記事の概要
みなさんご存知とは思いますが,「ハイボール」はウイスキーの飲み方のひとつであり,一般的にはウイスキーの炭酸割りのことを指します。この飲み方では,アルコール度数の高いウイスキーの刺激感が抑えられ,爽快にゴクゴクと飲めるようになるため,晩酌や食中酒として非常に多くの人から親しまれています。
もちろんどんなウイスキーをハイボールにしても,大抵はおいしく飲むことができますが,炭酸との相性や価格帯の観点も踏まえると,ハイボールに圧倒的に強い適性を持ったボトルを絞り込むことができます。そこでこの記事では,比較的手頃な2,000円から6,000円程度の価格帯において,ハイボールに最適なウイスキーを10本ご紹介していこうと思います!
\\執筆者情報//
初谷(はつがい)
ウイスキーに関わるあらゆる情報をまとめ,「ウイスキーを知りながらより深く楽しめる記事」を発信しています。
【Shop】ウイスキー専門店『Drinkable books』
【経歴】東京都立大卒|元公務員・ネット酒屋開業
【資格】JWRC公認ウイスキーエキスパート|ウイスキー検定2級
【その他】バンド「Candid moment」のドラマー
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『ハイボール』が美味しすぎる!コスパ最強なウイスキー10選
バスカーアイリッシュウイスキー
度数 | 40% |
容量 | 700ml |
種類 | アイリッシュブレンデッド |
ポイント
『バスカー』は,2016年にアイルランドのカーロウ州で創業されたロイヤルオーク蒸留所が生産を手がけるオフィシャルウイスキーのブランドになります。同蒸留所は,アイルランドで唯一モルトウイスキーやポットスチルウイスキー,グレーンウイスキーの3タイプの原酒を生産することができる非常に珍しい蒸留所です。
そして今回取り上げる「バスカーアイリッシュウイスキー」は,ロイヤルオーク蒸留所で作られた複数種類の原酒のみによって構成される,シングルブレンデッドウイスキーという珍しいジャンルに属するボトルとなります。
その原酒には伝統的な3回蒸留を経た原酒や,フローリオというマルサラワインの樽で熟成させた原酒などが使用されており,クリアで軽快ながら,トロピカルフルーティな味わいが表現された独創的な仕上がり。軽快さと華やかさは炭酸との相性が非常に良く,価格帯もリーズナブルであることから,ハイボールに最も適したアイリッシュウイスキーと言っても過言では無いでしょう。
香り
トロピカルフルーツ,パイナップル,オレンジ,花畑フローラル,ビタミンジュース,蜂蜜,クリーム
味わい
パイナップル,オレンジ,蜂蜜レモン,花畑フローラル,ショートケーキ,穀物感
▽
ヘンリーマッケンナ
度数 | 40% |
容量 | 750ml |
種類 | バーボン |
ポイント
『ヘンリーマッケンナ』はアメリカのケンタッキー州に建つ,ヘブンヒル蒸留所が生産を手がけるバーボンウイスキーのブランドになります。
ブランドの歴史は,ケンタッキーに移住したアイルランド人のヘンリー・マッケンナ氏が1855年にウイスキー作りを始めたところまで遡ります。その当時からウイスキーの製造では,サワーマッシュ方式と呼ばれる発酵法や,オープンリック方式と呼ばれる熟成法など,こだわりの製法をハンドメイドで行なっていたため1日1樽程度しか生産できず,幻のバーボンとも呼ばれる貴重なウイスキーでした。
それが今では近代的な設備によって生産が効率化されつつも,伝統的な製法を守り続け,変わらぬ味わいで十分な量の原酒が生産されるようになっています。そのウイスキーの特徴は,通常のバーボンよりも軽やかですっきりしたボディを持っており,味わいでは穀物やナッツのような香ばしい要素が強く,軽快さを助長するハイボールとの相性が抜群に優れています。
香り
フレッシュな柑橘感,スパイシー,バニラの甘み,淡い溶剤感,香ばしいナッツ,木の要素
味わい
バタースコッチ,すっきりした溶剤感,強くナッツ感,コーン系の穀物エステリー,樽っぽい苦味
