記事の概要
世界中の蒸留所図鑑完成を目標としたシリーズです。
今回はスコットランドより「モートラック蒸留所」になります!
モートラック蒸留所
モートラック蒸留所の立地・歴史・製法についてまとめていきます!
創業年 | 1823年 |
所有会社 | ディアジオ社 |
地域分類 | スペイサイド ダフタウン地区 |
発酵槽 | カラ松製6基 |
ポットスチル | 初留3基・再留3基 |
仕込み水 | ジョックスウェルの泉 |
ブレンド先 | ジョニーウォーカーなど |
モートラック蒸留所の立地
立地について
モートラック蒸留所はスペサイドのダフタウン地区、ダラン川とフィディック川が合流する地点に位置しています。
スペイサイドは年間を通して気温の変動が少なく、燃料のピートが多く取れるウイスキー作りに適した土地になります。
ダフタウン地区は他にもグレンフィディックなど大規模な蒸留所があり、「世界のウイスキーの首都」とも呼ばれています。
ちなみにモートラックはゲール語で「椀状のくぼ地」のことを表しています。
モートラック蒸留所の歴史
モートラック蒸留所の歴史を年表形式でまとめていきます!
西暦年 | 内容 |
---|---|
1823年 | ジェームズ・フィンドレーターらによってモートラック蒸留所が設立される |
1824年 | フィンドレーターが蒸留所を離れる 蒸留所はドナルド・マッキントッシュとアレックス・ゴードンに引き継がれる |
1831年 | 蒸留所がジョン・ロバートソンにより、270ポンドという破格で買収される |
1832年 | 蒸留所がA&Tグレゴリー社によって買収される |
1837年 | 蒸留所所有権の一部がグラント兄弟によって購入される 以降蒸留所の設備は兄弟の持つグレングラントで使用される |
1842年 | アレックス・ゴードンの協力により、蒸留所の所有権が完全にグラント兄弟のものとなる |
1853年 | 蒸留所所有権の一部がジョージ・カウィーによって購入される これ以降所有者・運営が安定する |
1867年 | アレックス・ゴードンが死去する 蒸留所の所有権が完全にジョージ・カウィーのものとなる |
1895年 | 蒸留所の運営がジョージの息子であるアレクサンダー・カウィーに任される |
1897年 | ポットスチルが3基から6基に増設される |
1923年 | 蒸留所がジョン・ウォーカー&サンズ社に買収される |
1925年 | 会社の買収により、所有者がDCL社(のちのディアジオ)となる |
1968年 | フロアモルティングが廃止される |
1996年 | 150万ポンドをかけた大改修が行われる |
2014年 | オフィシャルラインナップとして12年・16年・20年がリリースされる |
モートラック蒸留所 製法の特徴
製麦
1968年までは自社設備にてフロアモルティングを行なっていましたが、現在はスペイサイドのモルトスターよりノンピートのモルトを仕入れています。
麦芽の粉砕には伝統的なポルテウス社製のモルトミルを使用しており、他の蒸留所と比較して粗く挽いています。
モルトを粉砕してグリストとしたのち、糖化の工程へと進みます!
糖化
モートラック蒸留所では仕込み水をダイクヘッドキャッツブレイグ(dykehead catsvraig)から引いています。
マッシュタンはワンバッチあたり12トンのモルト容量を誇る、ステンレス製のフルロイタータンになります。
このタンにグリストを投入したのち、64度に加熱された仕込み水が注がれます。
仕込み水は複数回に分けて注がれており、その温度も72度、88度と徐々に上昇させていきます。
最終的には54000リットルのウォートが出来上がり、次の発酵の工程へと進みます!
発酵
モートラック蒸留所にはオレゴンパインの木製で、容量54000リットルのウォッシュバックが6基設置されています。
糖化により得られたウォートは、ウォッシュバックに投入する際に16度まで冷却されます。(外気温が低い場合18度まで)
この温度は発酵のスピードに大きく影響してくるため、非常に重要であります。
発酵にかける時間は50〜60時間であり、一般的な48時間と比較すると若干長くなっており、力強くスパイシーなもろみが作りだされます。
もろみの完成を持って、次の蒸留の工程へと進みます!
