記事の概要
管理人によるボトルのレビューを通して、皆様にその魅力を伝える記事です。
今回は…
「アードベッグ ヘビー・ヴェーパー」
当記事では,このボトルについて
などなど詳しく解説していきます!!
\\執筆者情報//
初谷(はつがい)
ウイスキーに関わるあらゆる情報をまとめ,「ウイスキーを知りながらより深く楽しめる記事」を発信しています。
【Shop】ウイスキー専門店『Drinkable books』
【経歴】東京都立大卒|元公務員・ネット酒屋開業
【資格】JWRC公認ウイスキーエキスパート|ウイスキー検定2級
【その他】バンド「Candid moment」のドラマー
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「アードベッグ」ってなに?
アードベッグの解説
- ブランドと蒸留所
『アードベッグ』は,スコットランドのアイラ島,その南岸部に位置する”アードベッグ蒸留所”が製造するシングルモルトウイスキーのブランドになります。
同じくアイラ島の南岸部に建つ”ラフロイグ蒸留所”や”ラガヴーリン蒸留所”と併せて「キルダルトン3兄弟」と呼ばれ,比較されることがしばしばありますが,中でも熱狂的なファンを多く獲得しているのが『アードベッグ』です。
蒸留所の創業は1815年と,200年以上の長い歴史を誇るブランドであり,生み出される圧巻の個性派モルトは多くの熱狂的なファンを抱えるまでに成長しましたが,1980年代頃のウイスキー不況時代により,1980年〜1989年の間に閉鎖・生産停止を経験しています。
その後最終的には,1997年にグレンモーレンジ社(モエヘネシー・ルイヴィトン社の傘下)によって買収され,現在は安定的にウイスキーの生産が実施されています。
- アードベッグ・デー
『アードベッグ蒸留所』が建つアイラ島では,毎年5月最終週〜6月第1週にかけて”アイラ・ウイスキー・フェスティバル”が開催されています。
この期間中は島内の蒸留所が日替わりでオープンデーを設けており,現地限定のボトルを求めた多くの観光客が蒸留所に来訪する一大イベントとなっていますが,そのトリを飾るのが『アードベッグ蒸留所』であり,6月第1週土曜日が”アードベッグ・デー”となります。
2012年以降は毎年この日に合わせて,革新的な試みのもとに生み出された限定のボトルがリリースされているので,まさしくファンにとっては注目必至の1日となるでしょう。
またアードベッグは世界中に”アードベギャン”と呼ばれる熱狂的なファンを抱えていることでも知られていますが,そのコミュニティに向けてアードベッグ・デーに関連するイベントが各国で組まれているのも面白いところ。
日本において2023年は,東京・大阪の2都市で合計5日間の開催があり,アードベッグ数種類並びに限定ボトル「ヘビー・ヴェーパー」の試飲が可能となっていました。
「アードベッグ ヘビーヴェーパー」ボトルの特徴
\\ボトル外観//
\\ボトル諸元//
ボトル名 | アードベッグ ヘビー・ヴェーパー |
地域 | スコットランド,アイラ島 |
種類 | シングルモルトウイスキー |
原料 | モルト |
容量 | 700ml |
度数 | 46% |
飲んだ場所 | リカマン店頭試飲 |
\\製法と特徴//
- アードベッグらしいヘビリーピーテッドスタイル
▶︎強力なスモーキーテイストは何者にも変え難い。 - 精留器を外して蒸留を実施
▶︎蒸留時に重く複雑な香味成分がカットされにくくなるため,味わいはよりどっしりとした存在感を放つ
「アードベッグ ヘビー・ヴェーパー」テイスティングレビュー
さてさて、それでは早速「アードベッグ ヘビー・ヴェーパー」をテイスティングレビューしていきます!