▽
ジョニーウォーカー ブラックラベル
度数 | 40% |
容量 | 700ml |
種類 | ブレンデッドスコッチ |
ポイント
『ジョニーウォーカー』は言わずと知れた,世界で最も売れている人気No.1のブレンデッドスコッチブランドになります。そしてこのブラックラベルは,ジョニーウォーカーブランドを代表する名作であり,その歴史は1909年に当時の代表作,スペシャルオールド・ハイランドウイスキーがブラックラベルに名称変更されたところにまで遡ることができる,非常に歴史的な価値があるボトルです。
その製造においては門外不出のブレンディング技術で29種にも及ぶ個性的なシングルモルトをブレンドしているとされており,中でもキーとなる蒸留所は「スカイ島のタリスカー,アイラ島のラガヴーリン,スペイサイドのカーデュ」の3つとのこと。
味わいではスコッチの象徴的なスモーキーフレーバーや円熟した樽感,バニラやオレンジの甘みなど,非常に幅の広いテイストがバランスよく表現されており,その完成度の高さは「プレミアムウイスキーのエベレスト」と称されるほど。ハイボールでは,程よいスモーキー感や樽感がドライな喉越しを演出し,世界一の名に恥じない完成度の高い味わいを感じることができます。
香り
ラムレーズン,ビターな樽香,バニラの甘み,乾いたピートスモーク,ビターオレンジ,海っぽさ
味わい
ドライフルーツ,バニラアイス,樽系の苦味,中程度のピートスモーク,スパイシー,蜂蜜
▽
ブラックボトル
度数 | 40% |
容量 | 700ml |
種類 | ブレンデッドスコッチ |
ポイント
『ブラックボトル』は1879年に創設された,アイラ島のモルトをベースにしたブレンデッドウイスキーのブランドになります。
非常に歴史の長いブランドではありますが,過去に原酒構成の大きな変更が複数回実施されており,2013年以前はキルホーマンとポートエレン以外のアイラ島のモルトがキーとなっていましたが,2013年以降から現在にかけては,ブナハーブンを筆頭に,トバモリー,レダイグ,ディーンストンなどのアイランズやハイランドの原酒がキーモルトに据えられています。
最も主要なブナハーブンは,アイラモルトながらノンピートスタイルを特徴としており,ブラックボトルの味わいは,スモーキーテイスト一辺倒ではなく,意外にもバランスに優れた満足感のある仕上がりとあっています。価格帯もリーズナブルでありながら,2022年にはWWAやISC,IWSCなどの世界的なコンペティションにおいて金賞を受賞するという華々しい結果を残しており,客観的な評価も非常に高い隠れた人気銘柄です。うっすらとしたスモーク感,ウッディな深い甘みが爽やかなハイボールにアクセントとして加わり,煌びやかなテイストに昇華されていきます。
香り
黒糖系のウッディ感,湿ったピート香,柔和な木の煙,バニラ,フローラル,レーズン
味わい
メープルシロップ,軽快な柑橘の甘み,ヘザースモーク,蜂蜜,乾いた潮風,モルティな甘み
▽
ブラックニッカ ディープブレンド
度数 | 45% |
容量 | 700ml |
種類 | ブレンデッドジャパニーズ |
ポイント
『ブラックニッカ』は日本のアサヒビール社の傘下,ニッカウイスキー社が生産を手がけるブレンデッドウイスキーのブランドであり,多くの人に様々な場面で楽しんで欲しいという思いが込められたリーズナブルなラインナップを魅力としています。中でもこの「ディープブレンド」は,一部輸入原酒を交えつつも,新樽で熟成された余市蒸留所のモルト原酒をキーモルトとしており,尚且つ45%という高めのアルコール度数でボトリングされたこだわりの深い一本です。
その味わいは,ブラックニッカシリーズのなかでも最も深く濃厚な仕上がりとなっており,新樽由来のウッディ感や,濃密なバニラの香り,心地よくほろ苦いピートスモークなど,非常に本格的な構成となっています。ハイボールにした時も,味わいの深みや濃厚さが損なわれることは全くなく,強い満足感を得ることができるコスパに優れた優良銘柄です!
