記事の概要
管理人によるボトルのレビューを通して、皆様にその魅力を伝える記事です。
今回は…
「カ リ ラ 1 2 年」
当記事では,このボトルについて
などなど詳しく解説していきます!!
\\執筆者情報//
初谷(はつがい)
ウイスキーに関わるあらゆる情報をまとめ,「ウイスキーを知りながらより深く楽しめる記事」を発信しています。
【Shop】ウイスキー専門店『Drinkable books』
【経歴】東京都立大卒|元公務員・ネット酒屋開業
【資格】JWRC公認ウイスキーエキスパート|ウイスキー検定2級
【その他】バンド「Candid moment」のドラマー
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「カリラ」ってなに?
カリラの解説
- 蒸留所とブランドの概要
『カリラ(Caol ila)』は,スコットランドのアイラ島,アイラ海峡を望む東岸側のポートアスケイグ港の北側に所在する”カリラ蒸留所”のシングルモルトブランドになります。
蒸留所の所有者はディアジオ社であり,同じアイラ島の南岸部に建つラガヴーリン蒸留所とは同系列となっています。
その創業は1846年ですが,そこから複数の所有者変更を経て1927年に現ディアジオの前身であるDCL社の傘下に入り,順調に成長。
今ではジョニーウォーカー等のブレンデッド用の原酒,そして豊富なオフィシャルシングルモルト用原酒などを生産し,その総量は年間650万Lとアイラ島内最大規模となっています。
- 製法の特徴
カリラ蒸留所では,ポートエレン製麦所で作られたフェノール値34〜38ppm程度のヘビリーピーテッド麦芽を原料に採用しており,これは系列のラガヴーリンと同じもの。
仕込み水はピート層を浸透してきたピーティな軟水を湛えるナムバン湖から引いています。
発酵はオレンゴンパインの木製ウォッシュバックとステンレス製ウォッシュバックにて,55〜120時間をかけて実施されており,発酵時間に違いによって原酒の差別化が図られています。
ポットスチルはストレート型であるため,蒸気の環流を妨げる要因が少なく,比較的重く複雑な香味を呈するアルコールを多く得ることが可能。
蒸留で得られたニューポットは,主にバーボン樽(一部シェリー樽の使用)に詰められ,多くがグラスゴーにある集中熟成庫に移送されて熟成の時を刻むこととなっています。
「カリラ12年」ボトルの特徴
\\ボトル外観//
\\ボトル諸元//
ボトル名 | カリラ12年 |
地域 | スコットランド,アイラ島 |
種類 | シングルモルトスコッチ |
原料 | モルト |
容量 | 700ml |
度数 | 43% |
\\ボトルの特徴//
- アイラ島内で最も生産量が多い
▶︎年間650万リットルというのは島内最大であり,それだけカリラが人気であることがわかります。 - ポートエレン製麦所製のモルトを使用
▶︎カリラが仕入れるポートエレン製麦所のモルトは,強く焚かれたピートが特徴的であり,系列のラガヴーリンと全く同じものとされています。
「カリラ12年」テイスティングレビュー
さてさて、それでは早速「カリラ12年」をテイスティングレビューしていきます!
色味
『カリラ12年』の色味については,比較的薄いように見え,透き通った金色といった印象です。
客観的な指標としてwhiskys.co.ukの色見本に準えて評価すると,"Jonquiripe Corn"より少し濃いくらいであると言えるでしょう。
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香り
- 第一印象
強いピートスモーク,薬品系のヨード香,濃密な柑橘感
- 経時変化で見える要素
干し草っぽい乾いた草原感,マイルドなクリーミー,システマチックなベリー系の酸味
筆者の一言
流石のアイラモルトらしさ。
強力なピートスモークとヨード香を主軸に持ち,その周りに甘さやフルーティさが広がる様は圧巻。
感覚を研ぎ澄ませると,柑橘やベリー系の華やかさの存在が確認できますね。
▼
味わい
- 第一印象
圧倒的な干し草感,強いピートスモーク,鬼ヨードチンキ
- 経時変化で見える要素
デフォルメされた柑橘ジャムの甘さ,ややスパイシー,炭化した木
- 余韻に残る要素
ビターな木の要素,圧巻のピート&ヨード
筆者の一言
トップのピート・干し草・ヨードの3要素は,同じモルトを使用する系列のラガヴーリンに非常に近い印象。
超絶個性派ながら柑橘の濃い甘みも見つけることができるのがとても面白く,余韻にかけての炭化した木のようなビターさもたまらない。
「カリラ12年」総評
最後に総評に入りたいと思います!まずはレーダーチャートから!
さてさて、気になる点数は…
点数の理由と評価
- 香り:4/5|味わい:4/5
『カリラ12年』の香りと味わいについては,アイラモルトらしい強烈なスモーキー感が最前面にしっかりと出ており,例に漏れず超個性的といって良いでしょう。
同じ原料を採用するラガヴーリンとは,ヨード香や干し草感のあるピートスモークに通づるものを感じますが,カリラの方がジャムのような甘い柑橘感が強く出ていたように思えます。
そんな排他的な強烈さを持ちながら,背景にはフルーティな要素も隠し持っている様は,まさしく大人なテイストであると言え,美しさすら感じてしまう銘酒でした。
- 初心者向け度:1/5
続いて初心者向けかどうかという観点で『カリラ12年』を見ると,全く向いていないと言えるでしょう。
というのも世に存在するウイスキーの中でも,アイラモルトはピートスモーク・薬品臭などのかなり強烈な個性を持っていることで知られており,飲みやすさのかけらもありません。
よってウイスキーに興味を持ったばかりの人に,このカリラを含む個性派アイラモルトを飲ませてしまうと,かなりキツイ体験となってしまうことが容易に想像できます。
しかしながら,アイラモルトはコアなファンに深く愛されるタイプのクセになる旨みをがしっかりとあります。
よってもしもアイラモルトにチャレンジをするならば,ボウモアあたりの比較的優しいモルトを選んであげると非常に良いでしょう。
- 入手性:5/5|コスパ:5/5
最後に『カリラ12年』の入手性とコスパについては,どちらも非常に優れていると言えそうです。
カリラ蒸留所はウイスキーの年間生産量が650万リットルとかなり多く,これはブレンデッド用となる原酒の存在を考えても,シングルモルトの流通に十分な生産量であると言えます。
よって比較的安定した価格にて,安定的に市場で見つけることができるため,入手性は全く問題となりません。
コスパについても,断固たる強い個性,そして業界大手のディアジオ社が手がける安定感のある高品質さを見るに,十分な購買意欲を掻き立てる魅力がこのボトルにはあります。よってコスパも非常に優れていると言えます。
最後までお読み頂きありがとうございました!
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