記事の概要
管理人によるボトルのレビューを通して、皆様にその魅力を伝える記事です。
今回は…
「サントリー リージェント」
当記事では,このボトルについて
などなど詳しく解説していきます!!
▽動画化しました▽
\\執筆者情報//
初谷(はつがい)
ウイスキーに関わるあらゆる情報をまとめ,「ウイスキーを知りながらより深く楽しめる記事」を発信しています。
【Shop】ウイスキー専門店『Drinkable books』
【経歴】東京都立大卒|元公務員・ネット酒屋開業
【資格】JWRC公認ウイスキーエキスパート|ウイスキー検定2級
【その他】バンド「Candid moment」のドラマー
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「リージェント」ってなに?
リージェントの解説
- ブランドの概要
『リージェント』は,日本のサントリー社が手がけるバーボンウイスキーのブランドであり,元々は海外向けのブランドでしたが,”ケンタッキーの伝統と日本のブレンド技術を融合”というキャッチコピーの元で,2023年12月5日に国内にも導入されました。
またキャッチコピーの真意として,実際その製作に際しては,ケンタッキーの伝統を熟知したジムビーム蒸留所の7代目マスターディスティラーのフレッド・ノウ氏と,熟練のブレンド技術を持つサントリー社の5代目チーフブレンダーである福興伸二氏のコラボレーションが実現しています。両者は2014年にビーム社とサントリー社が統合された時より”これからのウイスキー”についてよく語り合っていたようで,福興氏はその中で生まれた「新しい香味作りにチャレンジすべきだ」というビジョンのもとで,自身のブレンドテクニックでバーボンの新しい可能性を見つけるべく試行錯誤を繰り返していました。
その結果として,ノウ氏が厳選したジムビーム蒸留所のバーボン原酒をシェリー樽とワイン樽でフィニッシュし,最終的にはそれらの原酒をトラディショナルなストレートバーボン原酒とブレンドするというバーボンの常識を覆す製法の試みが始まりました。その結果として誕生したのが,この「LEGENT」であるとのことです。
まさにジムビーム蒸留所が培ってきた伝統的なバーボン作りの真髄と,どちらかと言えばスコッチと通づるジャパニーズウイスキー業界の繊細なブレンディング技術の融合。非常に楽しみな1本でワクワクしますね!
「サントリーリージェント」ボトルの特徴
\\ボトル外観//
\\ボトル諸元//
ボトル名 | サントリー リージェント |
地域 | アメリカ |
種類 | バーボンウイスキー |
原料 | グレーン,モルト |
容量 | 750ml |
度数 | 47% |
\\製法と特徴//
▽LEGENTを構成する3種類の原酒▽
- 長期熟成のストレートバーボンウイスキー
▶︎ホワイトオーク樽で6年間の熟成を重ねた王道のバーボンウイスキーで,リージェントの骨格を形成する重要な原酒で,イメージとしてはベイカーズに近いタイプ - 赤ワイン樽フィニッシュのバーボンウイスキー
▶︎5年熟成のバーボン原酒を,フレンチオークのカリフォルニア赤ワイン樽で約1年間フィニッシュさせた原酒で,新鮮なフルーツの香味や紅茶系の爽やかさをリージェントに付与している - シェリー樽フィニッシュのバーボンウイスキー
▶︎5年熟成のバーボン原酒を,スパニッシュオークのシェリー樽で約2年間フィニッシュさせた原酒で,シェリー樽原酒らしいレーズンやチョコレート,木の苦味などの要素をリージェントに付与している
「サントリーリージェント」テイスティングレビュー
さてさて、それでは早速「サントリーリージェント」をテイスティングレビューしていきます!
色味
『リージェント』の色味については,パッと見でわかるほど濃い印象があり,若干の赤みを纏った琥珀色と言った感じでしょうか。
客観的な指標としてwhiskys.co.ukの色見本に準えて評価すると,"Burnt Umber"くらいであると言えるでしょう。
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香り
- 第一印象
バーボンらしいパワフルな溶剤感, ゴツいバニラ,どことないラムっぽさ,ダークチョコレート
甘い系の香りが厚い層を形成しており,アルコール感はあまり感じない
- 経時変化で見える要素
スパイシー,麦芽糖,レーズン,ややメロン,メープルシロップ,ラズベリー
筆者の一言
香りはとにかく分厚くて複雑です!
