記事の概要
管理人によるボトルのレビューを通して、皆様にその魅力を伝える記事です。
今回は…
「トラベイグ アルト・グラン
レガシーシリーズ
セカンドエディション」
当記事では,このボトルについて
などなど詳しく解説していきます!!
\\執筆者情報//
初谷(はつがい)
ウイスキーに関わるあらゆる情報をまとめ,「ウイスキーを知りながらより深く楽しめる記事」を発信しています。
【Shop】ウイスキー専門店『Drinkable books』
【経歴】東京都立大卒|元公務員・ネット酒屋開業
【資格】JWRC公認ウイスキーエキスパート|ウイスキー検定2級
【その他】バンド「Candid moment」のドラマー
各種SNSも運用中!
「トラベイグ」ってなに?
トラベイグの解説
- ブランドと蒸留所の概要
『トラベイグ』はスコットランドの北西に浮かぶスカイ島に建つ「トラベイグ蒸留所」が手がける,オフィシャルシングルモルトのブランドになります。
同じスカイ島には1830年から稼働を続けるタリスカー蒸留所があることが広く知られていますが,対するトラべイグは2017年に創業したばかりの新興の蒸留所。既に大人気のタリスカーの対抗馬として,注目・期待を集める蒸留所ですね。
ちなみにトラベイグという名称は,ゲール語に語源を持っていると考えられており,日本語では「海を見下ろす高台」の意味があるとのこと。実際の立地も海を望める丘の上であることから,とてもしっくりくるネーミングと言えるでしょう。
- トラベイグの製法と味わい
トラベイグ蒸留所が年間に製作するウイスキーの分量は,約50万リットル程度とかなり少なめですが,その分こだわりの詰まった代物です。
例えば原料の大麦は品種にこだわら無い自由な発想の元に採用され,ピーテッドレベルはフェノール値50〜75ppmにも及ぶヘビリーピーテッドタイプ。
発酵時間はおよそ90時間と,かなり長めに取られており,乳酸発酵の影響を受けた軽やかながらも複雑な香味が養われます。
このようにトラベイグの各種製造工程には,スカイ島が見せる荒々しい自然を味わいに最大限転化させるような工夫を見て取ることができます。
そして最終的に完成するウイスキーの最大の魅力は”ウェルテンパードピート”と呼ばれるテイストであり,これは強いスモーキーさを持ちながらも,アイラ島南岸のモルトのような薬品臭がほとんど無い,ドライなピートスモークと形容することができます。
「トラベイグ アルト・グラン」ボトルの特徴
\\ボトル外観//
\\ボトル諸元//
ボトル名 | トラベイグ アルト・グランレガシーシリーズ セカンドエディション |
地域 | スコットランド,アイランズ スカイ島 |
種類 | シングルモルトウイスキー |
原料 | モルト |
容量 | 700ml |
度数 | 46% |
\\製法と特徴//
- ニューメイク時のフェノール値が77ppm
▶︎高いフェノール値の通りに強力なスモーキーテイストが感じられるが,トラベイグの煙たさは”ウェルテンパードピート”と呼ばれており,薬品臭がほとんどない。 - スカイ島の潮風を受ける環境で熟成
▶︎樽の中に眠るウイスキーにも,環境由来の荒々しい自然のテイストが付与されている。 - 1stフィルバーボン樽原酒8割,2ndフィルバーボン樽原酒2割で構成
▶︎1stフィルらしい強力な樽の要素と,2ndフィルらしいマイルドな樽香が合わさり,バランスの良いテイストが得られている。 - 冷却濾過・着色無し,46%のハイプルーフでボトリング
▶︎樽の中で培われた個性をダイレクトに感じることができるこだわりの仕様。
「トラベイグ アルト・グラン」テイスティングレビュー
さてさて、それでは早速「トラベイグ アルト・グラン」をテイスティングレビューしていきます!
