記事の概要
管理人によるボトルのレビューを通して、皆様にその魅力を伝える記事です。
今回は…
「イーガンズ フォーティテュード」
当記事では,このボトルについて
などなど詳しく解説していきます!!
\\執筆者情報//
初谷(はつがい)
ウイスキーに関わるあらゆる情報をまとめ,「ウイスキーを知りながらより深く楽しめる記事」を発信しています。
【Shop】ウイスキー専門店『Drinkable books』
【経歴】東京都立大卒|元公務員・ネット酒屋開業
【資格】JWRC公認ウイスキーエキスパート|ウイスキー検定2級
【その他】バンド「Candid moment」のドラマー
各種SNSも運用中!
「イーガンズ」ってなに?
イーガンズの解説
『イーガンズ』は,アイルランドの都市タラモアを発祥の地とするアイリッシュウイスキーのブランドになります。
その歴史は1852年,パトリック・イーガン氏が「P&H Egan社」を創設したところまで遡ることができ,当初は卸業・小売業から始まり,パトリック氏の子息らによって事業が拡大されていった経緯を有しています。
その中でも同社はウイスキーの製造販売に長けていた様で,1880年代頃には独自に原酒の貯蔵・ボトリングを実施する様になり,徐々に国内外問わず多大な人気を獲得していきました。
その後もイーガンズはアメリカ禁酒法の時代を乗り切ることはできましたが,度重なるウイスキー不況の波を耐え切ることはできず,1968年に一度その幕を閉じています。
そして現代にイーガンズブランドが蘇ったのは2013年のこと。
”祖先の偉大な仕事を現代に甦らせたい”という思いのもと,イーガン家の6代目に当たるジョナサン氏,およびその従兄弟のルパート氏の尽力によって,ブランドが完全復活を遂げています。
新生イーガンズは復活早々その実力を遺憾無く発揮しており,WWAなどの世界的に権威性のあるコンペティションで受賞を重ね,躍進を続けています。
「イーガンズ フォーティテュード」ボトルの特徴
\\ボトル外観//
\\ボトル諸元//
ボトル名 | イーガンズ フォーティテュード |
地域 | アイルランド |
蒸留所 | 非公開 |
種類 | シングルモルトウイスキー |
原料 | モルト |
容量 | 700ml |
度数 | 46% |
\\製法と特徴//
- ペドロヒメネスシェリー樽原酒が中心
▶︎レーズンやドライフルーツのような濃い甘さが原酒に付与されている - 概ね4年程度の熟成年数
▶︎比較的短熟の様に思えるが,ローランドよりも緯度の低い比較的温暖な地域のため,熟成の進行が適度に早い - ノンチルフィルタードでボトリング
▶︎低温状態で沈殿物が発生する可能性があるが,樽で養われた個性を全く削ることなく,ダイレクトに感じることができる
「イーガンズ フォーティテュード」テイスティングレビュー
さてさて、それでは早速「イーガンズ フォーティテュード」をテイスティングレビューしていきます!
色味
『イーガンズ フォーティテュード』の色味については,中程度よりは少し濃いくらいに見え,ややオレンジがかった金色といった印象です。
客観的な指標としてwhiskys.co.ukの色見本に準えて評価すると,”Chestnatpluroso Sherry”くらいであると言えるでしょう。
▼
香り
- 第一印象
タンニンっぽいシェリーの渋み,砂糖漬けドライフルーツ,硫黄とゴムの要素
アルコール感は許容できる程度
- 経時変化で見える要素
若い柑橘フルーツの酸味,ナッツ感,黒糖の甘み
筆者の一言
香りにおいては,若さは許容できる程度に抑えられており,分かりやすい華やかな甘みがしっかりと感じられる印象です…!
しかしながらシェリー樽由来のネガティブとも捉えられる要素がやや前に出ており,シェリー樽系のウイスキーに苦手意識のある人は少し注意。
▼
味わい
- 第一印象
シェリー樽の硫黄とゴム感,カカオ90%チョコ,ドライフルーツ
- 経時変化で見える要素
シナモンスパイス,赤いフルーツの酸味,黒蜜感,穀物っぽい材質の苦味
- 余韻に残る要素
フルーツ系の酸味,コーヒーのような強いビター感
- 飲み方の考察
シェリー感が強いので「ロック」にして風味を引き締めるか,ほのかにシェリー感の香る華やかな「ハイボール」として飲むのが最適か。
筆者の一言
味わいでは樽由来の硫黄感やゴム感など,飲み手を選ぶ要素がやや強く出ていた印象があります。
良くも悪くアイリッシュらしからず,シェリー樽の強みがしっかり出ているテイストが魅力でしたね!
「イーガンズ フォーティテュード」総評
最後に総評に入りたいと思います!まずはレーダーチャートから!
総括としては「サルファリー&ワイニー」に長けており,シェリー樽の要素が色濃く出ていました。
さてさて、気になる点数は…
点数の理由と評価
- 香り:3/5|味わい:2/5
『イーガンズ フォーティテュード』の香りと味わいについては,アイリッシュウイスキーらしさとは少し離れており,シェリー樽由来のドライフルーツ系の強い甘さや硫黄っぽいサルファリー感がかなり強く出ていた印象でした。
よってシェリー樽系のウイスキーに苦手意識のある人にはオススメし難いところですが,しっかりとした個性を軸に持ち,他のウイスキーとの違いが確かに感じられるテイストであったと言えるでしょう。
またあくまで個人的な見解ですが,硫黄やゴムのような香味が比較的強く出ているため,ストレートで飲むよりは香りの引き締まるロックや,シェリー香を華やかさに転化させられるハイボールで飲む方が適していると感じました。
- 初心者向け度:2/5
続いて初心者向けかどうかという観点で『イーガンズ フォーティテュード』を見てみると,あまり適していないと言えそうです。
というのもテイストの主軸にあるのが強いシェリー感であり,ドライフルーツの甘さのような分かりやすい要素もあるのですが,サルファリー感やゴム感といったややネガティブにも捉えられてしまうような風味も持ち合わせていました。
よってある程度シェリー系のウイスキーを嗜み,その良いも悪いも理解した上で飲むことで最大限にコイツの魅力を最大限に感じることができるものと思われますが,初心者にとってはややハードルが高いと言えるでしょう。
シェリー系のウイスキーに興味のある方は,まず王道のスコッチウイスキーから「グレンファークラス」や「エドラダワー」などの著名な銘柄から試してみるのが良いでしょう…!
- 入手性:4/5|コスパ:3/5
最後に「イーガンズ フォーティテュード」の入手性とコスパについては,入手性は通販ではいつでも購入可能な程度,コスパは良いとも悪いとも言い難い程度といったところでしょう。
イーガンズは,日本においてはややニッチよりのアイリッシュウイスキーであるため,酒屋などの店頭で見かける機会はそこまで恵まれていない印象があります。
しかしながら通販市場では,大手のAmazonや楽天市場において普通に販売されている様子が確認でき,価格帯も安定していることから,入手性は大きな問題とはならないと言えるでしょう。
また通販の価格ベースでコスパを勘定するならば,金額の絶対値は近年のウイスキー全体の相場を考えれば高いとは言えない程度で,味わいについては若いながらも樽の個性がしっかりと出ているといった感じであり,金額に相当するかは微妙なラインといった印象です。