記事の概要
管理人によるボトルのレビューを通して、皆様にその魅力を伝える記事です。
今回は…
「スカラバス」
当記事では,このボトルについて
などなど詳しく解説していきます!!
\\執筆者情報//
初谷(はつがい)
ウイスキーに関わるあらゆる情報をまとめ,「ウイスキーを知りながらより深く楽しめる記事」を発信しています。
【Shop】ウイスキー専門店『Drinkable books』
【経歴】東京都立大卒|元公務員・ネット酒屋開業
【資格】JWRC公認ウイスキーエキスパート|ウイスキー検定2級
【その他】バンド「Candid moment」のドラマー
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「スカラバス」ってなに?
スカラバスの解説
- 『スカラバス』ブランドについて
『スカラバス』は,スコットランドのボトラーズ企業であるハンターレイン社が生産を手がける,蒸留所名非公開(アイラモルト)のシングルモルトウイスキーになります。
このスカラバスという名称は,古ノルド語で”岩の多い場所”という意味を持つアイラ島の秘境の地名から取られたもの。またブランドとの繋がりは皆無ですが,1800年代初頭には僅か1年だけ稼働していた「スカラバス蒸留所」という蒸留所が実在していたらしく,同ブランドの誕生を以て200年振りにその名称が世に出ることになりました。
なお今回取り上げるベーシックな『スカラバス』の構成については,蒸留所の名称こそ明かされていないものの,スモーキーな個性が魅力のアイラモルトであることは歴然であり,リフィルバーボン樽とバージンアメリカンオーク樽で熟成された原酒が使用されている逸品になります。
- ハンターレイン社について
ハンターレイン社は2013年に創業した新興のボトラーズですが,実際には1948年から続く同業のダグラスレイン社が分社化する形で誕生した少々特殊な企業。分社化の際にはOMCやオールド&レアなどの人気ブランドを引き継いでおり,2018年にはアイラ島9番目の蒸留所となるアードナッホーを創業するなど,既に手広い事業展開がなされています。
「スカラバス」ボトルの特徴
\\ボトル外観//
\\ボトル諸元//
ボトル名 | スカラバス |
地域 | スコットランド,アイラ島 |
種類 | シングルモルト |
容量 | 700ml |
度数 | 46% |
原酒諸元 | リフィルバーボン樽 バージンアメリカンオーク樽 |
「スカラバス」テイスティングレビュー
さてさて、それでは早速「スカラバス」をテイスティングレビューしていきます!
色味
『スカラバス』の色味については,かなり薄い印象があり,透き通った鮮やかな金色といった感じです。客観的な指標としてwhiskys.co.ukの色見本に準えて評価すると"Jonquiripe corn"くらいであると言えるでしょう。
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香り
- 第一印象
薬品系のヨード香,パワフルなピートスモーク,BBQの香ばしい煙
若干のアルコール感は残る|初心者には不向きなピート
- 経時変化で見える要素
オレンジ&グレープフルーツ,ダークチョコレート,ピリピリスパイス,軽快な穀物感
筆者の一言
香りではしっかりと強くアイラモルトの印象が出ていた点が好印象。薄い色味から香るパワフルなピートスモークと背景の軽快な柑橘感はまさにアイラ島に求めていた個性!このボトルもひとつの作品としてとても大好きです!
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味わい
- 第一印象
強力なヨーディピートスモーク,焚き火の灰のような苦味,塩味を感じそうな潮風
アルコール刺激はネガティブではないがパワフル|初心者に不向きなピート
- 経時変化で見える要素
オレンジピール,グレープフルーツの苦味,ビターチョコレート,蜂蜜がけクッキー
- 余韻に残る要素
島の情景が浮かぶスパイス,ウッディなアタック,ドライなBBQの煙
筆者の一言
味わいではやはり個性の髄を極めたような力強さが光っていた印象です。潮風吹き荒ぶ中,多種多様な煙が渦巻く情景が目に浮かぶような,激しい風味を楽しむことができました!
「スカラバス」総評
最後に総評に入りたいと思います!まずは風味の各要素をグラフ化してみてみましょう!
さてさて、気になる点数は…
点数の理由と評価
- 香り:3/5|味わい:4/5
まず『スカラバス』の香りと味わいについては,やはりアイラモルトに特有の個性的な風味が強く出ていた印象があります。香りでは少々刺激が目立ち,各種要素が若干あっさりしているようにも感じられましたが,味わいは非常に力強く,焚き火やピートの煙などによる強い満足感を楽しむことができました。
アイラモルトを好まれる方でしたら,間違いなくこのテイストに魅力と価値を見出すことができるでしょう。(個人的にはボトルデザインもかなり好みです)
- 初心者向け度:1/5
続いて初心者向けかどうかという観点で『スカラバス』を見てみると,完全に向いていないでしょう。
やはりアイラモルトの強烈な個性というのは,初心者には完全に不向きな代物です。よってスモーキーテイストに不慣れな段階では,まだこのスカラバスは選ばない方が懸命でしょう。まずはハイランド系のヨード感の少ないピーティボトルから飲み進めましょう。
- 入手性:4/5|コスパ:3/5
最後に『スカラバス』の入手性とコスパについては,入手性は問題なし,コスパは中程度と言えます。
まず入手性については,ボトラー系の蒸留所非公開アイラモルトというニッチなジャンルであることもあり,店頭ではウイスキーに強い酒屋さんなら見つけられるかもしれないといった程度のマイナーキャラです。通販では若干価格帯が高い気もしますが,安定して入手が可能と思います。
そしてコスパについては,アイラ島のオフィシャルシングルモルトのベーシック品と価格帯が被っているため,優先して入手したくなるような銘柄ではないと言えてしまいそうです。ただ荒々しい個性とパワフルなテイストには十分に魅力があるため,定番のアイラモルトに飽きてきたら,是非飲んでみてほしいなと思います。普通におすすめです。