記事の概要
世界中の蒸留所図鑑完成を目標としたシリーズです。
今回はスコットランドより「グレンアラヒー蒸留所」になります!
Points!「立地・歴史・伝統的な製法・オフィシャルボトルの簡単な解説」
キーワード
デルメ・エヴァンス/ビリー・ウォーカー/超長時間発酵
グレンアラヒーの特徴
重心低め/リッチな口当たり/奥深く複雑/華やか/シェリー樽とバーボン樽

グレンアラヒー蒸留所
グレンアラヒー蒸留所の立地・歴史・製法についてまとめていきます。
蒸留所の概要
創業年 | 1967年 |
所有会社 | ザ・グレンアラヒー・ディスティラーズ社 |
地域分類 | スコットランド スペイサイド スペイ川中流域 |
発酵槽 | ステンレス製6基 |
ポットスチル | 初留2基・再留2基 |
仕込み水 | ベンリネス山の泉 |
ブレンド先 | クランキャンベル キングスランサムなど |
「グレンアラヒー蒸留所」蒸留所の立地

ポイント
グレンアラヒー蒸留所はスコットランドのスペイサイド,スペイ川中流域に位置しています。具体的には幹線A95号のアベラワー周辺から約1キロ程度南に行ったところにあります。
蒸留所の白い建物の目の前には冷却水を溜めておく池があり,素晴らしい景色が造成されています。この池には水鳥も遊びに来ているとか。
余談ですがグレンアラヒーはゲール語で「アラヒーの谷」を意味しており,アラヒーは「石ころの多い」を意味するeillighを由来としているとされています。実際に蒸留所の付近に石だらけの小高い丘があります。

「グレンアラヒー蒸留所」蒸留所の歴史
グレンアラヒー蒸留所の歴史を下表のとおり整理しました!
西暦年 | 内容 |
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1967年 | マッキンレーズを手がけるスコティッシュ&ニューカッスル社によってグレンアラヒー蒸留所が創業される |
1985年 | 所有会社がインバーゴードンディスティラーズ社の傘下となる |
1989年 | 蒸留所がのちにペルノリカールの一部となるキャンベル・ディスティラーズ社に買収される |
2001年 | 会社がペルノリカールの傘下に入り,蒸留所は同社のウイスキー部門であるシーバスブラザーズ社によって運営されるようになる 蒸留所の拡張が行われてポットスチルが4基に増設される |
2005年 | 公式シングルモルトとして16年熟成でカスクストレングスのボトルがリリースされる |
2017年 | 蒸留所がベンリアックのオーナーであるビリー・ウォーカー氏へと売却される ザ・グレンアラヒー・ディスティラーズ社が設立される |
グレンアラヒーに纏わるストーリー
建物の設計
蒸留所の建物はデルメ・エヴァンス氏の設計の元で建設されています。
エヴァンス氏が設計を手がけた蒸留所は他にもあり,特にアイル・オブ・ジュラやマクダフ,タリバーディンなどの外観はグレンアラヒーとよく似ています。
生産設備についても無駄がなく,マッシュタン・発酵槽・ポットスチルと徐々に高低差をつけていき,自然流下が可能な配置としたり,コンデンサーに水平設置のシェル&チューブを採用することで冷却効率を高めたりと,工夫が凝らされています。
ブレンド用からシングルモルト
グレンアラヒーはペルノリカール時代はシーバスリーガル等のブレンデッドウイスキーの原酒として使用されていたため,シングルモルトとしてのリリースはほとんどありませんでした。
しかし蒸留所がビリー・ウォーカー氏へ売却されて以降,シングルモルトとしてのリリースが始まり,現在多くのモルトファンの熱烈な注目を浴びています。