色味
『トラベイグ アルト・グラン』の色味については,かなり薄いように見え,透明度の高いクリアな金色といった感じです。
客観的な指標としてwhiskys.co.ukの色見本に準えて評価すると,”Pale Staw”から”Pale Gold”くらいであると言えるでしょう。
▼
香り
- 第一印象
乾いたピートスモーク,清々しい潮風,柑橘系のフレッシュ感
- 経時変化で見える要素
バニラとパン,胡椒スパイス,焦げた木,やや塩辛い
筆者の一言
香り全体としてはドライなピート感と激しい潮風の要素が強力であった印象。
非常に個性的な香りでしたが,アイラ島南岸のモルトのような薬品臭はほとんどないので,意外とすんなり受け入れられるでしょう。
▼
味わい
- 第一印象
乾いた土っぽいピートスモーク,荒っぽい潮風の要素,レモンの皮
- 経時変化で見える要素
オレンジフルーツ,バニラ&モルティ,焦げた木のビター感,ヒリつく胡椒スパイス
- 余韻に残る要素
マイルドなピートスモークとほのかな柑橘の甘みが残る
筆者の一言
トラベイグのピート感はやはりどことなく乾いた印象が強く,個人的にはボウモアに近いように感じられました。
胡椒や潮風の要素はスカイ島らしさと捉えられ,柑橘のフレッシュネスが程度な個性を演出しています。
間違いなく今後はタリスカーの対抗馬となるでしょう!
「トラベイグ アルト・グラン」総評
最後に総評に入りたいと思います!まずはレーダーチャートから!
さてさて、気になる点数は…
点数の理由と評価
- 香り:4/5|味わい:4/5
『トラベイグ アルト・グラン』の香りと味わいについては,熟成年数が3〜4年程度しかないにも関わらず,スカイ島第2の蒸留所としての確固たる個性がしっかりと表現されていました。
もちろん若さが多少残っている印象は否めませんが,荒々しい潮風のテイストや胡椒スパイス,そして強力なピートスモークは以外にも若さとの相性が悪くなく,そこまでネガティブなイメージはありませんでした。
蒸留所自体が創業から日が浅く,生産量もそこまで多くないため,しばらくの間リリースは毎年数量限定販売となりそうですが,原酒の成長を見届けていきたいと個人的に思ってしまいました。
トラベイグが目標に掲げている10年もののウイスキーが完成する日を楽しみに待ってみましょう。
- 初心者向け度:1/5
続いて初心者向けかどうかという観点で『トラベイグ アルト・グラン』を見てみると,全くもって初心者向けでは無いということができるでしょう。
というのもテイストの主軸がヘビリーピーテッドスタイルであり,スカイ島らしい潮風やスパイシーさもなかなかのクセの強さとなっているため,多くのアイラモルトと同列に初心者にお勧めするべきでは無いでしょう。
しかしスモーキーで個性の強いテイストを求めている方にとっては,かなり適した選択肢となるものと考えられますので,そのようなウイスキーを求めている方は是非このボトルを探してみてください。
- 入手性:1/5|コスパ:3/5
最後に『トラベイグ アルト・グラン』の入手性とコスパについて言及すると,「入手性はかなり悪く,コスパはまあまあ良い」といったところでしょう。
というのもボトルの生産量がかなり限られており,前作は既に完売。今作は執筆日時点では完売となっていないものの,近いうちに市場から無くなってしまうものと考えられます。
幸いにも発売直後であれば比較的見つけ易い部類ではあるので,欲しい方は可能な限り早めに購入にこぎつけておいた方が良さそうですね。
またコスパについてはやはり生産量の少なさからか,ボトル単価は決して安いとは言えず,3〜4年熟成のウイスキーとしては高く感じられてしまいます。
しかしながら味わいベースで考えると一概にそうも言えず,既に若さよりも魅力的な部分が多く見えてきています。これからの発展が楽しみなブランドを今のうちから楽しんでおくという意味合いで,コスパは決して悪く無いと言えます。
各種SNS運用中!
フォローしてね👍
レビューに使用した道具たち
グラス:グレンケアン
ジガーカップ:JOYONEというメーカーのものをAmazonで購入して使っています。
正直計りたい分量が計れるものであれば何でもいいと思います!