバートソン&バクスターグループ社によって再び買収される |
1927年 | 蒸留所がのちのディアジオとなるDCL社に買収される |
1942年 | 第2次世界大戦の影響により、1945年まで蒸留所が閉鎖される |
1972年 | 蒸留所のリニューアルにむけて建物の取り壊しが始まる |
1974年 | リニューアルによってスチルが6基に増設され、生産が再開される |
1999年 | 実験的にノンピートモルトを使用したカリラの生産が行われる |
2002年 | オフィシャルボトルとしてカリラ12年がリリースされる |
2011年 | 蒸留所の年間生産量が650万リットルに達する |
2018年 | 新たなビジターセンター・歩道橋・バーの計画が立案される |
【カリラ蒸留所】製法の特徴
製麦
1974年の蒸留所新設以来、原料のモルトはポートエレンから購入しています。
系列のラガヴーリンと同じ大麦を使用し、ピーテッドタイプ(34〜38ppm)のモルトが使用されています。
大麦麦芽はモルトミルで粉砕されてグリストとしたのち、糖化へと回されます。
糖化
カリラ蒸留所では仕込み水にナムバン湖の水を使用しています。
この水は、ピート層を経て湧出したピート感の強い軟水であり、カリラの特徴を形作る大きな要因のひとつです。
マッシュタンはステンレス製フルロイタータンで、1バッチあたり12.5トンのグリストと仕込水が投入されます。
こうして約5万8000リットル、少しにごりのあるウォートを得て、発酵へと進みます。
発酵
ウォッシュバックはオレゴンパイン製8基、ステンレス製2基が設置されています。
この中に糖化で得られたウォートとマウリ社製のリキッドイーストを投入することで発酵が進みます。
発酵時間はショートの55時間とロングの120時間の2種類が設けられており、通常より長めに設定されています。
発行が完了するとアルコール度数約8%程度のもろみが出来上がり、蒸留の工程へと進みます。
蒸留
カリラ蒸留所には容量20000リットルのウォッシュスチルが3基、容量12000リットルのスピリットスチルが3基設置されています。
ポットスチルはどれも非常に滑らかなストレート型で、大きく膨らんだポットに、長めのネックが特徴です。
スチルの加熱には蒸気による間接加熱方式が採用されています。
ちなみに1970年代に蒸留所は完全に再建されましたが、ポットスチルは昔のものを正確に複製したものが使用されています。
蒸留によって生じるアルコールを含む蒸気は、シェル&チューブ式のコンデンサで冷却されて再び液体へと戻されています。
カリラでは2回蒸留が行われており、初留で得られるローワインは度数23%程度、再留後のハイワインは度数70%程度となっています。
熟成
カリラ蒸留所には3階建てのウェアハウスがありますが、現在は全てのウイスキーがグラスゴーの倉庫に送られて熟成されています。
また熟成に使用される樽はほとんどがバーボン樽ですが、一部シェリー樽を使用している場合もあります。
カリラで作られるウイスキーは熟成の進行が安定しているという特徴があります。
そのため熟成年数や樽の種類によらず一貫した高い評価を受けています。
【カリラ蒸留所】オフィシャルボトル一覧
カリラ蒸留所のオフィシャルボトルを紹介します!
カリラ12年
ボトル概要
カリラ12年はカリラ蒸留所が出すボトルの中で最もスタンダードな商品になります。
アイラモルトらしく強いスモーキーさはありますが、ベリー感や甘さもあるリッチなウイスキーです。アイラ系の中であれば入門編といった立ち位置でしょうか!
ボトルデザインもイケイケで飾るだけで様にもなるので、アイラモルトに興味がある人は是非飲んでみてください!!
ー特徴ー
価格帯
Amazon:5098円/楽天:約5100円(送料込み)
※2022年4月1日現在
香り
ピーティ/ベリー系/ふくよか/うっすらヨード/柑橘感
味わい
スモーキー/若々しいベリー/酸味/塩気
余韻
スモーキーで長い
カリラ18年
ボトル概要
カリラの長熟ボトルになりますが現在は通年販売ではなく、年に一度の販売のみらしく希少となっています。
熟成年数の増加によって元来のリッチ感が深まり、フルーティさが強くなりました!
ー特徴ー
価格帯
Amazon:28850円(プレ値)/楽天:41580円(プレ値)
※2022年4月1日現在
香り
12年より優しいピート感/フルーティ/煙/ベリー/バニラ
味わい
飴玉/バタースコッチ/ピーティ/ドライフルーツ/樽香/リッチで濃厚
余韻
甘さを伴うスモーキーさが長く続く/バニラのニュアンスあり
カリラ25年
ボトル概要
最高峰のカリラであり、クセを持ちながら上品さを極めたボトルです。
元来のスモーキーさやヨード香は裏方に周り、フルーティさが前面に表出しています。
ー特徴ー
価格帯
Amazon:32798円/楽天:34800円(送料込み)
※2022年4月1日現在
香り
甘い香木/バニラ/草原のよう/ベリー/複雑なスモーク感
味わい
リッチ/クリーミーなバニラ/キャラメル/トフィー/草原/スモーキー
余韻
ドライだが甘く、繊細かつ複雑な煙たさが長く続く
参考資料
参考サイト:whisky.com mhdkk.com malts.com scotchwhisky.com