色味
『アードベッグ ヘビー・ヴェーパー』の色味については,かなり薄いように見え,淡く透明度の高い金色といった感じですね。
客観的な指標としてwhiskys.co.ukの色見本に準えて評価すると,”Pale Staw”くらいであると言えるでしょう。
▼
香り
- 第一印象
柑橘が香るピートスモーク,僅かにヨード香,ミードの甘み
- 経時変化で見える要素
どことなくサルファリー,穀物様の甘み,シナモン,コーヒー
筆者の一言
アードベッグってもちろん個性的なのですが,やはりラガヴーリンやラフロイグと比べると,意外にもすっきりとしている様に感じます。
特にこのヘビーヴェーパーでは,柑橘感やどことないサルファリー感が付与されており,複雑な華やか系に個性に,その魅力の軸を伸ばしている印象でした!
▼
味わい
- 第一印象
ダイレクトなピートスモーク,柑橘のジャムの濃い甘み,甘い蜂蜜
- 経時変化で見える要素
メンソールの爽快感,シナモンの甘み,ダークチョコレート
- 余韻に残る要素
濃厚なオレンジ,コーヒーのビター感,暖かみを感じるスパイシー
筆者の一言
味わいに関しても,やはり意外と柑橘のフルーティで濃密な甘みがかなり強く出ている印象。
精留器を外したことにより得られる効用は,スイート&ビターの2軸を,より複雑に強化するというものだったのかもしれませんね!
「アードベッグ ヘビー・ヴェーパー」総評
最後に総評に入りたいと思います!まずはレーダーチャートから!
さてさて、気になる点数は…
点数の理由と評価
- 香り:5/5|味わい:5/5
『アードベッグ ヘビーヴェーパー』の香りと味わいについては,アードベッグらしいとしか形容できないスモーキーテイストはそのままに,濃く甘い柑橘ジャムのファーストアタックに,ブラックコーヒーのような香ばしい余韻が付与されていました。
あまりにも強力な個性と称されることの多いアードベッグですが,個人的にアイラモルトの中では圧倒的に優しい部類に入る様に感じており,やはりこのボトルにおいても煙たさの裏側にしっかりとした分かりやすいフルーティテイストが感じられます。
またヘビーヴェーパー最大の特徴と言える,精留器を外して蒸留されたウイスキーが獲得した魅力について言及すると,アイラモルトらしいクセの強さではなく,どちらかといえばこのようなフルーティ&ビター系の要素に軸を伸ばしていた印象。
割とスッキリした味わいの通常のアードベッグに対して,複雑で強い甘さ,そして余韻のビター感が加えられた,強く記憶に残る興味深い味わいが完成しているように思えました。
- 初心者向け度:1/5
続いて初心者向けかどうかという観点で『アードベッグ ヘビーヴェーパー』を見てみると,全く適していないということができるでしょう。
まず第一にこのボトルは,アードベッグのファンが換気するアードベッグデーにリリースされる限定ボトルのため,その入手は困難を極める非日常的なボトルと言うことができます。
またアードベッグ自体はスモーキーさ一辺倒ではなく,わかりやすいフルーティ感もあることから,個人的にアイラモルトの中では入門向けと考えていますが,やはり初心者にいきなり差し向けるのは野暮ったい印象です。
よって初心者に対しては,もう少し気軽に入手ができ,飲みやすく分かりやすい風味のウイスキーをオススメするべきと考えられます。
しかし,もしアイラモルト並びにアードベッグに強く興味を持っているのであれば,このヘビーヴェーパーはかなり分かりやすいフルーティ感が出ていたので,初心者かどうかを不問として飲んで見ても良いと思います。
- 入手性:➖/5|コスパ:➖/5
最後に『アードベッグ ヘビーヴェーパー』の入手性とコスパについては,前述の通り需要が集中する限定リリースであることを鑑み,通常入手することは困難を極めてくると考えられるため,敢えて言及しません。
もしもボトルを購入する機会に遭遇したならば是非購入したい。そしてどこかしらで飲む機会に恵まれたならば是非飲んでみたい。
個人的にはレアなボトルを追いかけるタチではないので,それくらいのつもりでいた方が気楽で楽しめると思っています!
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レビューに使用した道具たち
グラス:グレンケアン
ジガーカップ:JOYONEというメーカーのものをAmazonで購入して使っています。
正直計りたい分量が計れるものであれば何でもいいと思います!