記事の概要
管理人によるボトルのレビューを通して、皆様にその魅力を伝える記事です。
今回は…
「ミークルトール ザ・オリジナル5年」
当記事では,このボトルについて
などなど詳しく解説していきます!!
\\執筆者情報//
初谷(はつがい)
ウイスキーに関わるあらゆる情報をまとめ,「ウイスキーを知りながらより深く楽しめる記事」を発信しています。
【Shop】ウイスキー専門店『Drinkable books』
【経歴】東京都立大卒|元公務員・ネット酒屋開業
【資格】JWRC公認ウイスキーエキスパート|ウイスキー検定2級
【その他】バンド「Candid moment」のドラマー
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「ミークルトール」ってなに?
ミークルトールの解説
- 蒸留所とブランド
『グレンアラヒー蒸留所』は,1967年にスコットランドのスペイサイド地方で創業された蒸留所になります。蒸留所の建物の設計は,かつてジュラやタリバーディンなどの設計も手掛けてきたデルメ・エヴァンス氏によるものであり,各種生産設備に高低差を設けることによって自然流化を可能とし,エネルギー的な無駄がないのがポイントです。
また2001年には大手企業のペルノリカール社の傘下に治ることとなりましたが,そこから暫くの間はブレンデッド用の原酒の製作がメインとなり,シングルモルトとしてのブランディングはあまりされてきませんでした。しかし2017年にベンリアックのオーナーも勤めているビリー・ウォーカー氏がグレンアラヒー蒸留所を買収しており,以降シングルモルトのリリースが本格的に始動しました。
ビリー・ウォーカー氏が運営するグレンアラヒーでは,「安定した一貫性ではなく,ひとつの作品としての完全性を追求し続ける」という信念を掲げたウイスキー作りが展開されており,特にシェリー樽原酒がフィーチャーされた個性的なシングルモルトが,高い評価を獲得し始めて急速に人気を高めるに至っています。
- ウイスキー作りの特色
まず『グレンアラヒー蒸留所』は華やかさを特徴としたスペイサイド地方で稼働していますが,ノンピートタイプとヘビリーピーテッドタイプ(80ppm)の2タイプの個性的なウイスキーが生産されています。
また各種生産工程にも興味深いこだわりが見受けられ,例えば発酵では160時間という超長時間な時間設定を設け,発酵後期に卓越する乳酸発酵によるすっきりとした香味の醸成を行っていたり,蒸留では2タイプの形状のポットスチル2組に対し,各組にひとつずつスピリッツセイフを設けることで効率的な蒸留を行っていたり,独自の工夫が確立されています。
そして熟成については,全部でラック式・パラタイズ式・ダンネージ式を含む全16棟のウェアハウスを有しており,バーボンや複数種類のシェリー樽,そしてワイン樽等の多彩な樽を活用しているのもポイント。さらにニューポットの樽詰め度数に関しても63.5%,68%,72%と3通りの設定があるなど,変幻自在な表現力を有していることがよくわかります。
- 『ミークルトール』
『グレンアラヒー蒸留所』は,2024年初頭にオフィシャルブランドの刷新を図ったことで話題となりましたが,同時期に同蒸留所のヘビリーピーテッド原酒がフィーチャーされた新ブランド『ミークルトール』の発売も公表されていました。ブランドのタイトルである”ミークルトール”は,古いスコットランド語とゲール語を組み合わせたワードであり,日本語では”大いなる追求”という意味を持っています。
またブランドの特色として,原料となる麦芽の乾燥に使用される”ピート”は,スコットランド東部のセントファーガス産のものとされており,こちらはアイラ島などの沿岸のピートと比較して,内陸らしい甘さを有した煙たさを表現することが可能な代物。これによってグレンアラヒーらしい力強いボディはそのままに,ほのかな煙たさに代表されるより個性的なテイストを楽しむことができるブランドとなっています。
「ミークルトール ザ・オリジナル5年」ボトルの特徴
\\ボトル外観//
\\ボトル諸元//
ボトル名 | ミークルトール ザ・オリジナル5年 |
地域 | スコットランド,スペイサイド |
種類 | シングルモルト |
容量 | 700m |
度数 | 50% |
原酒諸元 | ファーストフィルバーボン樽 アメリカンヴァージンオーク樽 ライウイスキーバレル |
「ミークルトール ザ・オリジナル5年」テイスティングレビュー
さてさて、それでは早速「ミークルトール ザ・オリジナル5年」をテイスティングレビューしていきます!