香り
甘いバニラ香,ビターかつ芳醇な樽感,ほのかなドライフルーツ感,うっすらとスモーキー
味わい
濃厚なバニラ,ビターなウッディ,ピーティなスモーク,ヒリヒリスパイス,自然な蜂蜜
▽
サントリー リザーブ
度数 | 40% |
容量 | 700ml |
種類 | ブレンデッドジャパニーズ |
ポイント
『サントリーリザーブ』は日本のサントリー社が1969年に誕生させたブレンデッドウイスキーのブランドであり,味わいの決め手となるキーモルトには,世界的に大人気な白州蒸留所のホワイトオーク樽原酒が据えられています。こちらは日本洋酒酒造組合のジャパニーズウイスキーの表示基準を満たしたれっきとしたジャパニーズウイスキーであり,グレーン原酒もサントリー社が所有する知多蒸留所のものが使用されているという非常に貴重な一本です。
その味わいは簡単に言えば白州ジュニアといった感じであり,シングルモルトの白州が森林やフルーツなどの大自然を感じさせるのに対し,リザーブではやや若さが残り,草原や木材,そしてフレッシュなライムなどの軽快な要素が比較的強く出ています。また白州はハイボールとの相性がずば抜けて良いことで知られていますが,リザーブはその上を行くハイボール適正を持っており,ハイボールで飲むことによって,大元の白州に負けずとも劣らないレベルの大自然の香りを強く感じることが出来ます。
この価格帯で白州ハイボールを楽しめるのというのはとても有難い限りです。
香り
バニラ,軽快な柑橘感,青々とした草原,キャラメル,溶剤,プラム,ミント
味わい
草原に建つ木造家屋,メープルシロップ,バニラ,ミント,ハーブ,華やかな柑橘感
▽
モンキーショルダー スモーキーモンキー
度数 | 40% |
容量 | 700ml |
種類 | ブレンデッドモルトスコッチ |
ポイント
『モンキーショルダー』は,他グレンフィディック蒸留所などを所有するスコットランドの一大企業ウィリアム・グラント&サンズ社が手がける,100%モルト原酒由来のブレンデッドモルトウイスキーになります。そしてこの「スモーキーモンキー」は,通常のモンキーショルダーに一捻りが加えられた派生商品で,通常のグレンフィディック,バルヴェニー,キニンヴィのノンピート原酒の他に,バルヴェニーのピートウィークを筆頭としたピーテッド原酒をスモールバッチでまとめ上げることで作られています。
その味わいにおいては,ブランドの特徴でもあるクリーミーな甘さと,ドライな印象を演出するピートスモークが美しく融合し,バランスが整っていながらも,カクテルなどの様々な用途へのクリエイティビティを刺激する幅の広い万能感を感じさせるものとなっています。ハイボールでは,通常のモンキーショルダーと同じクリーミー&スパイシーなベースがしっかりとしつつ,ピートスモークがドライ感や苦味をアクセントとして加えてくれるため,非常に強い満足感を感じることができます。
香り
ウッディな力強いスモーク感,芳醇なバニラ,鮮やかな柑橘感,モルティ,スパイシー
味わい
甘いバニラ,香ばしいナッツ,穀物の甘み,乾いたウッドスモーク,スパイシー
▽
グレンキンチー12年
度数 | 43% |
容量 | 700ml |
種類 | シングルモルトスコッチ |
ポイント
『グレンキンチー』は,スコットランドのローランド地方に建つ,グレンキンチー蒸留所が生産を手がけるシングルモルトウイスキーになります。蒸留所の運営企業は業界最大手のディアジオ社。そしてグレンキンチーのウイスキーは,生産数の9割以上がヘイグやディンプルなどの同社のブレンデッドウイスキー用とされており,国内に流通するオフィシャルボトルはこの12年ものの1種類のみとなっています。
