記事の概要
管理人によるボトルのレビューを通して、皆様にその魅力を伝える記事です。情報量の多さではどこにも負けません。
今回は…
「イチローズモルト&グレーン クラシカルエディション(以下イチローズモルトクラシカル)」
当記事では,このボトルについて
- 「イチローズモルト&グレーン」ってなに?
- 「イチローズモルトクラシカル」ボトルの特徴
- 「イチローズモルトクラシカル」を徹底レビュー&色彩化
- 「イチローズモルトクラシカル」おすすめの飲み方
などなど徹底的に解説していきます!!
\\執筆者情報//
初谷(はつがい)
ウイスキーに関わるあらゆる情報をまとめ,「ウイスキーを知りながらより深く楽しめる記事」を発信しています。
【Shop】ウイスキー専門店『Drinkable books』
【経歴】東京都立大卒|元公務員・ネット酒屋開業
【資格】JWRC公認ウイスキーエキスパート|ウイスキー検定2級
【その他】バンド「Candid moment」のドラマー
各種SNSも運用中!
「イチローズモルト&グレーン」ってなに?
イチローズモルト&グレーンの解説
『イチローズモルト&グレーン』は日本のベンチャーウイスキー秩父蒸留所が手掛ける,ワールドブレンデッドウイスキーのブランドになります。
”ワールドブレンデッド”ということで,日本国内産の原酒はもちろん,その他の世界5大ウイスキー(スコットランド・アメリカ・カナダ・アイルランド)の産地で作られた原酒をブレンドすることで構成されています。
特にイチローズモルトにおいては,世界各地の各地の原酒を秩父に集結させ,伝統的なダンネージスタイルのウェアハウスで熟成させたのちにブレンドし,チルフィルターやカラーリングを施すことの無い,ありのままの状態でボトリングされています。
また秩父蒸留所は肥土伊知郎氏によって2008年に創業された新興の蒸留所ですが,伝統的なフロアモルティングや独自のミズナラ製のウォッシュバックを使用するなど,小規模ながら数多くの個性的な試みが行われています。
その結果として近年では日本のみならず,世界中のファンからも注目されており,2019年に香港で行われたオークションでは,計54本の「カードシリーズ」が約1億円で落札されたことが大きな話題となりました。
世界からの需要に対して供給量が少ないのが玉に瑕ですが,あまりにも美味しい魅力的なウイスキーなので,気になる方はしっかりとアンテナを張っておいた方が良さそうですね。
「イチローズモルトクラシカル」ボトルの特徴
\\ボトル外観//
\\ボトル諸元//
ボトル名 | イチローズモルト&グレーン クラシカルエディション |
製造 | 日本,秩父蒸留所 |
種類 | ワールドブレンデッドウイスキー |
原料 | モルト,グレーン |
容量 | 700ml |
度数 | 48% |
\\製法と特徴//
- 秩父で熟成された世界中のウイスキーをブレンド
▶︎世界各地のウイスキーの魅力が秩父に集結し,各々の個性が肥土伊知郎氏のブレンド技術で巧みにまとめ上げれている。 - モルト原酒比率が高め
▶︎モルトウイスキーは「ラウドスピリッツ」と呼ばれるほどに個性が強いウイスキー。よってモルト原酒の使用比率が高いと,しっかりとした原酒の個性が活かされる。これは古き良き「クラシカル」なブレンドスタイル。 - ノンチルフィルター・ノンカラー
▶︎原酒に無駄な手が加えられておらず,生産過程で養われた風味をダイレクトに感じることができる。 - ロットごとに少し味が違う
▶︎このクラシカルエディションは製造ロットことに味が違うと言われています。おそらく魅力的な原酒をスモールバッチで厳選していることによると考えられます。
「イチローズモルトクラシカル」徹底レビュー!
まずレビューの項目について説明しておきます!
レビュー項目
- 色味
ウイスキーをグラスに注ぎ、目視にて色の濃さを5段階評価します
- 香り
香りについて私が感じ取った内容をまとめていきます
- 味わい
味わいについても私が感じ取った内容をまとめます
- 余韻
余韻の長さを5段階で評価します
- 総評(100点満点)
ボトルのポジティブな風味とネガティブな風味を10段階で評価し、レーダーチャートで表現し,ポジティブで獲得した点数からネガティブの点数を引くことにより、ボトルを100点満点で評価します
また最後に総評を文章にて取りまとめていきます!
さてさて、それでは早速「イチローズモルト&グレーン クラシカルエディション」をテイスティングレビューしていきます!