色味
『ミークルトール ザ・オリジナル5年』の色味については,ちょうど中程度くらいに見え,やや深みを感じる金色といった印象があります。客観的な指標としてwhiskys.co.ukの色見本に準えて評価すると,"Deep copper"くらいであると言えるでしょう。
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香り
- 第一印象
強力なピートスモーク,内陸系のヘザーハニーの甘み,爽やかな柑橘感
アルコール感は少々|ヨード香はない
- 経時変化で見える要素
滑らかなキャラメルの甘み,ジンジャースパイス,雨の後の湿った草原感,焦がした木の苦味
筆者の一言
香りではしっかりとしたピートの煙たさを感じることができます。しかしアイラ系のヨード香はなく,燃やした木やヘザーハニーのような,内陸感のある煙たさが非常に魅力的です!
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味わい
- 第一印象
強力なヘザー系のピートスモーク,暖かいジンジャースパイス,シナモンブレッド感
アルコール感は控えめ|内陸のピートスモーク
- 経時変化で見える要素
ナチュラルなヘザーハニー,焚き火の焦げっぽさ,ウッディな木材感,エスプレッソ,柑橘の甘み
- 余韻に残る要素
強く奥深いピートスモーク,暖かいスパイスの印象
筆者の一言
味わいでもしっかりと根強いピートスモークの主張を捉えることができます。パワフルなスモーキー感,ナチュラルな甘み,多様なビターテイストなど,満足感の高い複雑な味わいがとても魅力的でした!
「ミークルトール ザ・オリジナル5年」飲み方について
さて、ここまではストレートにてボトルのレビューをしてきました。そこで「ミークルトール ザ・オリジナル5年」はどの飲み方が一番美味しいのでしょうか。王道の飲み方である「トゥワイスアップ・ロック・ハイボール」の3種類で比較してみましょう!
飲み方について深く掘り下げた記事も書いているのでご参考までにリンクを貼っておきます!
ハイボール
おすすめ度 ▶︎ 5/5
トゥワイスアップ
おすすめ度 ▶︎ 4/5
ロック
おすすめ度 ▶︎ 4/5
「ミークルトール ザ・オリジナル5年」総評
最後に総評に入りたいと思います!まずは風味の各要素をグラフ化してみてみましょう!
さてさて、気になる点数は…
点数の理由と評価
- 香り:4/5|味わい:4/5
まず『ミークルトール ザ・オリジナル5年』のテイストに関しては,アイラモルトのようなヨーディ感こそほとんどないものの,かなりダイレクトで力強いピートスモークの主張を感じることができます。探れば探るほどに果実系の華やかな香味も出てきますが,かなりドライでまさしく”スモーキー”といった印象がとても強いですね。
スペイサイド地方は通常王道の華やかなスタイルが有名ということで,ピーテッドスタイルのブランドはベンロマックやオールドバランテュランなど決して数が多くないですが,その中で見るとこの「ミークルトール」は圧倒的に煙たさが強く感じられます。よって内陸系のスモーキーテイストを好む方には間違いなく深く刺さる一本となるでしょう!
- 初心者向け度:1/5
続いて初心者向けかどうかという観点で『ミークルトール ザ・オリジナル5年』を見てみると,全く適していません。
やはりアイラモルトとは毛色が違うとは言いましたが,強力なピートスモークの風味というのは,ウイスキーに慣れていない方にとっては少々パワフルすぎるかもしれません。まずは王道なモルトからのみ進めて頂き,ハイランドパークやボウモアあたりの馴染みやすい煙たさの銘柄で肩慣らしをしてからこの「ミークルトール」を飲んでみると,最大限に楽しむことができるかなと思います。
一応例外的な身近な人のケースを挙げると,普段から割とたくさんのアルコールを飲んでいて”ウイスキーらしい味が苦手”という人に関しては,意外と独特な味がしっかり出ているピーティなウイスキーを好むケースもいくつかありましたので,そのような方にはオススメできる可能性があります。
- 入手性:2/5|コスパ:4/5
最後に『ミークルトール ザ・オリジナル5年』の入手性とコスパについては,入手性はちょっと難アリ,コスパは割と良い方と言えるでしょう。
まず入手性については,発売自体がまだ最近のことであり,人気蒸留所のグレンアラヒーがリリースした新規ブランドということもあって,柔軟な入手が可能とは言えない状況かと思います。時たまamazonでも適正価格の出品を目にはするものの,高がき出品が目立っている状況ではあるので,もし興味があれば見つけた時に買ってしまうのが最適解と言えそうです。
そしてコスパに関しては,このボトルを適正価格は概ね7,000円台程度ですのでそれを基準に考えると,スモーキーテイストを好む方に対してはかなりコスパが良いと言えるでしょう。まず人気蒸留所の新しいヘビリーピーテッドブランドということで,非常に興味をそそる内容ですし,実際に味わいもしっかりとしたキャラ立ちを見せていたので,十分に一飲の価値があります。
グレンアラヒーのファンの方や,ピーテッドモルトを好む方には,是非飲んでみてほしい一本でした!