ウイスキーの製造においては,スコットランドでも少数派となる硬水の仕込み水を採用し,容量3万リットルを超えるスコッチ業界でも最大級のウォッシュスチルで蒸留を行なっており,非常にクリーンかつ美麗な酒質を持っています。
その味わいはフルーティ&ハーバルな印象となっており,華やかな柑橘類を添えたチーズケーキのような甘み,黄色い花を咲かせるフリージアのような香り高さがあり軽快なローランドモルトの特性がよく反映されています。これらの要素はどれも炭酸との相性が非常によく,文字通り泡と共に弾けるように感じられ,華やかな食事中のハイボールとしてとても美味しく飲むことができます。
香り
焼いたパン,バニラ,花畑フローラル,爽快な柑橘,チーズケーキ,ハーブの爽快感
味わい
黄色い花の蜜,レモンケーキ,花畑フローラル,ドライな穀物感,ほのかなハーブの爽快感
▽
アーストン シーカスク
度数 | 40% |
容量 | 700ml |
種類 | シングルモルトスコッチ |
ポイント
『アーストン』は,スコットランドのローランド地方に所在する,ウィリアムグラント&サンズ社傘下のアイルサベイ蒸留所が生産を手がけるシングルモルトウイスキーであり,2018年にリリースされたブランドです。
アイルサベイ蒸留所は,同社のグレーン工場であるガーヴァン蒸留所の敷地に併設する形で2008年に創業されたモルトウイスキーの蒸留所でありグランツなどのブレンド用の原酒を作る傍らで,少量の原酒がシングルモルトとしてリリースされています。この「アーストンシーカスク」では,エアシャー海岸に程近いウェアハウスで,潮風の影響を受けながら10年以上熟成されたノンピートタイプの原酒がボトリングされています。
その味わいでは,華々しいフローラル香や穀物の強い甘み,そして海風に由来するわずかな塩気が表現されておりつつ,ボディはローランドモルトらしいライトな印象で,飲みやすさに特化した構成です。ハイボールでは雑味や無駄な余韻がほとんどなく,穀物感と若干のソルティ感がベストマッチしており,気分に合わせちょっと濃い目で作ると満足感が向上します!
香り
香ばしいナッツ,ドライな穀物,バニラの甘み,蜂蜜,塩キャラメル感,芳醇な柑橘果実
味わい
焼きアーモンド,ビスケット,潮風の要素,綿菓子,ウッディなバニラ,塩キャラメル,果実感
▽
タリスカー10年
度数 | 45.8% |
容量 | 700ml |
種類 | シングルモルトスコッチ |
ポイント
『タリスカー』はスコットランドのスカイ島に所在する,ディアジオ社参加のタリスカー蒸留所が手がけるシングルモルトウイスキーのブランドになります。スカイ島は島でありながら切り立った高い山が多く,濃霧や雲が非常に発生しやすい環境であることから”ミストアイランド”とも呼ばれる島であり,特に激しく荒れる外海と沿岸の岩場で弾ける荒波の情景が特徴となっています。
ウイスキーの製造では,ミディアムレベルのピーテッド麦芽を原料とし,環境と風味が密接に繋がる木製のウォッシュバックで発酵を実施。蒸留回数は2回で,今では珍しい伝統的なワームタブ式コンデンサーを備えたポットスチルを使用しているのが特徴です。
そしてこの「タリスカー10年」にはリフィルバーボン樽で10年以上熟成された原酒が使用されており,味わいではスカイ島の個性的な自然環境が反映された,荒波の潮風のような力強くスパイシーなテイストを最大の魅力としています。このスパイシーテイストがハイボールとの相性が非常によく,世間では黒胡椒をトッピングして飲む手法が確立されるほどの人気があります。ちょっと贅沢なハイボールを是非飲んでみてください!
香り
フレッシュな柑橘感,強くヨーディなピートスモーク,濃い潮の香り,バニラ,蜂蜜,黒胡椒
味わい
激しくスモーキー&スパイシー,強烈な潮風,ドライな穀物感,すっきりシトラス,バニラの甘み