色味
色味は比較的濃く,金色というよりは琥珀色に近い印象であり,グラスに注ぐ前から黒基調のラベル美麗なコントラストを見せています。しかしながら製造ロットごとに微妙な違いがあるので,色味が気になる方は実際に目で見て確認した方がいいと思います。
薄
1 2 3 4 5
濃
▼
香り
まず香りの第一印象は非常に強力な甘さです。その甘さの系統としては,シュークリームの中に詰まっている生クリームとカスタードのような,クリーミー系に包含されているように感じられます。
その他の要素は,フローラル・柑橘フルーツ・ウッディの3つのベクトルに分解でき,フローラル感は黄色や白の花が咲き誇る花畑のよう。柑橘フルーツはみかんをベースに柚子のような心温まる優しさ。ウッディ感は非常にライトでビター感などはなく,白く甘い煙のようにも感じられます。
また僅かにモルティな穀物系の甘さや,ヒリリとくる胡椒系のスパイシーさ,ミズナラ樽系の白檀感なども存在しています。アルコールの刺激はやや感じられますが,キツくはなく,全体としては繊細な甘さに纏まっているように感じられました。
感じ取れる香り
生クリームとカスタード|花畑フローラル|みかんと柚子|ミズナラウッドスモーク|モルティ|胡椒スパイス
▼
味わい
味わいの第一印象も香りと同様に強い甘さでした。しかし香りとは甘さの系統が若干異なり,ミズナラ系のウッドスモーク感が比較的強く,白檀のようなオリエンタルな甘さと捉えることができます。
その他の要素としては,香りでも感じられた柑橘感とカスタードのようなクリーミーな甘さも強く存在し,これらは融合してオレンジの乗ったショートケーキのようにも感じられます。また,花畑を感じさせるフローラルなはちみつ,モルティな穀物の甘さ,スパイシー感,ハーブのような爽快感,バナナっぽい南国感なども徐々に出てきます。
アルコールの刺激は比較的微弱で,繊細な甘さが主体なのでスルりと飲めてしまう印象。しっかりとしたミズナラ由来の和の要素を感じることができる,数少ないボトルのひとつですね。
感じ取れる風味
ミズナラのオリエンタルな白檀香|フレッシュな柑橘|カスタード|フローラルなはちみつ|モルティ|スパイシー|ハーバル|バナナ
▼
余韻
余韻には繊細な柑橘フルーツの甘さと力強いミズナラの白檀感が長く残ります。木の苦味などは割とライトで,香りから余韻にかけて,総じて甘さが主体で飲みやすい構成となっていました。
短
1 2 3 4 5
長
「イチローズモルトクラシカル」ボトルを色彩化すると…?
この「ボトルの色彩化」では,ネットの記事を通してでは共有することのできない,味覚や嗅覚を通して得られた感動を「色彩」として視覚化することを目的としています。本来直接伝えることができないような,”ウイスキーから得られた感動を五感に直接訴えかけられるように”という思いを込めたコーナーです。
さて,「イチローズモルトクラシカル」の色彩をお楽しみください。
「イチローズモルトクラシカル」飲み方について
さて、ここまではストレートにてボトルのレビューをしてきました。
そこで「イチローズモルトクラシカル」はどの飲み方が一番美味しいのでしょうか。王道の飲み方である「トゥワイスアップ・ロック・ハイボール」の3種類で比較してみましょう!
飲み方について深く掘り下げた記事も書いているのでご参考までにリンクを貼っておきます!
トゥワイスアップでは?
ポイント
トゥワイスアップでは,クリーミーな甘さとミズナラのウッドスモークがかなり強化されているように感じられます。また柑橘感はオレンジピールのようにわかりやすい甘さに昇華されている印象です。
甘さが主体である点については,ストレートと比較して大きな違いはありませんが,余韻にかけてはカカオの濃いチョコレートのようなビターさが際立つようになりました。柑橘感とチョコ感の相性がベストマッチ。
ストレートと甲乙が付け難いため,少量の加水から試し,ちょうど良いラインを探ると良いでしょう。しかしストレートが苦手でなければ是非ストレートで。
おすすめ度
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▼
ロックでは?
ポイント
ロックではミズナラ系の木の甘さと,バナナ系の華やかではない南国フルーツのような甘さを強く感じることができるようになりました。全体としてはストレートで感じられたスコッチ系の繊細な甘さが削ぎ落とされ,バーボン系の力強さが活きてきたように感じられます。
余韻にかけては,ウッディなビター感が強めに主張をしてきますね。ストレートや加水と比較して,だいぶ顔色が変わるのが非常に興味深い点ですね。
おすすめ度
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▼
ハイボールでは?
ポイント
ハイボールではどちらかといえば,ストレートや加水よりも,ロックに近いような印象があります。
具体的にはウッディなビター感が土台となり,柑橘やフローラル系の華やかさが炭酸と共に弾けます。また余韻にかけてミルクチョコレートのような白っぽい甘さが出てくるのも魅力的です。
価格帯などを考慮すると,ややハイボールを選択しづらい気もしますが,普通に美味しいです。他の飲み方を一通り試して余裕があれば,ハイボールでも飲んでみましょう。
おすすめ度
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「イチローズモルトクラシカル」総評
最後に総評に入りたいと思います!まずはレーダーチャートから!
ポジティブ
ネガティブ
さてさて、気になる点数は…
点数の理由と評価
まずこのボトルの最大の魅力について言及をしておくと,それは味わいにおいてミズナラ樽に由来する白檀系のオリエンタルなウッドスモークを第一に感じることができる点にあると感じました。ミズナラ感を強く感じることができるウイスキーはあまり多くないので非常に貴重。加えてミズナラ以外にも,柑橘や花畑のような華やかさや,バニラのような濃い甘さが中心にあり,ネガティブな要素が特段ありませんでした。
また色彩化レビューの項目でも少し触れましたが,全体的には繊細で淡い甘みが主体となっているのですが,しっかりとしたミズナラ系の「和の要素」を軸に持っており,飲みやすさと個性が両立されています。ありがちな表現ですが,”日本人の技術者が繊細な配慮の上で作り上げた”という事実を実感することが出来ました。
唯一気がかりなのは価格帯と入手性の悪さですが,どちらもこのボトルが非常に魅力的であるが故であると言われれば納得。確かに飲んでみる価値があると思うので,飲む機会があったら是非試してみてください…!
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レビューに使用した道具たち
グラス:グレンケアン
ジガーカップ:JOYONEというメーカーのものをAmazonで購入して使っています。
正直計りたい分量が計れるものであれば何でもいいと思います!