「グレンアラヒー蒸留所」製法の特徴
製麦について

ポイント
グレンアラヒー蒸留所ではプロピノ,オプティック,コンチェルトなどの多様な大麦を原料として採用しています。製麦工程は外部の専門業社に委託しています。
モルトのピーテッドレベルはノンピートタイプと80ppmの超ヘビリーピーテッドタイプの2種類が設定されています。
原料のモルトはポルテウス社製モルトミルで粉砕してグリストとしたのち,糖化の工程へと進みます!
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糖化について

ポイント
グレンアラヒー蒸留所では仕込み水としてベンリネス山にある泉の水を採用しています。マッシュタンは1バッチあたり9.4トンのグリスト容量を誇るステンレス製のセミロイタータンになります。
製麦によって得られたグリストはマッシュタンに投入され,加熱した仕込み水を3回に分けて温度を上げながら注ぐことで糖化が進められます。この手法はインフュージョン法と呼ばれています。
糖化が完了すると糖分を多く含み,透明感のあるウォートを得ることができます。
次の工程は発酵になります!
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発酵について

ポイント
グレンアラヒー蒸留所には容量60,000リットルでステンレス製のウォッシュバックが6基設置されています。酵母はケリー社製でクリーム状のものを採用しています。
糖化によって得られたウォートは,酵母が活発に作用することができる20℃前後まで冷却されたのち,酵母と共にウォッシュバックへと投入することで発酵が進行していきます。
発酵にかける時間は160時間と驚くほど長く設定されており,多様な香味成分がこの発酵工程で生み出されていることがわかります。
発酵が完了するとアルコール度数約8%程度のウォッシュが完成します。
次の工程は蒸留になります!
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蒸留について

ポイント
グレンアラヒー蒸留所には容量21,500リットルのウォッシュスチルが2基,容量15,000リットルのスピリットスチルが2基設置されています。
形状はストレート型とランタン型の2種類があり,加熱方式は蒸気による間接加熱方式,冷却方式は水平設置のシェル&チューブ方式が採用されています。
発酵によって得られたウォッシュはまずウォッシュスチルへと移されて初留が行われます。初留が完了するとアルコール度数約20%のローワインが完成します。
次いでローワインはスピリットスチルに移されて再留が行われます。再留によって得られるアルコールはスピリッツセイフと呼ばれる箱を通り,不安定な成分を含んだアルコールを除去するミドルカットという工程が適用されます。
グレンアラヒーにはこのスピリッツセイフが初・再留の各ペアごとに用意されているのが特徴的です。
再留・ミドルカットを終えた段階でアルコール度数約70%程度のニューポットが完成します。
次の工程は熟成になります!
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熟成について

ポイント
グレンアラヒー蒸留所には16棟のウェアハウスがあり,うち12棟がラック式,2棟がパラタイズ式,2棟がダンネージ式となっています。
使用される樽はバーボン樽とオロロソとペドロヒメネスのシェリー樽が主となっています。
ニューポットの樽詰めの度数にはグレンアラヒー独特のこだわりがあり,63.5%・68%・72%の3通りが設定されています。
樽詰めされた原酒はウェアハウスにて長い期間を眠ることとなります。

オフィシャルボトル一覧
グレンアラヒー蒸留所のオフィシャルボトルを紹介していきます!
グレンアラヒー10年
カスクストレングス
ポイント
グレンアラヒー10年カスクストレングスは複数の樽原酒を加水することなくブレンドしてボトリングしたグレンアラヒーです。
バッチごとに樽構成が異なってくる可能性がありますが,直近のものではペドロヒメネスとオロロソのシェリー樽,赤ワイン樽,バージンオーク樽の構成となっていました。
価格帯
Amazon:16,998円
※2022年8月現在
香り
ロースヒップ/レーズン/スパイシー/ヘザーハニー/トフィー/シナモン/オレンジピール
味わい
ダークチョコ/ドライフルーツ/ヘザーハニー/シナモン/プラム/オレンジピール
余韻
ドライフルーツの甘みとウッディ感,スパイシー感がとても長く続く

参考資料
参考サイト:ウィスクイー / whisky.com / scotchwhisky.com / グレンアラヒー公式