主軸にはバーボンらしさがはっきりと感じられますが,それと結びつく要素の幅広さが異次元に多い印象です。
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味わい
- 第一印象
バーボンの溶剤感,濃密ダークチョコレート,アーモンドバニラ,強烈レーズン
味わいの濃さゆえにアルコールの刺激は柔和で,高い度数の割に少し感じる程度
- 経時変化で見える要素
ラムっぽい黒糖感,ウッディな苦味,スパイシー,穀物感,ビターキャラメル,オレンジピール,タンニン
- 余韻に残る要素
べたっとしたウッディ系の甘苦さ,ホワイトチョコ,ビターさが主体の濃く長く残る余韻
筆者の一言
やはり色味に違わず味も非常に濃い!
単に変化球バーボンという感じではなく,どことなくラムっぽさやシングルモルトっぽさもあるとても複雑な風味です。
しかしバランスは非常に良く,甘さと苦味のコントラストがとても綺麗でした!
「サントリーリージェント」総評
最後に総評に入りたいと思います!まずはレーダーチャートから!
さてさて、気になる点数は…
点数の理由と評価
- 香り:5/5|味わい:5/5
「リージェント」の香りと味わいについては,どちらもバーボンらしい力強い風味を主軸としてしっかり持っていながら,どことなくラムやシングルモルトを想起させる,繊細かつ華やかな香味をところどころ齧られるのが非常に印象的でした。
そして多様な要素を持ちながらもバランスの良さが目立っていて,特に甘さと苦味のコントラストの美しさには目を見張るものがあり,ブランドのキャッチコピーでもある「バーボンの伝統と日本のブレンド技術の融合」を確かに感じ取ることができるでしょう。
バーボンを好まない人には流石におすすめできませんが,ロックやハイボールでも魅力が損なわれない扱いやすさに長けていますので,是非とも皆様にコイツの魅力を体感して欲しいと思えるボトルでした。
- 初心者向け度:2/5
続いて初心者向けかどうかという観点で「リージェント」を見てみると,あまり適してはいないと言えそうです。
というのも,やはり全体的に風味が強力な作りとなっているため,初心者がいきなりコイツを飲んでしまうと圧倒されてしまう可能性が十分に考えられます。よってひとまずはジムビーム等のバーボンウイスキーや,スコッチのシェリー樽・赤ワイン樽系のシングルモルトをお試しいただき,それぞれが自分の好みに合っているかを確認してからこのリージェントにたどり着くと,その魅力を存分いに楽しめるものと思います。
反対に斬新さや濃い味わいを探し求めている人には,是非とも飲んでみて欲しいなと強く思います。
- 入手性:5/5|コスパ:4/5
最後に「リージェント」の入手性とコスパについては,入手性はかなり良好,コスパは比較的優れているということができるでしょう。
まず入手性については,日本に導入された2023年12月5日以降,amazon等の通販において適正な価格で継続的に販売されている様子が確認できます。一方で酒屋さん等の店頭で入手できる機会があるかどうかは不明瞭で,私自身いくつか都内の酒屋さんを巡りましたが,現地でリージェントを売っている店はあまり多くありませんでした。よって主な入手経路は”通販”ということになりそうです。
そしてコスパについては,度数は高めの47%で容量はアメリカンに750ml,価格は税込7,000円程度ということですが,個人的には”買い”だなぁと思ってしまいます。
というのも”シェリー樽原酒と赤ワイン樽原酒がブレンドされているバーボン”という情報が非常に興味をそそるものであり,実際に味わいもバーボンらしくはあるものの,濃厚さと繊細さを併せ持った複雑な作りとなっていたので,個人的には期待を超える魅力をしっかりと感じられました。