ウイスキーは太る?カロリーや糖質はどのくらい含まれているの?

 ダイエット情報記事などにおいて,『ウイスキーは太らない』といった表現を見かけることがしばしばあります。そのような記事の中で,ウイスキーは”カロリーが低い”や”糖質がゼロ”などと謳われている場合がありますが,一体全体どこまでが正しいのでしょうか。本日はそこを徹底的に追求してみます。

ウイスキーのカロリー含有量

 ウイスキーは蒸留酒であるため,ボトルの中身は基本的に水・アルコール・香味成分(バニリン・エステル類など)のみで構成されています。これらの要素のうち,カロリーの数値に関係があるのはほぼほぼアルコールのみであるため,ウイスキーに含有されるカロリーの多寡は,そのアルコール度数の高低に起因しているということができます。

 例えば30mlのウイスキーについて,度数とカロリーの関係は次のとおりです。
 (元データは45mlあたりだったので,30mlに換算してます)

度数(%)カロリー(kcal)
70113
5082
4573
4064
データ出典:www.whiskyflavour.com

 このように単純なカロリー数だけを見れば,度数50%のウイスキーを2杯飲むと,100gのおにぎり1個分fooddb.mext.go.jpと同じくらいのカロリーがあることがわかります。時々お酒は脂質などの栄養価が少ないことから,”エンプティーカロリーであるから太らない”などと表現されているところを見ますが,決してゼロカロリーではないので気をつけましょう。

Point!

  • 1杯30mlのウイスキーのカロリーはおにぎり0.5個ぶん程度
  • カロリーの多寡はアルコール度数の高低に依存する

ウイスキーの糖質

 さてネット上に出回っているいろんな記事を読むに,”ウイスキーは糖質ゼロである”という表現をよく目にしますが,それは誤りです。全てのウイスキーにはごく少量ながら,カラメル色素や樽材から溶出した糖質が含まれています。

 次の表はとある海外のサイトに添付されていた,樽材と糖質量の関係をまとめた資料です。(英語かつ古めの資料のためちょっとややこしいですが,上半分がアメリカンホワイトオーク樽,下半分がスパニッシュオーク樽。そして表の一番右の数値が含有される糖質の量となっています。)

糖質含有量の算出

 参考として,1リットルあたりの糖質含有量が最も少なかった”アンモニアを蒸気処理したアメリカンオーク樽(1番上のやつ)”を例にとって考えてみましょう。

 この樽の中のウイスキーは1リットルあたり500mgの糖質を含んでおり,一杯分のウイスキー30mlでは糖質15mgということになります。100gのおにぎり1個の糖質が概ね36g(fooddb.mext.go.jp)とのことなので,ウイスキー1杯には少なくともおにぎり0.0004個分の糖質があるということができます。

 また,1リットルあたりの糖質量が最も多かったスパニッシュオーク製の輸送樽に着目しても,30mlあたりの糖質は67.5g程度。おにぎりひとつにも到底満たない水準なので,ウイスキーの糖質は気にしなくても良い程度と言えるかもしれません。

 結論は出ましたが,木材の種類の他に糖質量に影響を与える要素についても触れておくと,樽の履歴(以前に何のお酒を詰めていたか)や,着色用のカラメル色素の使用があるとのこと。例えば甘口シェリー樽で熟成させたウイスキーや,カラメル色素によって色味の調整を行ったウイスキーには,より多くの糖質が含まれているということが分かります。

 よってどうしても糖質が気になる方は,アメリカンオーク樽熟成のウイスキーのうち,ノンカラーリングでボトリングされているものを選ぶべきである,と言えるでしょう。

Point!

  • ウイスキーの糖質はゼロではないが,30mlではおにぎり0.002個分にも満たない
  • 色の薄いウイスキーは糖質が少ない
  • 熟成年数と糖質量の相関は見られない
  • 糖質量は「木材の種類・樽の履歴・着色料の有無」で決まる

まとめ

というわけで,ウイスキーのカロリー・糖質について見てきましたが,いかがでしたでしょう。結論としてはカロリー量はアルコール度数の高低で増減し,糖質はゼロではなく微量ながら含まれる,というところに落ち着きました。

ゼロカロリーではないので飲む分量には注意が必要ですが,糖質に関しては,ダイエットをされている方にとっても気にならない程度かと思います。過度に気にせず,美味しいウイスキーを全力で楽しんでいきましょう。