記事の概要
世界中の蒸留所図鑑完成を目標としたシリーズです。
今回はスコットランドより「アードモア蒸留所」になります!
アードモア蒸留所
アードモア蒸留所の立地・歴史・製法についてまとめていきます。
蒸留所の概要
創業年 | 1898年 |
所有会社 | ビーム・サントリー社 |
地域分類 | 東ハイランド |
発酵槽 | ダグラスファー14基 |
ポットスチル | 初留4基・再留4基 |
仕込み水 | ノッカンディーヒルの泉 |
ブレンド先 | ティーチャーズ バランタインなど |
アードモア蒸留所の立地
立地について
アードモア蒸留所は東ハイランド、スペイサイドとの境界付近にあるケネスモントの街に位置しています。
その立地からスペイサイドモルトとして紹介されることもありますが、蒸留所の職人たちはハイランドモルトであると断言しています。
周辺は大麦の産地であり、ピートや清冽な水の確保も容易、また鉄道があるため交通の便もよいためウイスキー作りには最適な場所です。
ちなみにアードモアはゲール語で「大きな丘」という意味であり、アードが「丘・岬」でモアが「大きな」を表しています。
アードモア蒸留所の歴史
アードモア蒸留所の歴史について年表形式でまとめていきます!
西暦年 | 内容 |
---|---|
1898年 | グラスゴーでブレンダーを務めていたウィリアム・ティーチャーの息子であるアダムがアードモア蒸留所を設立した 彼らの経営する会社がウィリアムティーチャー&サンズ社である |
1923年 | アードモア蒸留所は有限会社となった |
1955年 | ポットスチルが2基から4基に増設された |
1976年 | 会社の合併により、蒸留所の所有者がアライド・ドメク社となる |
2001年 | スチルの加熱に蒸気による間接加熱方式を採用した |
2006年 | 蒸留所がティーチャーズやラフロイグと同時にビームグローバル社に買収される |
2014年 | ビーム社がサントリー社に買収されたことで、所有者がビーム・サントリー社となる |
アードモア蒸留所 製法の特徴
製麦
アードモア蒸留所では製麦室が閉鎖された1976年までは自社にてモルティングを行なっていました。
現在ではモルトスターよりピーテッド・ノンピーテッドの麦芽を仕入れています。
ハイランドウイスキーでありながらピーテッド麦芽を使用しているため、完成するウイスキーは12〜14ppm程度のフェノール値を持つ、スモーキーな仕上がりとなります。
糖化
アードモア蒸留所では、ノッカンディーヒルの泉の水を仕込み水とし、容量12トンのマッシュタンにて約7時間をかけて糖化を行います。
発酵
発酵にはダグラスファーの木製ウォッシュバックを用いており、容量6万リットルのものが4基、容量3万リットルのものが10基あります。
発酵には約53時間をかけており、一般的な発酵時間である48時間より若干長くなっています。
蒸留
アードモア蒸留所では、容量15000リットルの初留用ウォッシュスチル4基、再留用スピリットスチル4基の合計8基のポットスチルを使用して蒸留を行っています。
ポットスチルはストレート型であり、丸いボディに、短くて広いネック、下向きに垂れ下がったラインアームを有しています。
この形状からもアードモアが力強い味わいを持ったウイスキーであることが伺えます。
なお、スチルの加熱方法について、2001年までは石炭直火蒸留を行なっていましたが、現在は廃止して高温の蒸気による間接加熱方式を採用しています。
熟成
蒸留されたスピリッツはファーストフィルのバーボン樽に詰められ、ウェアハウスに安置されます。
特徴的な部分として、クォーターカスクというバーボン樽を解体したのち、より小さな容量127リットルに組み直した樽を用いた後熟を行っています。
オススメのボトル
アードモアレガシー
内陸系の個性的なスモーキーさを有する異質なハイランドモルトです。
ラベルには蒸留所の守り神とされる鷹が描かれています。
価格帯
3000円前後
香り
シナモン、トフィー、独特なピート
味わい
クリーミー、バニラ、スパイス
余韻
シルクのよう、長く続く
参考資料
サムネイル画像:google map サントリー公式