蒸留
モートラック蒸留所のポットスチルは非常に特異であり、伝統的にスペイサイドで使用されてきた形でなく、全て異なる形状のものが6基並んでいます。
また蒸留の工程は他の蒸留所と大きく異なり、ハイランドでは珍しい3回蒸留を取り入れた2.81回蒸留を行なっています。
2.81回蒸留の解説!
・初留釜①と再留釜①はセットで通常の2回蒸留を行なったニューポットが生み出されます。
・初留釜②と③により作られたローワインのうち、前半(H、ヘッド)を3分割、後半(T、テイル)を2分割します。
・前半のH1を再留釜②で蒸留し、ニューポットとします。
・再留釜③、「ウィーウィッチ」と名付けられた再留釜ではさらに3パターンの蒸留を行います。
(ⅰ)
T1を蒸留し、得られたアルコールを2分割する(F1とF2)
F1とH2を混ぜたものを蒸留し、F4を得ます。
F2とT2を混ぜたものを蒸留し、F3を得ます。
(ⅱ)
H3とF3を混ぜたものを蒸留し、F5を得ます。
(ⅲ)
F4とF5を混ぜたものを蒸留し、ニューポットとします。
このような複雑な工程を経ることで、重厚さと軽やかさを併せ持ったモートラック蒸留所の個性が育まれています。
熟成
モートラック蒸留所では、樽の安置にはダンネージ式を採用しており、土の床を持ったウェアハウスが5ヶ所あります。
また、熟成に使用する樽としてシェリー樽を使っていることが有名でしたが、近年ではアメリカンホワイトオークのリフィルバーボン樽による熟成も使用されるようになっています。
オフィシャルボトル一覧
最後にモートラック蒸留所のオフィシャルボトルを紹介していきます!
モートラック12年
「ダフタウンの野獣」至高の味わいです
スモーキーではないにも関わらず圧倒的な力強さを誇り、ダフタウンの野獣と呼ばれるモートラックのスタンダードボトルです!
ただ単に力強いだけでなく、モルティな甘味が強く満足感のある味わいが特徴的です。
まだ知らぬスペイサイドモルトの一面を見てみてはいかがでしょう??
価格帯
Amazon:6698円/楽天市場:6758円(送料込み)
※2022年5月20日現在
香り
深いウッディ/スパイシー/トフィー/ベリー感
味わい
モルティな甘味/リッチなボディ感/ダークチョコ/ベリー/チェリージャム
余韻
滑らかだがドライでスパイシー/若干のプラム感と共に消えゆく
モートラック16年
熟成感×野獣 極フルボディ
モートラック本来の野獣のような力強さに熟成に伴うリッチなボディ感がプラスされています。
ファーストフィル・セカンドフィルのヨーロピアンオーク樽で熟成しているため、フルーティかつスパイシーさが際立ちます。
どんな飲み方をしても美味しさが映える素晴らしいボトルです!
価格帯
Amazon:10670円/楽天市場:10476円(送料込み)
※2022年5月20日現在
香り
熟した果実/ソイル/ハーブ感/スパイシー/レーズン
味わい
フルボディ/アプリコット/はちみつ/スパイシー/ウッディな香ばしさ
余韻
ボリューミーで濃厚な余韻が長く続く
モートラック20年
洗練された大人の野獣
長い熟成により元来の野獣感は研ぎ澄まされ、フルボディながら滑らかとなっています。
その味わいからは濃厚・複雑・円熟感をしっかりと感じられ、非常に質の高い経験となるでしょう。
自分へのご褒美や大切な人へのプレゼントとしても最適な一本だと思います!
価格帯
Amazon:25300円/楽天市場:24357円(送料込み)
※2022年5月20日現在
香り
レーズン/ドライフルーツ/シナモン/スパイシー/モルティ/深すぎる
味わい
とても甘い/オレンジマーマレード/レーズン/スパイシー/オイリー/濃厚
余韻
エレガントなウッディさやオレンジジャムのような甘味が長く続く
参考資料
サムネイル画像: モートラック公式 scotchwhisky.com whisky.com